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宮崎の高校野球 阪神甲子園球場

 
宮崎の高校野球は、全国的に見てあまり活躍した印象がありません。

平成17年夏の時点で、宮崎の高校野球チームは54を数えます。

その中で、夏の甲子園大会で、ベスト4まで残って旋風を巻き起こした学校は、遠く昭和39年の宮崎商業まで遡らなければなりません。

そして、続く翌昭和40年の高鍋高校の2校だけです。この辺りが宮崎の高校野球の黄金時代でした。

8強まで進んだ学校にしても日南学園(平成13年)、小林西高(平成5年)、都城商業(昭和56年)の3校だけです。

したがって、優勝はもとより決勝戦まで勝ち進んだ学校は皆無です。これは、春の選抜大会でも同じようなことが言えます。
   

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                    このページの目次

1、第79回センバツ高校野球・都城泉ヶ丘

2、第89回全国高校野球宮崎大会

3、第89回全国高校野球宮崎大会決勝戦


4、第89回全国高校野球選手権・日南学園


5、思い出の夏 第85回記念夏の高校野球宮崎大会

6、思い出の夏 第86回夏の高校野球宮崎大会


7、思い出の夏 第87回夏の高校野球宮崎大会

このサイトで紹介している北海道のチームとも甲子園で何度か対戦しています。

最初は、昭和38年に宮崎商業が、初戦で函館工業と対戦8-1で勝利しました。翌年には4強に進出した宮崎商業が初戦で旭川南を2-0で退けています。

昭和55年には日向学院が旭川大高と1回戦で対戦し、この時は4-3で旭川大高に軍配が上がっています。続く昭和56年は8強進出を果たした都城商業が2回戦で帯広工業を6-1で破っています。

さらに対戦は続き、昭和58年高鍋高校が旭川龍谷高校と初戦で対戦し10-2と圧勝しました。ここまでは5回北海道勢と宮崎勢が対戦し、4勝1敗と宮崎勢が勝ち越しています。

この頃は、寒冷地のハンディーがあり組み合わせ抽選で北海道、東北勢との対戦が決ると「初戦はもらった」との風潮がありました。

その後20年以上の間、対戦がなく経過してきましたが、その間に状況は一変し北海道、東北勢のレベルが急上昇、平成16年には駒大苫小牧高校が全国の頂点にまで上り詰めました。

そして迎えた平成17年夏、宮崎県代表として初の甲子園に乗り込んだ延岡聖心ウルスラ高校の初戦の相手が前回大会の覇者・駒大苫小牧高と決まり、22年ぶりに北海道勢との対戦が実現しました。

しかし、前述のごとくこの22年間で両地区のレベル差は激変し、かって、組みし易しと、高をくくっていた北海道勢は過去のものとなりその面影は全くありませんでした。 


「夢の舞台に出場しただけで満足」する宮崎の高校野球チームが、全国大会の連覇を目標とするチームに勝利するはずもありません。

打者は常時140kmを超えるストレートと切れ味鋭いスライダーに手が出ず、自陣投手陣は相手のスキを突く走塁にペースがつかめず、投攻守走すべてにレベルの違いを見せ付けられてあえなく初戦で姿を消してしまいました。

宮崎県は、気候に恵まれどこの高校の野球部も平均以上の練習施設が整っています。特に、私立の野球部の施設は大学や社会人チームのそれを上回るほどの立派さを誇っています。

しかも、宮崎はプロ野球キャンプのメッカと言われ、毎年、秋と春には多くの球団がキャンプに訪れます。高校球児にとってその気になれば、目の前でプロの高等な技術や基本的な練習をいつでも見ることが出来る環境にあります。


この悔しさは忘れない!

2005夏決勝=宮崎アイビースタジアム
 
1年中、土の上で練習が出来るだけでも(冬の間、雪に閉ざされる)北国のチームと比べて幸せのはずですが、水や空気と一緒で当たり前にあるものに対しての意識が希薄になっていて、その有り難さがどこかに消えてしまっています。

ある意味仕方ないのかもしれません。プロの練習を意識的に見学することについても同じことが言えます。

一般的に北国の人々は我慢強く、粘り強いと言われます。自然環境が厳しいので自然自然に身につくのでしょうか。

一方、宮崎は気候が温暖で競争意識に乏しく、いつものんびりした印象を持たれています。
スポーツをする上にも、そのような宮崎人の人柄が反映し好結果につながらないと言うケースがよくあります。

宮崎の高校野球チームが始めて夏の甲子園の土を踏んだのが昭和29年の高鍋高校でした。

その前年に、滋賀県の八日市高校が憧れの地を踏みしめていて、最後まで経験することが出来なかったのが宮崎県勢です。

娯楽の少なかった当時は高校野球の人気は、全国的に高く、NHKのクイズ番組で、「甲子園に行ったことのない県は?」なんてクイズにまで出題される始末。当時を知る人たちに聞くと、 「これほど屈辱的なことはなかった」と口を揃えます。

それだけに、昭和29年の高鍋高校の甲子園初出場が決まった時は、県全体でたくさんのファンがラジオにかじり付き、出場が決った瞬間は喜びを爆発させました。

特に、地元高鍋町の中心部は試合が終わるまで通りに人影が見えず、勝った瞬間には、街中が大騒ぎしその騒ぎは同校が甲子園へ出発するまで続いたと言われています。

高校野球は、勝つことが全てではありません。あくまでも教育の一環ではありますが、勝つ喜びを仲間たちと喜び合い、負けた時は悔しさをぶっつけ何故負けたかチームメイトと語り合って欠点を補い、「次は絶対勝つぞ!」と、互いの絆を深め合うところに野球をはじめクラブ活動の教育の一環たる由縁があると思います。

昭和29年に高鍋高校が甲子園に足跡を記してから、平成17年の夏までに宮崎の高校野球チームで甲子園を経験した学校は23校に上ります。

これは県高野連加盟54校の4割強です。ひとつの強い学校が甲子園を独り占めするのではなく県内の多くの学校が憧れの舞台を経験しています。

また、夏2年連続甲子園に出場した学校も昭和38、39年の宮崎商業1校しかありません。以後は毎年のように代表校が変わっています。この辺りにも宮崎勢が大舞台で活躍出来ない理由が潜んでいます。

恵まれた気候、隣県に強豪校がいるなど恵まれた環境、私学を中心に恵まれた施設、さらにプロ野球のキャンプなど刺激材料には事欠きません。

私自身高校野球が大好きです。当然のごとく地元宮崎の高校チームには深い思い入れがあります。いつの日にか、あの深紅の大優勝旗がここ日向の地にもたらされるのを夢見て毎年、毎年飽きずに地元宮崎の高校野球を応援しています。
 
            
宮崎サンマリンスタジアム(第86回宮崎大会開会式)

泉ヶ丘 21世紀枠で初の甲子園
21世紀枠で選出

 泉ヶ丘高校出身の東国原英夫(そのまんま東)知事が誕生したのが、1月21日。その5日後、同校は100年来の喜びに包まれました。
宮崎県高野連から第79回センバツ高校野球の21世紀枠に推薦去れていた都城泉ヶ丘高校。
1月26日午後、待ちに待った甲子園出場の嬉しい知らせがもたらされました。
明治32年5月に学校が創立し、野球部もその2~3年後の明治35年頃に創設された宮崎県内では、文武両道の屈指の伝統校です。
既に100年以上の時が流れ、あるOBは目の黒い内に甲子園に行ってもらいたいのだが。と、かねがね申しておりました。

阪神甲子園球場

こんなに学校や野球の歴史がありながら、宮崎県内の主な公式大会で優勝がなかったことが、宮崎県の七不思議のひとつです。
6年前、副部長から佐々木未応教諭が監督に就任してからは、選手の自主性を重んじ、伝統のチーム力を前面に打ち出した非常にキビキビした動きと、少ない練習時間を工夫して集中力を養う練習を地道に繰り返すことにより、ここ一番の集中力を発揮して県大会でもベスト4まで顔を出す回数が増えていました。
この間、高校生らしい礼儀正しさ、練習の工夫、少ない練習時間のハンディを乗り越え県内の公立校の目標にされるなど、実力も徐々に付きはじめ、他校の模範になるその姿勢が高く評価され宮崎県高野連から2度に渡ってセンバツ大会の21世紀枠に推薦されていました。
残念ながら過去の2度は宮崎県予選で敗退し、甲子園へのキップを手に入れることは出来ませんでした。宮崎南高校時代、好投手として評価の高かった佐々木未応監督も、県内外の学校の練習を見て回るなど研究熱心で、過去2度の21世紀枠に選ばれたことで監督自身、指導に対して自信がついたと言います。
今回、3度目の推薦を受けた現在のチームは、前年のレギュラーがひとりだけとごっそり入れ替わり傑出した選手はいませんが、左腕の好投手諏訪日光を擁し、守備力で勝負するチームです。
主戦諏訪は昨夏から投げていて、経験豊富で打者との駆け引きに長けています。
新チーム結成直後の新人戦は、地区予選を勝ち上がり、本大会は準決勝で都城商業に競り負けています。
続く九州大会県予選は、いずれも接戦を勝ち上がり決勝戦は、宮崎商業に5-0と完勝し、恐らく初めての宮崎県内の主な大会で初の栄冠を手にしました。
原動力となったのは、エースの諏訪投手です。左腕のスリークォーターからキレのある球をコーナーに投げ分ける抜群の制球力を持っています。
九州大会県予選は5試合のほとんどをひとりで投げ抜き、一試合の被安打は5、自責点2、防御率は0.40と並外れた結果を残しました。
第119回九州大会は初戦で大分の豊後大野連合と対戦。12安打と打線が爆発し、先発諏訪も散発の被安打5で7-2と快勝しました。
2戦目は鹿児島商業と対戦しましたが、打力、投手力、守備力いずれをとっても相手が一枚上。
結局、0-7と良いところなくコールドで敗退しました。
この時点で、泉ヶ丘の21世紀枠での甲子園出場が遠くなったと誰もが思いました。鹿児島商業との試合では、宮崎で通用した諏訪の内外角を巧みに攻める投球も、このクラスになるとじっくり球を見極められ、苦し紛れに投じた好球をことごとく跳ね返されて失点を重ねました。
コントロールとともに球威をつけなければ全国では通用しないことが、十分に分かったことでしょう。この貴重な経験を活かし、冬場の走りこみや基礎体力作りでスピードも増しています。
そして、1月26日の選考委員会。宮崎県高野連の松元泰理事長が推薦理由を紹介し、慎重に検討した結果、泉ヶ丘高校の21世紀枠での甲子園出場が決りました。
今回の決め手は過去2度推薦を受けていること、地区大会の県予選で優勝し本大会に出場したこと。自主練習、工夫した練習内容、全力疾走など推薦理由が、選考委員の胸を打ったことなどが挙げられます。
健闘を祈る宮崎県立都城泉ヶ丘高校
 It is seen Koshien even in the dream. Graduate's earnest wish of 100 years guesses and suitable player various Kimi beginning person related to the school and the Miyakonojo citizens also guess pleasure surely. The player doesn't think that there are be absorded ins in the adjustment and the improvement aiming at beginning on March 23. Participation with the frame might be a heroic deed in the 21st century of Miyazaki first Prefecture. It is proof to which your school is evaluated on a nationwide scale that much. Please face the real thing with the boast and confidence. Play who seems to be the high school student is expected。

出場の知らせは、選考委員会から午後3時に泉ヶ丘高校の校長宛に伝えられ、決定と同時に市内のあちこちから花火が上がり、都城市役所ではクス玉が割られるなど、待ちに待った朗報に市全体が大きな喜びに包まれていました。
5日前に初当選した東国原英夫新知事といい、野球部の甲子園出場といい都城泉ヶ丘高校は春から縁起の良いことが続いています。
第79回センバツ高校野球大会は3月23日から阪神甲子園球場で開幕します。注目の抽選会は3月15日に行われます。都城泉ヶ丘の甲子園での健闘を心から祈ります。
                              
            都城泉ヶ丘高校の横顔
宮崎県立都城泉ヶ丘高等学校(みやざきけんりつみやこのじょういずみがおかこうとうがっこう)は、宮崎県都城市にある共学の公立高等学校である。伝統校であり、県内有数の進学校である。

9割以上の生徒が進学し、平成18年度には国公立大学に200名が合格した。旧帝国大学や、各国立・公立・私立大学に多くの卒業生を送り出している。現在の設置学科は、全日制の普通科と理数科、定時制の普通科と商業科である。全日制の普通科(6クラス)は2年次から、理数科(2クラス)は3年次から文系コースと理系コースに分かれる。ただ、平成18年度入学者より普通科が5クラスに変更された。朝7時40分より課外授業があり1日8時限授業。3年生になり部活動を引退すると午後にも課外授業が組まれる。

体育部・文化部共に部活動が非常に盛ん。特に野球部は2007年に、第79回選抜高等学校野球大会に堅い守備力を評価され21世紀枠に選出され初出場の切符を手にした。 また、ソフトテニス部なども全国クラスである。

泉ヶ丘 感動の初勝利
初陣で見事な集中力
第79回選抜高校野球
1回戦大会5日目第3試合                     2007年3月27日
チーム名 1 2 3 4 5 6 7 8 9
泉 ヶ 丘 高 0 0 0 0 0 0 1 0 1 2
桐 生 第 一 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
 
 
都城泉ヶ丘高校の甲子園での初勝利おめでとうございます。
いやぁ 夢舞台でここまで自分たちの野球が出来るとは・・・。驚きました。
 試合前は、正直なところ点が取れるのかと、失礼なことを思っていました。実際、秋の一連の大会を観ていても打撃の非力さが目に焼き付いていましたから。ところが、ひと冬越して大きく変貌を遂げていました。

 桐生第一の先発左腕は、最速140㌔のストレートとカーブ、スライダーを持った全国クラスの大型投手です。
 前半は、そのスピードに力負けしていました。四回表は2番から始まる好打順も3者連続三振に切って取られ、五回表は、初安打と死球で出た走者を犠打で進めて二死2、3塁の場面、九番ながら好打者の林がストレートに手が出ず見逃しの三振に倒れ、六回は投球を肘に受けて出た2番桑木と打者原口の間で仕掛けたヒットエンドランを打者が空振りするも盗塁に成功。原口も2-1から直球を詰まりながらも右前に運んで一死1、3塁の絶好の先制機を迎えました。、しかも打順は中軸の4番福田です。ここで点が取れなかったらズルズルと最後まで行ってしまう場面です。佐々木未応監督としてはどうしても先制点が欲しいはず、4番と言えども泉ヶ丘野球ではスクイズとだれもが思ったことでしょう。ところが、簡単に追い込まれて結局はストレートに振り遅れて空振りの三振。続く好打者の諏訪もフルカウントからの直球勝負に空振りの三振に倒れました。これは最後まで点が取れないなと予感させる試合展開でした。
 しかし、流れは確実に泉ヶ丘に来ていました。3巡目を迎えて打者も相手投手の球筋に慣れてきたのでしょう。得意の粘りとしぶといバッティングが身上の打線が目を覚まします。終盤に入った七回、6番竹脇がファールで粘りに粘って2-3から低目の直球をライト前へ持っていき3度目の無死からの出塁。7番向井がすかさず送ってまたも好機を迎えます。ベンチがどう動くか。手堅くバントで二死にしてでもと思った瞬間、2塁ランナーが3塁へ。大胆にもランエンドヒットと積極策に打って出てまたも一死3塁、今度こそスクイズで先制の場面を迎えました。

 しかし、スクイズの気配は一向に見えず2ストライクと追い込まれ強行策かと思った5球目に意表を突くバントが捕手の前にころがり、ノドから手が出るほど欲しかった1点が入りました。接戦を予想し後半勝負と見ていたまさに泉ヶ丘らしい点の取り方です。泉ヶ丘は、九回先頭の向井が右中間にこの試合初の長打を放ち、バントで3進した一死3塁の追加点のチャンスを作りました。ここで9番林が1-2から投手前へスクイズをきっちり決め、3塁から向井を迎え入れて貴重な2点目が入りました。その裏、桐生第一の反撃を諏訪が落ち着いてかわして、叶えた「100年の夢」を初戦突破と最高のカタチで飾りました。
 都城泉ヶ丘高の勝因は、普段実践している自分たちの野球を晴れの舞台で存分に発揮したことに尽きますが、その原動力はなんと言っても主戦左腕・諏訪日光投手の快投でしょう。桐生第一の福田監督が「好投手と聞いていたがここまで良いとは・・・。3点取るのは難しいと思っていたが、打てませんでした。」と脱帽していたのが印象的です。
 やや下がり気味の左のスリークォーターから投げる球には切れがあり、ストレート、スライダー、カーブ、シンカーをコーナーに投げ分け打者に的を絞らせない投球は見事でした。打たれた安打が初回の3塁内野安打と最終回の中前ヒットのわずか2本。特に四回無死で死球の走者を出してから九回2アウトまで一人の走者も出さないしかも、ほとんどの打者が内野へのゴロと言うのはいかに低目にボールがコントロールされていたかを物語っています。ストレートの最速は130㌔ソコソコながら、それを補って余りある投球術とテンポの良さが、守備陣にもリズムを生み軽快な動きが打撃にも好影響を与える全員野球を演出していました。
 同校の先輩に当る東国原英夫(そのまんま東)宮崎県知事も、「名誉ある勝利。大化けに化けるかもしれない。決勝は大阪桐蔭と」などと、冗談半分に話していましたが、春は得てして大会中に成長したチームガ栄冠をつかむことが良くあります。相手が関東の強豪で夏は全国制覇の経験もある桐生第一と言うことを考えると、知事のジョークもあながち冗談では片付けられないほどの快勝だったことは紛れもない事実です。
 ここ数年、甲子園に出場した宮崎勢を見ますと、故障や大舞台に気後れして普段の力を発揮出来ずに初戦敗退するケースが目立っています。そんな中で今日の泉ヶ丘の戦い方は、今までの県勢とひと味もふた味も違って、勝つべくして勝ったと言うまさに甲子園での「勝利の方程式」を実践したような気がします。
 泉ヶ丘の次の対戦相手は、北大津(滋賀)と大垣日大(岐阜)の勝者と。初戦を経験したナインにとっては2戦目は、より地に足の着いた自分たちの野球ガ出来るはず。どちらのチームが出てきても好試合は必至。期待して見守りたいと思います。

泉ヶ丘 さわやかに散る
甲子園にさわやか「泉風」
第79回選抜高校野球
2回戦大会8日目第3試合                     2007年3月30日
チーム名 1 2 3 4 5 6 7 8 9
泉 ヶ 丘 高 1 0 0 0 0 0 0 0 0 1
大 垣 日 大 2 0 0 1 0 0 0 1 × 4
 
 「最高 !ものすごく嬉しい。ムチャクチャ気分が良い。」、「今までで最高に気持ちが良い・・・。」、「ここで負けると思っていた。先のことはまだ考えていない。今は2勝したことに酔いたい。」愛知の名門・東邦高校を率いて24度の甲子園を経験している百戦錬磨の阪口監督が、興奮を抑えるようにインタビューに答えてそう語っていました。昨春、新天地に移ってまだ2年目、よっぽど嬉しかったのでしょう。
 裏を返せば都城泉ヶ丘高校の戦力をそれだけ高く評価していたことになります。
実際、負けはしましたが、泉ヶ丘高校は持ち味の守備で随所に好プレーを披露し、打撃でも初回に相手好投手に力負けすることなく芯で捉えるクリーンヒットを4本連ね1点を先制しました。
 泉ヶ丘の2戦目は、希望枠で出場の大垣日大(岐阜)です。ともに初出場ですが、大垣日大は本格派右腕を擁し、抜群の守備力と出場校中2番目の高い打率を地区大会で残した投攻守3拍子揃った強豪校です。
 時折、テレビが映すベンチの様子から、初戦を戦った泉ヶ丘には「自分の庭」でプレーしているような落ち着きとリラックスムードが垣間見えます。この試合では打順を1回戦から大幅に入れ換えて臨んでいます。
 そんなリラックスした選手が自分達の野球を開始早々から展開しました。初回表、一死から2番森山がセンターへライナーで弾き返して出塁、3番に入った諏訪もレフトへ持っていき一死1、2塁、早くも先制のチャンスです。しかも、バッターボックスには4番福田が入っています。
 期待に応えて主砲の放った打球は三遊間をあっと言う間に抜けて、2塁から森山が俊足を飛ばしてあっさり1点が入りました。冬場の右投手攻略の練習が早くも実を結びました。続く竹脇も中前に安打、2塁ランナー諏訪は3塁で自重し、一死満塁。うまくすれば大量得点のチャンスです。ここまでの打者は、ノビノビと思い切った自分達のスイングをしていたのが印象的でした。
 一方、大垣の主戦・森田は、「こんなはずでは」と、明らかに焦りの色が見えます。しかし、経験豊かな監督はこんなピンチにこそ力を発揮します。的確なアドバイスが功を奏したのでしょう。我に返った主戦は、得意の鋭いスライダーを駆使して後続の林、向井を空振りの連続三振に切って取りました。
 泉ヶ丘にとってはもう1~2点手堅く入れておきたかった初回の攻撃でした。
 ここでまたベテラン監督の采配が見られます。何とか1点に抑えてベンチに戻ってくる大垣日大の選手に満面の笑顔と大げさなジェスチャーで喜びを表します。「4本も打たれて良く1点に抑えたな。お前達、すごいよ。」選手も監督が笑顔一杯で自分達を迎え、誉めてくれて嬉しくないはずがありません。「やってやろう」と言う気にだれしもなります。
 案の上、1点取られたその裏、先頭の小川が1-3からカウントを取りにきた諏訪の得意球のスライダーをレフトへライナーで運びました。諏訪の表情が一瞬こわばりました。2番の送りバントで一死2塁の場面、中軸を迎えて力が入っているのでしょうか、球が上ずります。
 3番は高目の球で仕留めツーアウトとしましたが、4番大林に内角の甘いストレートを右翼線に持っていかれる2塁打を喫して同点に追いつかれました。
 さらに1、3塁の場面で6番箕浦に真ん中に入ったスライダーを叩かれショートを強襲する内野安打で2点目を取られ逆転を許しました。さすが大垣日大の打撃は非凡なものがあります。
 四回は先頭の森田が左前打で出ると続く箕浦の打球は諏訪を襲う内野安打で無死1、3塁。7番北上はスライダーに泳ぎショートゴロ併殺。この間に3塁ランナーが還って3点目が入りました。八回裏は、2塁打2本で1点を追加され結局、1―4のスコアで2回戦で敗退しました。
 主戦諏訪は初回こそ乱れましたが、その後はバックの好守備もあって何とか踏ん張り、被安打10ながら失点4、無四球完投は立派な内容です。

 佐々木未応監督は、試合後のインタビューで「うちらしいゲームは出来たが、勝つにはもう少し力が足りなかった。相手が球際の強さで1枚上だった。」と語っていました。
 六回裏、二遊間に飛んだ難しいゴロを回り込んで処理、アウトにした林2塁手、七回一死2塁で右中間に上がった飛球を飛び込んでキャッチ、素早く2塁に転送し併殺を完成させた道久(どうきゅう)中堅手を筆頭に内外野ともキビキビした動きで、この試合無失策、3併殺など守備面は泉ヶ丘高校の持ち味を存分に発揮したと言えます。
 守備に関しては及第点でしょう。もちろん、諏訪日光投手の快投も見逃せません。
 外を主体に横の揺さぶりと緩急をつけて打者のタイミングをはずした頭脳的な投球は甲子園に強いインパクトを与えました。「夏にまた来いよ」甲子園のファンは温かい声を掛けてねぎらっていました。
 ナインはもう一度、こんどは夏に戻ってくることを誓ったのでしょう。誰ひとり「甲子園の砂」を持ち帰る選手は見当りませんでした。
 甲子園にさわやかな「泉風」を巻き起こした都城泉ヶ丘高校の活躍は、他の宮崎県勢に大きな刺激を与えたはずです。同じような境遇の県立高校は、「自分達もやれば出来る」と。私立勢は、「泉に出来て俺達にやれないはずがない」と。
 夏まで4ヶ月余り。県内の勢力図は昨年のような私立一辺倒と違って、県立勢も比較的戦力が整っていて混戦模様です。4月には新しい血を注入してより活気が出てきます。「最大の目標」に向けて始まる最後の直線勝負。今年はどこの学校が晴れの栄冠を勝ち取るのか。楽しみな4ヶ月になりそうです。

第89回全国高校野球宮崎大会
 いよいよ始まりましたね。夏の高校野球が。私にとっての宮崎の夏は、高校野球宮崎大会から始まります。この季節になると、幾つになっても心がウキウキします。高校野球の公式戦は、年に5回行われますが、この夏の大会はやっぱり格別です。
 「今年はどこが甲子園に行くのだろうか」とか、「どんなドラマが展開されるのだろうか」とか、「新しいヒーローは生まれるのだろうか」などなど。
 また、毎年この時期にしか会えない野球ファンもたくさんいます。今年は7月7日開幕でしたから、七夕そのものです。残念ながら雨でしたが。
 ところで、雨と言えば今年は、かなり厄介になりそうです。開会式も水浸しのサンマリン宮崎で強行しましたが、試合は出来ずじまい。天気予報を見ても傘のマークばっかりです。
 では少しずつ、今年の大会の見所を私なりに書いていきます。

雨の中の開会式・第89回全国高校野球選手権宮崎大会
 雨には困ったもんですね。
 第89回全国高校野球選手権宮崎大会は、梅雨末期の長雨にたたられて、日程が消化できない日々が続いています。
 7月7日に、予定通りに開会式は行われました。
 しかし、今年は、特待生問題など私学勢はもちろん、公立高校にも迷惑と不安を与えたことから、最後の年に当る3年生には少しでも良い思い出を作ってもらいたいと、宮崎県高野連上層部が、大雨にもかかわらず、広い「サンマリンスタジアム宮崎」での開会式を強行しました。この措置に保護者や関係者から多くの賛同の拍手が挙がり上がりました。
 さらに、大会登録メンバーに入れなかった3年生全員も入場行進に参加する措置を施す全国初の試みも大成功を収めました。ベンチにも入れず、歯を食いしばって頑張ってきた3年生には、大変良い思い出ができたことと思います。

      サンマリンスタジアム宮崎
 
 
そして、開会式が終わり、「いざ出陣! 」と、各校が気合を入れ直した直後から雨脚が速くなり、その後、連日雨に泣かされて、大会5日目を迎えても、まだ5試合しか消化されていません。
 ここ10年間を見ても、昨年は雨の中で開会式を強行しましたが、翌日からはゲームが出来るコンでションになりましたし、一昨年も開会式直前に強くなった雨のため、式場を軟式野球が出来るほどの広さを誇る「木の花ドーム」に急遽移して、入場行進と開会式を終えると、翌日から1日遅れながらスケジュールは順調に消化されました。
 そんな訳でここ10年間は1~2日の順延はあったものの、大会日程を無事消化して甲子園代表校が、決っていました。
 思い出すのは、平成5年の75回記念大会の時です。この大会の雨は、特にひどいものでした。
 第2シードの延岡学園が、準々決勝の小林西高戦を前に、雨が降り続き、スクールバスで、当時、宮崎市錦本町(現在の宮崎北警察署隣)にあった県営球場まで、毎日毎日来て待機、順延が決るとまた、延岡まで帰ることを繰り返していたのが思い出されます。
 確か3日間ほど、同じことを繰り返したと記憶しています。
 体調や気力に影響が出ないはずはありません。
 案の定、やっと試合が出来るようになると、それまで、快調に打ちまくっていた打線が小林西高・笹山投手の前に、沈黙し0-2で敗退しました。もっとも、大会ナンバーワン右腕に十分過ぎるほどの休養を取られたら、いくら強力打線でも打てるはずがありません。
 小林西高は、第2シードの強豪・延岡学園を破ったことで、勢いに乗り日南高校、都城高校と撃破し、宮崎県西部いわゆる西諸地方からはじめての甲子園出場を果たしました。
 結局、雨にたたられたこの大会は9日間も日程が伸び伸びになり、決勝戦が行われたのは8月に入ってからの3日と、異例のロングランになりました。当時も宮崎市営球場(現在のひむかスタジアム)との併用でしたが、降り続く雨に関係者はやきもき。だが、どうすることも出来ず、小林西高は優勝の余韻に浸る間もなく甲子園へ旅立っていきました。

雨の中、元気に入場行進する選手
 
 今日は、2007年7月11日です。
 大会が始まったのが7日。初日に試合が出来なかったのをはじめ予定では現在までに21試合は消化しているところですが、まだ5試合のみ。この先天気予報も雨マークが続いています。南海上をゆっくり北上する台風の動きも気になります。14年前の悪夢は「もうケッコウ」と、願い下げたいところです。
 ところで、この1年間はいろいろありました。一番大きな問題、世間を騒がせたのは私学への特待生問題でしょうが、この問題は4月に日本中で容認派、反対派など喧々諤々の熱い議論が交わされました。
 結局、関わっている学校は5月の1ヶ月間対外試合禁止、責任教師も5月1ヶ月間の謹慎処分で、とりあえず落着。現在、落ち着いています。
 プロ野球西武から選手への金銭供与や日本学生野球憲章が禁じる特待生制度の存在が発覚し、この問題の発信源となった専大北上高校(岩手県)も5月24日、日本高校野球連盟(脇村春夫会長)に再加盟を申請して6月に受理され日本高野連は再加盟を認めました。一端、野球部を解散し、「野球同好会」に移行した同校ですが、1ヶ月あまりで元の木阿弥。今夏の第89回全国高校野球選手権岩手大会に参加できる見込みです。
 この間の大騒動は一体何だったのでしょうか。やっぱり、というかろくに現状の把握もしないで原則論で突っ走った結果は、振り出しに戻っただけです。最初にボタンを掛け違えた高野連の上層部は、猛省すべきでしょう。
  カネになる野球が、カネと無縁でいられる訳がありません。
 『汗と涙と泥にまみれた青春』・・・美化したイメージで突っ走ってきた日本高校野連は、もっと現実の世界を理解しなければなりません。いつまでも、高齢者が椅子にふんぞり返っていては「裸の大将」から脱却できません。
 そんな批判が続々寄せられたのか、日本高野連は、2009年度以降の生徒募集に向けた特待制度の基準づくりについて議論する第三者機関、「特待生問題有識者会議」の委員15人を発表しました。第1回会議が東京都内で公開で行われ、10月初めまでに提言をまとめることになりました。

 

宮崎市営アイビー球場

 
しかし、委員の顔ぶれを見ますと、一部の委員を除いて、「これで何が出来るのだろうか」と、首をかしげる人選です。

 
たとえば、元プロ野球ヤクルト選手の栗山英樹氏、シドニー、アテネ両五輪でメダルを獲得した女子ソフトボール元日本代表監督の宇津木妙子氏、写真家の浅井慎平氏、さわやか福祉財団の堀田力理事長らスポーツ、教育、法曹界など幅広い分野の面々です。
 
とりあえずは、お手並み拝見と言ったところでしょうか。
 また、来年度の入学予定者に対する特待制度については経済的支援を必要とする生徒に限り、暫定的に容認されましたが、2009年度以降については結論は出ていません。会議では野球部員の特待制度を禁止する日本学生野球憲章の見直しも含めて議論するそうです。

 
日本高野連の脇村春夫会長は「提言は尊重するが、われわれも都道府県高野連と議論しないといけない」と話したそうですが、すべての行動が中途半端で遅すぎます。
 

 
ちょっと、横道にそれてしまいました。
 気になりますのが、今年の大会の行方ですよね。既に、大会は始まっていますが・・・・・・。

 
5月の宮崎県選手権大会に私立の11校が特待生問題で参加を辞退したことが、どう本番に響くか。これは、実際のところフタを開けてみないと分からないでしょう。
 とは言えその間、各校とも豊富な練習量を積んでいますので、大きな影響はないでしょう。逆に、いつもの年より戦力アップしているかもしれません。抽選にしてもしかり、シード校の顔ぶれは少し変わったかもしれませんが、結局のところ大会の風にうまく乗ったチームが栄冠を勝ち取ることになるのでしょう。

 
そんな中では、やはり日南学園の戦力が充実しているのは、大方の見方でしょう。 投手の3本柱有馬・湯野・中崎は、いずれもマックス140㎞前後のストレートとキレの鋭い変化球で打者を抑え込む本格派です。 有馬は中学時代からボーイズリーグで騒がれ鳴り物入りで入り、1年次から頭角を現した大会ナンバーワン左腕投手の一人です。
 
湯野は右の本格派。1年次から実戦を経験し、安心してマウンドを任せられる3年生投手。中崎もまだ2年生で左腕投手です。
 春の九州大会県予選は、5試合で失点わずか1、自責点はゼロ。しかも、その後の九州大会も決勝まで進出、長崎清峰に延長十回、逆転を喫し準優勝に終わりましたが、この試合は勝って当然の試合展開でした。
 日南学園の一番悪い、気を抜くプレーが顔を出した結果と受け取っています。

 
打線も不振だった主砲の中本に調子が戻り、上位から下位までどこからでも長打が飛び出し、機を見てはヒットエンドランや単独スチールなど機動力を絡める打線は、相手投手にとって気が抜けません。初戦で自分達の野球が出来、順当にいけば、甲子園への最短の位置にいるのは間違いないところです。
 
宮崎県選手権の決勝で日向高校の投手陣から19安打で15点を奪って29年ぶりの栄冠を手にした都城商業の戦力充実は目を見張るものがあります。
 
毎年、原田賢司監督が好チームを作って乗り込んできます。この1年間の公式戦を見ても常に上位に顔を出しています。
 ここ2~3年は、甲子園まであと一歩と言うところで、憧れの夢舞台進出を阻まれ悔しい思いをし続けています。

 
過去3年間、8強、4強、4強と投攻守バランスの取れたチームで申し分のない成績を収めています。
 しかし、やはり目標はあくまでも甲子園。第1シードの今年も投の柱の永吉、打では注目の大型スラッガー柏田を擁し、26年振りの甲子園を狙って毎日、最後の調整に余念がありません。

 
都城泉ヶ丘は、「100年来の夢」を実現して今春のセンバツ大会への初出場を果たしました。夏は、自力での出場を目指し、少ない練習時間を効率的に使ってレベルアップしています。
 
主戦・諏訪日光は甲子園での一勝が大きな自信となり、緩急をつけたピッチングに磨きがかかってきました。
 打者との駆け引きにもより長けてきた気がします。
 問題は、センバツでそうであったようにスタミナの持続でしょう。

 
特に今年のように雨で思うような練習が出来なかったり、晴れても湿気の多い気候で、いつも以上に体力が消耗してしまいます。その辺りが正念場でしょうか。チームカラーが堅実な守備からリズムを作り攻撃へつなげますので、炎天下の集中力維持も勝ち上がるための大きな要素のひとつでしょう。泉ヶ丘の大きなアドバンテージは、選手全員が甲子園を経験していることです。大舞台でのプレーは、目に見えない自信になり緊張感を取り除いて、普段着の落ち着いた自分たちのプレー発揮を無意識に手助けします。上位戦になればなるほどその力は大きなものとなります。
 
久しぶりにシード入りの宮崎商業の注目は、左腕の大型投手2年生の赤川克紀です。184㎝の長身から投げ込む速球には威力があり、コーナーに決まり出すと攻略に手こずります。身長も昨年からすると2㎝伸び、体重も10㎏近く増え、腰周りが大きくなり下半身がガッチリしてきました。
 何と言ってもまだ2年生、しかも左腕の大型投手。将来を見据え、こじんまりとまとまらず、大きく育ってもらいたいものです。チームの特徴は守備力。打線に破壊力がなく大量点が望めないため、しっかり守り抜き、赤川、佐藤、落合の投手陣が自分達の役割をきっちり果せば、38年振りの夢舞台の可能性も大きくなることでしょう。

 
日向高校は、新名と柳田と言う左右の、タイプの違う投手を擁し、上位を伺います。新名は右の本格派でどちらかと言うと緩急をつけて打たせて取るタイプでしょう。柳田は、181㎝の長身を利して投げ込む速球は130㎞台の後半を計測します。
 
最近は、井上や薄田の2年生コンビが急成長を遂げており、投手陣は万全の状態で大会に臨めそうです。秋、春の九州大会県予選は、2大会とも1回戦で姿を消しましたが、6月に行われました宮崎県選手権では、あれよあれよと言う間に決勝まで上り詰めました。これも投手陣の底上げが進み、打線がしぶとく食い下がった結果ですが、決勝戦で都城商業に大敗した結果をどう受け止めるかで、夏の戦い方、結果も見えてくるものと思います。

 
織田、黒木投手を擁して夢の甲子園に、始めて乗り込んだのが平成元年。甲子園監督の後を引き継いだ森純雄監督も数多くの好投手を育てて、夢の実現を目指しますが、ここまで憧れの舞台は遠いところにあります。

 
昨年の春夏甲子園に駒を進めた延岡学園は、今年はどうでしょう。
 
この1年の成績を見ると、延岡学園としては満足のいくものではありません。いずれも3回戦止まりで優勝争いに一度も絡んでいません。しかし、百戦錬磨の浜崎満重監督のこと、このままでは終わるはずがないと思います。
 
5月の宮崎県選手権に出場していないため、情報は乏しいのですが、毎年調子が上がって来るのは6月からです。
 投手陣は、昨夏を経験した齋藤や壱岐に、2年生の長身石川が調子を上げてきて失点が計算できるようになりました。
 一方、良い投手にかかると、なかなか点が取れなかった打線も、甲子園で活躍した米良や大型の森を中心に、犠打や機動力を駆使して得点効率もアップしてきました。守備に破綻を生じなければ、シード校もウカウカできないだけの戦力は有していると見ます。

 
このところ甲子園から遠ざかっている延岡工業も、久しぶりのシード入りです。しかし、県選手権に私学勢が欠場したからと言う感も強いのは確かです。春の九州大会県予選でベスト四まで進んでいます。
 
投攻守走どれをとっても平均的でしょうか。打は、場面を考えた打撃で走者を進め、倉橋、谷口で返すパターン。
 上位下位ともすごみはありませんが、球に食らい付くバッティングで1点1点を積み重ねる攻撃です。
 守備は、内野、外野ともこれと言ったアナはなく堅実でしょう。
 特にセンター倉橋を中心に強肩が光ります。延岡工業が、甲子園を目指すには、もう一息といったところ。「絶対甲子園に行く」と言う強い気持ちと気合が必要でしょう。
 一昨年、夢舞台を経験した
聖心ウルスラは、機動力が持ち味のチームです。この春、専用の立派な練習場が出来上がり、ナインは大いに燃えています。トップの河野が出て足で掻き回し、中軸の黒木周平、黒木将毅で返すのがひとつの得点パターンです。この二人の前にどれだけ走者を溜めるかがキーポイントになります。
 下位は今ひとつ確実性がありません。したがって、好投手に当たった時いかに走者を出し、前へ進めるかが勝敗に直接影響します。
 守備面は広いグランドが使えるようになり、内野、外野などの連携プレーが出来るようになり守備範囲は確実に広がって守備力も上がっています。
 一方、投手陣は小柄ながら左腕の近藤が安定しています。投球術に長けていて打たせて取るピッチングが身上です。他に田原、矢野など実戦経験豊かな投手がおり、本番では継投が予想されます。これら投手陣を成長著しい捕手・檜垣が引っ張ります。
 今年、注目しているのが
妻高校です。シードではありませんが、主戦森松の投球に注目です。秋、春の九州大会県予選でいずれもベスト8まで進出した原動力は、森松の右腕です。177㎝、68㎏の均整の取れた身体から投げる球にはキレがあり、球速も140㎞近くを計測します。他に落差の大きいカーブが武器の清水、サイドスローの中武完と、揃っています。

 
打線も比較的良く打ちます。特に、トップの上田やクリーンアップの横山、森松、森川や角田などパンチ力のある打者が揃っています。守りは堅く内野、外野の連携も良く投攻守揃ってアナがありません。
 恐らく、ここ10年間で妻高校としては、一番戦力が整っているのではないでしょうか。

 
組み合わせを見ると、厳しいパートです。初戦で勝てば次は、都城高校が待っています。そこを突破すれば、次は日南学園でしょう。投手陣に踏ん張りを期待したいと思います。
 
宮崎日大は、比較的恵まれたパートに入っています。新人戦で準優勝、秋、春の九州大会県予選は、いずれも日南学園と対戦、好勝負をし0-1、1-2と最小得点差で負けましたが、逆に見れば差はないとも言えます。
 
チームとしては投攻守が高いレベルでバランスが取れています。昨年夏の決勝で悔しい思いをした選手が今年のチームの中心を占めており、雪辱に燃えています。
 主戦は別府。直球とカーブなど変化球の緩急をコントロール良く決め、打たせて取ります。酒生は思い切りの良い投手です。楠本は、185㎝の長身から角度のある球を投げます。

 
基本的には先発が出来るだけ引っ張り継投で逃げ切るパターンです。攻めは足技を積極的に使って相手投手や内野陣を揺さぶるのを得意としています。
 走者を溜めて竹之下、玉野、谷山などの中軸に廻すと大量点も望めます。守備はセンターラインがしっかりしていて、守備から崩れることはありません。
 ナインは、「昨年の轍は、二度と踏まない」と、リベンジを胸に大会に臨みます。


そして、雨・雨・雨・・・・・・
 7月14日(土)午後に台風4号が去って、やっと宮崎に青空が戻ってきそうです。
 大会が始まってから、思うような練習さえ出来なかった、まして満足な条件に恵まれず、野球をしなければならず敗れ去った球児たちには、今年の天候は気の毒な限りです。
 最後の試合くらい、きちんとした体調と、グランドコンデションで高校野球の最後の試合に臨んで欲しかった。選手本人はもとより、指導者、チームメート、家族など関係するみんなが、そう思ったことでしょう。
 まだまだ、天気については油断できませんが、延び延びになった影響は、試合日程を直撃し、残りの1回戦、2回戦は、サンマリン、アイビーのほか「ヒムカスタジアム」の3球場を使って行われるとのこと。
 長いこと高校野球を観ていますが、甲子園を賭けた夏の宮崎大会が、3つの球場を使って行われるなんて記憶にありません。
 これまでの順延分をカバーするためと思いますが、そうなると試合間隔が短くなり、選手の体調管理にも影響が出そうです。
 各球場の今後の予約の状況もあるのでしょうか。
「そんなに急いでどこへ行く」ではありませんが、松元泰理事長はじめ宮崎県の高野連幹部や、各学校の指導者の皆さんも大変でしょう。お気持ちをお察し致します。

アイビー3塁側

アイビー1塁側

 
7月14日(土)、中心が宮崎県南部を横切った台風4号は、不幸中の幸いと言いますか、被害の大きさは予想を下回ることができました。確かに宮崎県の中央に位置する西都市や日向市などは、水による被害をうけました。特に、西都市では今話題の完熟マンゴーのビニールハウスを水が襲い、収穫前のマンゴーが大打撃を受けました。
 7月15日(日)、久しぶりに見る青空です。高校野球も、やっと試合が出来る状態になりました。ただ、宮崎県の夏の大会としては、はじめて3球場を使っての遅れた試合日程の消化です。勝ち上がればより試合日程はタイトになってきます。体調管理にも神経を使わなければならないでしょう。

センター頭上のスコアボードの旗は強風に千切れんばかり=サンマリン
 
 
ところで、15日の試合はどこの球場も物凄い風が吹いていました。台風は既に関東まで達していたと言うのにです。球場のスコアボードの旗が千切れんばかりの強風でした。
 当然、試合にも影響が出ていました。特に、高く上がったフライの処理にはどのチームも苦労していました。台風の吹き返しの西風ですので、打者にとっては有利です。何しろ本塁からレフトに向かって吹くのですから。ひむかスタジアムの本庄高校海老原の一発や、延長13回に飛び出した宮崎北高の伏兵宮元の決勝の一発は、まさしく風に乗ったホームランでした。15日は、都城高校の西川投手に注目していたのですが。本来ですと140㎞を軽く超えるストレートが魅力の豪腕投手ですが、春先にボールを頭に受けて、調子を崩していました。回復具合はと言いますと、クエッスチョンマークです。まだ完全に復調したとは言えないでしょう。確かに短いイニングでしたが、相手にもよりますから。投手陣の柱へ復帰できるか。次戦で答えが出ると思います。
 その他、高千穂高校が面白いですね。雨空を見上げながら、何度か宮崎ー高千穂間を、往復してましたが台風接近時は帰ることも出来ず、宮崎に泊まり試合に備えました。車ですと3時間30分はかかりますから。移動だけで大変です。気の毒ですが。で、初戦、小林工業に10-0と7回コールドで快勝しました。高千穂高校のコールド勝ちは記憶にないですね。4~5年前、奇藤投手を擁して評判になったことはありますが、今年は主戦戸高が良いですからね。打線も主砲の佐藤敏が4本、3番の伊藤祐が長打を含む2本と中軸が当っていますので、今後が楽しみです。

やっと再開
 
 
7月16日(月)、風も収まり絶好の野球日和です。ちょっと蒸し暑いですが。
 この日の注目は、日南学園、都城商業、宮崎商業に泉ヶ丘。
 まず日南学園は、高原高校と対戦しました。先発は2年生の左腕有馬です。もちろん注目を一心に集める大会1、2の投手です。
 結果はさすがのピッチングでした。140㎞前後のストレートを主体に切れの鋭いスライダーを制球良く投げ込んでいました。奪三振は12、四球1に被安打はわずか2。
文句なしの9回でした。ただし、打撃陣がいけません。初回に幸先良く1点を挙げましたが、後が続きません。
 ジリジリするような展開が8回まで続きました。それでも得点はわずか3点です。初戦は確かに難しいでしょう。
 ま、高原高校も岡元監督に鍛えられたチーム。エース・田中もソコソコの球を投げますからね。雨で1週間も延ばされました。その辺は割り引かねばなりませんが、全体に当りが止まっています。特に4番中本のノーヒットが心配ですね。
 都城商業は、飯野高校と対戦しました。前半から得点を重ね、終わって見れば10-3です。しかし、9回を戦い切ってのスコアです。ヒットは面白いように打ち、確か15安打でしたか。四球も二桁もらったはずです。それにしては効率の悪い攻めです。残塁も12でしたか。ちょっと多いですね。
 確かに打撃には迫力があります。ですがこの試合は当然、コールドで終わって良い試合のはずです。
 一方、主戦永吉は、今日は「馴らし運転」でしょうか、余裕でしょうか、3回で早々と退きました。この間、ヒット1本は打たれましたが、盗塁失敗がありましたので、9人できっちり締めました。制球もまとまっていて問題ないでしょう。
4回からは、経験をつませるのでしょう。1年生の藤本を持ってきました。
M工業のH選手、初球に見事なドラッグバントを敢行。ボールは投手左へ転がり1塁へトス。
転がると同時に、俊足を飛ばし1塁へ。ベース手前でヘッドスライディング。審判の判定はセーフ!

 
宮崎商業は、高鍋との対戦です。ここにも2年生の大型左腕・赤川がいます。この試合では、初回から飛ばしていました。高鍋のバッターの空振りばかりが目立っていました。高鍋は打線の編成上、仕方ありませんが8人が左です。当然バッターは不利でしょう。
 結局、16個の三振を喫しました。そのうち12個が空振りの三振です。これだけ三振を取ったのですから、良かったのでしょうが、立派な身体(184㎝、87㎏)を十分使い切っているかと言いますと疑問です。投げ方が、いわゆる「イチ、ニー、サン」。タメがないのです。
 高鍋も初戦では16本のヒットを連ねた打撃のチーム。左対左の不利があったとは言え、2塁打を含む6本のヒットを浴びせ意地を見せていました。
左打者に打たれるそこらへんが赤川には課題でしょう。
 チーム打撃も今1歩です。挙げた2点は相手ミスによるものですから。上位戦になると、宮商はよっぽど気合を入れないと厳しいでしょうね。今日の戦い方を見てそう思いました。
 もう1校の都城泉ヶ丘ですが、今日は部員不足と経験不足のチームが相手。相手が、名前負けし勝手に転んでくれた感がありますが、7回コールドの8-1。主戦諏訪も相変わらず投球術に長けていました。マウンドでは落ち着き払っています。
 打線も相手のミスに付け込んだり、連打で得点を重ねたりと、攻撃力は春より、格段に上がっています。センバツでの1勝がナインに、確固たる自信を植え付けているようです。
 ただし、不安材料もあります。諏訪に続く2番手投手です。これからは日程が過密化してきます。センバツでも諏訪の2戦目は、アップアップでした。
 そうしたスタミナが克服出来ているか。細身のタイプですので余計心配です。控えの牧田の踏ん張りが大きなウェートを占めそうです。

ナイスプレー!ベンチから飛び出し迎える控え選手

 
7月17日(火)、今大会は県北勢の活躍が目立っていますね。延岡学園、日向、延岡工業、延岡商業、延岡星雲、聖心ウルスラそれに高千穂ですか。
 まだ、2回戦段階ですが例年ですと、延岡学園、ウルスラ、延岡工業、日向辺りが残っている程度ですので頑張っている方でしょう。。
 延岡工業は、宮崎南の拙守と投手の不調に助けられた感じで、9-1と七回コールドで勝ち上がりました。下位の7、8番は長打が、上位は足技が冴えていました。
 今日のように黒木宏―松田―甲斐恭の継投がうまく決ると面白くなるかもしれません。差し当たっては、次の福島戦が正念場でしょう。
 延岡商業は、初戦で今年1年間負け続けていた延岡高校にコールド勝ちして勢いに乗ったのか、今日は初戦で12安打、14得点の西都商業を左腕尾宮が2安打に抑え、打線も二桁の11本と爆発して2戦続けてのコールド勝ちです。次の宮商戦が楽しみです。

懸命の声援を送る控えの選手1

 
妻―都城戦は好カードのひとつでした。妻の主戦森松が、打撃に自信を持つ都城打線にどれだけのピッチングをするのか、非常に楽しみな一戦と期待していました。
結果は、終盤まで1点を争う緊迫した期待通りの好ゲームでした。
 結局、九回ポイントゲッター・冨里のライトへの痛烈な3塁打で2者が返り、5-2で都城が打ち勝ちました。ところで、この試合の先発はサイドスローの仙田山。西川に繋ぐ先発の役目を担っている最近急成長してきた投手です。
 この試合は、九回2死まで投げて被安打6、自責点2は合格点でしょう。
 一方、西川投手ですが、この試合は登板しませんでした。試合が緊迫していたので普通の状態であれば、登板してもおかしくない展開です。
 試合にはセンターを守っていて、2塁打を含む4の2と打撃で気を吐いていましたが、最後の1死は小中が登板。何故だかわかりません。
 次の日南学園戦のための温存でしょうか。それとももう一つの体調なのでしょうか。 1回戦で、宮崎第1相手に16安打と打ちまくった宮崎西高。この日の相手は、格上と目された日南高校です。大方の予想は日南有利です。
 ところが、高校生の成長はわからないもの、どちらかと言うと貧打のイメージが強かった宮崎西高ですが、初回、先頭永井が日南の好投手山田に食らい付き、中越え3塁打を放って1点を先取すると、「いける」と波に乗った打線は、強豪日南と互角の戦いを演じ延長にもつれ込みました。
 そして、十一回表、相手ミスで得たチャンスを適時打や2ランスクイズなど得意の足技を絡めて3点を挙げ逃げ切りました。これまでの宮崎西高の戦いぶりからは、失礼ながら考えられない変身ぶり。次の試合もいけそうです。
 日向高校も順調に勝ち上がっています。6月の県選手権決勝で都城商業に大敗した影響は、全くみられません。むしろ良い薬になったように思われます。この日の相手は強豪・鵬翔高校を破った都城東高です。投攻守まとまった好チームです。もう既に一試合戦っていますが。
 日向はこの日が初戦ですので立ち上がりが心配されましたが、杞憂に終わりました。初回、先頭打者が右前に引っ張りヒットで出たのが、チームのムードを良くしたのでしょう。2回には7番坂本の3塁打とスクイズで2点を先取、その後も着々と得点を重ね、12安打で8点を挙げ都東に快勝しました。
 一方、日向高校の注目の大型左腕・柳田は、久しぶりの実戦で調子は今ひとつ。球は走っていて9つの三振を奪いましたが、後半は疲れから制球を乱す場面が見られ、仕舞には相手6番に一発を浴びる始末。球数も161は、いかにも多い気がします。次戦で本来の投球を見せてもらいたいと思います。
 最後に宮崎日大。この大会の優勝候補に挙がっています。
今日の相手は、初戦でAクラスの日章学園を延長で破って、勢いに乗る都城工業です。初戦は主戦牧野が先発しました。そして、11回を投げ切り11個の三振を奪っています。スタミナ抜群の大会でも好投手に数えられている一人です。
 この試合も先発です。宮崎日大は、制球力に自信を持っている右の別府が先発です。昨年夏も経験していて、三振も取れる投球術に長けた投手です。
 両チームともに破壊力を備えた打線ではありません。どちらかと言うと、投手を中心に守り抜く野球が身上のチームでしょうか。

懸命の声援を送る控えの選手2

 
この試合もまさにそんな展開になりました。初回に都城工業が、別府の立ち上がりを攻め、内野安打と敵失でつかんだ好機に5番の杉水流が中前に打ち返して、幸先良く1点を先制しました。
 一方、宮崎日大は五回まで牧野にヒット2本に抑え込まれて、前半は完全に都城工業のペースです。
 ようやくと言うかやっとと言いましょうか、六回2死から4番玉野がヒットで出て続く松川に左中間2塁打が飛び出し、試合を振り出しに戻しました。
 続く七回は先頭打者が内野安打で出ると、犠打や四球で迎えた2死1、2塁のチャンスに、2番谷山がセンターへヒットを放ち2塁から志佐を迎え入れ、ようやく勝ち越しに成功しました。、主戦別府の要所を締めるピッチングで初回の1点以降、都城工業に点をやらず接戦にケリを付けました。

 

暑い!!梅雨が明けた宮崎。日陰の屋根の下は、特等席
 
 7月18日(水)福島高校の延長戦勝利には驚きましたね。確かに6月の県選手権は、本大会ベスト四まで進んでいましたから、ある程度の力は持っていました。しかし、聖心ウルスラを退けるとは思ってもいませんでした。何しろ初戦で、勝ちはしたものの都城西高の2年生左腕投手に、8回で17個もの三振を喫していましたからね・・・・・・・。
 1点ビハインドの七回に、1死2、3塁の場面に6番川島がセンター前のヒットで同点、さらに2塁走者も本塁を狙いましたが、惜しくもタッチアウトで逆転はなりませんでしたが、ここまでウルスラの田原投手にヒット2本に抑えられていて、チャンスらしいチャンスは一度もありませんでしたから、この1点は大きかったですね。押し気味にゲームを進めていたウルスラに分があるとみていたのですが・・・。十回に2死から1番武田のヒットで2塁から一木を迎え入れサヨナラです。ウルスラは六、七回の好機をモノに出来なかったのが最後まで響いた感じです。投手田原は良く投げたと思います。


応援有難うございました。次も宜しくお願いします。
 
 今大会は、1点を争う好ゲームが目白押しです。初戦で強豪・宮崎学園を延長十三回、2ランホーマーでケリをつけた宮崎北が、2回戦も本庄高校と緊迫した投手戦を展開、3-2で本庄を退け、87回大会以来の3回戦進出を果しました。
 宮崎北は、右本格派の湯川が先発、本庄は小柄な左腕黒田と、両エースが序盤から持ち味を存分に出した投球を披露しました。宮崎北は、三、四回に相手守備のミスや先日の宮崎学園戦で、決勝本塁打を放った宮元の3塁打などで1点ずつ挙げると、本庄はその裏、2死1、2塁に6番海老原が左越えの3塁打を放ち、すかさず同点に追いつきます。しかし、宮崎北も引き離しにかかり、六回1死3塁の好機に5番青木がセンターへフライを打ち上げ、3塁から中原を迎え入れました。
 結局、この1点が決勝点となり宮崎北の3回戦進出が決りました。本庄高校も終盤、代打攻勢で攻略の糸口を見つけようと懸命に食らいつきましたが、今一歩届きませんでした。宮崎北の湯川投手は、前の試合で200球を超す投球をして中1日での登板です。この日は、四球が4個あったもののストライクが先行し投球数も102と間隔が短かった割には良い投球が目立ちました。


タッチアップ!!ライトぉ、ヨッツ、ヨッツだ!
 高千穂―宮崎工業戦も、まれに見る素晴らしい試合を展開しました。決着がついたのは再試合目前の延長十五回表ですから、高千穂にはもう1試合させてやりたかったと思いましたね。
 因みにスコアは3-2です。先ほども書きましたがこの大会は、本当に僅差の大熱戦が続いています。
この試合あでは、中盤までは宮崎工業が2点を挙げて投打とも押していましたが、今年の高千穂は一味違います。七回裏に1死2、3塁の絶好のチャンスに5番甲斐が左越えの3塁打を放ち2者が返り同点に追いつきました。
 高千穂は九回裏、1死2、3塁の絶好のサヨナラの場面を作りました。しかし、6番工藤の放ったサードゴロで3走が本塁へ突っ込みましたが、寸前で憤死。試合は延長に突入しました。
 宮崎工業は武田―新原―長友の継投で、高千穂はエースの戸高がマウンドを守り、回は進んでいきます。わずかに戸高に疲労が見え始めた十三回ころから宮崎工業がチャンスの目を広げるようになってきました。
 そして、十五回表、1死後、死球で出た走者を2塁に送って、迎えた2死2塁の場面、今日一番当たっている6番金田が左打席に入りました。金田は見事、期待に応えて、初球をセンター右に運ぶこの試合4本目のヒット。2塁走者がホームインし、待望久しかった1点が宮崎工業に入りました。
 高千穂もその裏、四球2つを選び懸命に反撃を試みましたが、わずかに届かず、試合終了のサイレンを聞きました。
 主戦・戸高は、15回で203球を投げ抜き、何度も訪れる危機を気力で跳ね除け、粘りの投球をしましたが、勝利の女神は最後まで微笑ませんでした。


3年間有難うございました。下級生は来年必ず甲子園に行ってくれ!

 日向工業と都城農業の試合は、1点リードされた都城農業が三回に打者10人を送る猛攻でヒット6本を集中させ、一挙6点を奪うビッグイニングを作り、終わってみれば14安打で8点を奪い快勝しました。
 守りでは無失策で切り抜け、投手陣も森―志々目とつなぎ、日向工業の反撃を四回の3点で断ち切りました。特に、救援した右サイドスローの志々目は変化球が切れていたのでしょうか、最後の2イニングで三振4個を奪い勝利に貢献しました。
 都城農業は、大会直前の7月5日、会場のアイビースタジアムで十分な調整を行ったのが功を奏したのでしょうか、過去1年間の公式戦でいま一歩の成績もこの大会に入って既に2勝。
 この試合でも三回の攻撃には、迫力と勢いを感じました。今後の戦い方が注目されます。


サンマリンスタジアム宮崎
 7月19日(木)
 今年は特待生問題が表面化して、5月の1ヶ月間、対外試合を禁じられた私立の多くの学校が、シードから外れたり、戦力未知数のまま大会に臨んだため、早い段階から有力校同士の対戦が組まれ、しかも長雨の影響でなかなか試合展開が読めません。それだけ面白さも増しています。
 有力校同士と言えば、今日の都城商業―延岡学園は、3回戦段階ではこれから先を占う意味で興味の尽きない対戦だったと思います。
 結果から言えば2-0で都城商業が完封勝ちを収めました。
 先発は都商が2年生の大型右腕金田、延学はエースの齋藤です。
 初戦日向学院とは延長十回、2回戦は強豪の佐土原相手と、いずれも気の抜けない2試合に完投してきた延学齋藤と、今日が初登板の成長著しい2年生金田投手です。
 ゲームは序盤から動きました。都商は先頭の中原が左中間を破る3塁打を放つと、2番福島が1球ファールの2球目をセンターへ持って行く、目にも止まらない速攻が決ってゲームの主導権を握りました。
 延学に考える暇を与えないこの1点は、その後の展開に、特に延学 齋藤に大きなダメージを与えた気がします。
 動揺を隠せない齋藤は二回に先頭バッターに死球を与え、三回も死球と四球で走者を溜めるなど、今ひとつ調子に乗れません。
 そして、四回につかまりヒットで出た先頭打者を犠打で送られた後、8番バッターにタイムリーを浴び、差は2点に広がりました。
 しかし、五回以降は自分を取戻し、都城商業の強力打線をほぼ完璧に抑えました。
 初回の先制パンチがなんとも悔やまれる1球になった気がします。
 一方の都商金田は、ピンチらしいピンチと言えば六回くらいでしょうか。1点は取られても仕方のない場面を向かえました。しかし、バックの好守備にも助け助けられ、この回を無失点で切り抜けると、そのまま九回を投げ切り、延岡学園に対し被安打5の完封勝利を挙げました。
 スコアブックを見ますと、球数は129。延学のアウトは振り遅れからか、フライアウトと早いカウントからのバッティングが目立ちます。球威があり、制球も安定していたことがうかがえます。これで都城商業は、初戦登板のエース永吉、1年生藤本と金田が加わり投手陣は万全でしょう。打線はこの試合では5本しか打てませんでしたが、足技も得意で、今年こそ何とかなりそうな予感がプンプンしてきます。


ヨイショッと! オラッ!

 延岡星雲-都城泉ヶ丘戦は、泉ヶ丘が格の違いを見せ付けてのベスト八進出でしょう。
 なんと言ってもエースの諏訪投手。前の富島高校戦は、三回までの調整登板でした。
 完投はこの大会、今日の試合が始めてです。打たれたヒットはわずか2本、奪った三振が丁度10個。星雲に3塁を踏ませない投球を披露しました。ただ、この試合では四死球が4個、それも無死や1死からボールが続き簡単に歩かせたり、死球を与えたりと出さなくて良いランナーも見られました。上位戦になればなるほど、1球の大事さがウェートを占めてきます。
 春から見てもマウンドさばきには定評がありましたが、投球数103から、内野ゴロが多く打者との駆け引きで低目の球をうまく打たせている様子が垣間見れます。
 打線は、2番の道久が3本、諏訪も2塁打を放つなど力をつけてきてはいると思いますが、チャンスに1本が出ない場面が多く見受けられます。
 この試合では残塁9ですが、得点は3。もう少し点が取れた気がします。


1本足打法・・・・・タイミングが良く取れるんです!!

 
 日南学園は、6-2で都城高校を退けました。日学の先発は3本柱のひとり2年生の左腕・中崎でした。
 被安打7に奪三振9、自責点が2と言う内容です。
 五回まで点をやらず、試合を作ったと言うことでは評価出来ますが、六回2番打者に追い込んでから3塁打を喫したり、最終回も無死から相手4番に2球目を右中間に引っ張られるなど、後半の2点は、慎重にいけば防げたかもしれません。
 普通のチームの投手でしたら好投で済むのでしょうが、春の九州準Ⅴいや実力はナンバーワンと言ってもいいチームです。その中の成長途上の2年生投手。先を見据えた場合、今から細かい野球の精度を上げていかなければ、全国を勝ち抜くことは出来ません。
 ただ、奪った三振9個のうち、7個が空振りと言うことはそれだけ変化球が切れていたのでしょう。
 打撃にも同じことが言えます。
 初回から相手のミスに乗じて2点を先制しました。二回も長短打で1点追加し序盤でかなり精神的な優位に立ったはずですが、七回以降は無安打、合計11本のヒットで10残塁は多過ぎる気がします。
 4番中本は1本打ちましたが、まだまだ全体的に本調子には遠い感じです。
実力から言って、4強まではスムーズに行くでしょうが、このまま調子が上がらないと、どこかのチームに足元をすくわれかねません。次の試合がチーム、特に打線のバロメーターになると見ています。


2006年第88回大会開会式

 7月20日(金)
 
 もう20日と言う感じ、例年ですとベスト四が出揃う頃です。
今日は3回戦3試合が行われました。ラジオを少し聴いていましたら、「雨で中断」なんて言うものですから、少々びっくりしました。延岡にいたのですが雨の気配は全くありませんでしたので。ただ、低い山までモヤでしょうか霧でしょうか、かかっていましたが。

 ところで、今日はいつもと違い少し大味と言いますか、暴投の日と言いますか、何と言いますか後味のすっきりしない試合が続きました。これも下(グランド)のせいでしょうか。

 第1試合は、延岡商業にも十分勝機があった気がします。宮商の先発・赤川投手、特に、立ち上がりはかなり乱れた様子が伺われます。一回裏を見ますと、与四球がふたつに死球まで。しかも失策までもらっているのですから最低でも1点は、延商に入っていてもおかしくないはずです。
 前半を見るかぎり、主戦赤川の制球にばらつきが見て取れます。安打も二回の津田聖の3塁打を含め5本も打たれています。津田聖は左打者です。ライトへ引っ張られると言うことは、球威にも欠けていたのでしょうか。

 ただ、三回までに6個の三振を取っていますが、いずれにせよ延岡商業には、付け入るスキが何度かあったと言えます。二回はその3塁打で、ヒットで出ていた尾宮を返して1点、三回も5番安在の、レフトへのタイムリーで、もう1点追加しています。
 一方の宮商は、初回に中軸の長短打で2点と、前の試合とはうって変わった速攻で先制しています。四回も主砲上柳のライトへのヒットを、打撃好調の小窪が中越えの2塁打で返し、同点後すぐに勝ち越しに成功しています。
 この辺は、前の高鍋戦での貧打と残塁のヤマの教訓が良く活かされています。
 
さらに、八回は内野安打と2四球の2死ながら迎えた満塁のチャンスに、小窪が左中間突破の2塁打を放ち走者を一掃、差は4点と広がりました。さらに最終回は2番三松の中前タイムリーで1点を加えダメを押しました。少なくとも攻撃に関しては、安打9で残塁は、わずかに4と非常に効率的な攻め方が光っています。赤川は8回を投げて奪三振10個。後半は立ち直った様子が見られます。
 延岡商で惜しかったのは、四、六回の場面。先頭打者がヒットで出て、打者はいずれも投手の尾宮。四回はスリーバントを失敗、六回はこれも送りでしょうか。3塁にフライアウトになっています。トップの津田聖が当たっていただけに惜しまれる逸機です。終盤の4失点は、これらのミスが、ピッチングに尾を引いたのでしょうか・・・・・。
しかし、久しぶりに見せてくれた延商の快進撃。胸を張って後輩に部を託してもらいたいものです。



構えはいいのですが、来た球は外角のスライダー腰砕けです。

 
第2試合は、宮崎西高ー宮崎工業です。
 丁度1時にラジオをつけたら雨のため中断中。「えぇなぜだ?」てなもんです。
 延岡の周囲の山々にはモヤがかかっていて、雨の気配など全く予想もできないのですから。しかし、夏場は良くありますね。こんな天気。自分がいるところは雨が降っていて、100m先は晴れていると言うようなこと。

 ところで、今大会の宮崎西高の健闘には正直びっくりです。こんなに粘りがあって打つチームとは、失礼ながら思いもしませんでした。1回戦の宮崎第一戦が16安打、2回戦はシードの日南高校に、終盤粘って延長までもつれ込み、十一回に一挙3点を奪っての勝利でした。打線も2試合連続の二桁安打ですから。ほんと良く頑張っているなあと、思います。
 今日の試合はと言うと、前の2試合以上の粘りを発揮しました。七回には、6点の差をつけられ、ランナーを3塁に置かれて、1打出ればコールドと言う場面を迎えました。が、気力と気迫でこの危機を乗り越えました。これだけでも大したものです。
 ところが、この差を追いついたのですから。驚異的な粘りです。回は終盤の八回でした。普通ならば諦める絶望的な6点差です。しかし、西高は「絶対勝つぞ」と、それまで以上に気力を振り絞り宮崎工業の好投手武田に向かっていきました。
 1死から怒涛の攻めを展開、四球とヒット2本で迎えたチャンスに、2連続暴投で武田を引きずりおろし、代わった長友に対しても攻撃の手を緩めず6番以下が4連打で、とうとう6点差を追いつきました。
 その裏、宮崎工業に暴投などで2点を入れられ、またまた苦境に立ちましたが、最終回、先頭の永井がヒットで出て1死後、盗塁に成功。打順はクリーンアップへ回りました。
 しかし、今からと言う時に、投手と遊撃手のタイミング良い連携で、俊足の2塁走者がタッチアウト。反撃のトーンは、音を立てて崩れていきました。それでも、3番高山は、最後のバッターにはなりたくないと、思い切りバットを振り抜くと打球はセンターの頭を越えてフェンスまで達する3塁打です。宮崎工業はここで抑えの切り札・新原をマウンドへ送りました。

 4番村上も最後まで粘りました。カウント1-1からの3球目。真芯に当たった打球はレフトの頭上めがけて飛んでいきます。ホームランか・・・・・? 打球は、無情にも懸命に背走したレフト村上のグラブに納まり、宮崎西高の「熱すぎる」夏が終わりました。この大会で3試合を戦いそのどれにも、思い出を深く脳裏に刻み込んだ夏、最高の仲間と戦った最後の夏。
成長の跡を確かに示してくれた宮崎西高ナイン。今度はそのたぐいまれな粘りと闘志を大学受験にぶっつけてもらいたいものです。



父母の会はいつも選手達を温かく見守ってくれる。

 第3試合は、お隣同士の対戦です。
 普通お隣同士と言えば、「仲良く、楽しく、助け合い」と言うイメージが浮かびます。
 もちろん、野球の試合においては勝つために互いが死力を尽くします。

 ところが、今日の宮崎日大―宮崎北高の「お隣対決」は飛んだことになってしまいました。
 まさかまさかの14-2の5回コールドです。
 勝者は宮崎日大です。だれがこんな結末を予想したでしょうか。
 宮崎学園、本庄高校と僅差の緊迫した試合を続けてきた宮崎北。強豪都城工業と互角の接戦を演じ2-1で辛勝した宮日大。両チームとも特に秀でた破壊力を持つ強力打線ではありませんが、ソコソコのものは持っており、接戦が予想されました。
 初回から誤算が生じたのは両校の先発投手です。
 宮崎北はこの試合が3試合目の主戦で責任感の強いキャプテン湯川。右の本格派で、球威のあるストレートを持っています。
 一方の日大は、この大会初先発の右の大型投手楠本です。
 宮崎北は初回、先頭の河野が四球を選んで出塁すると、2番潟山が送り2死3塁から相手投手の暴投で労せずして1点を取る幸先良いスタートを切りました。
 その裏の日大も先頭打者が死球で出ると、2番谷山がすかさず送りバントを刊行しましたが、好守に阻まれ2塁へ送れません。
 しかし、借りを返すクリーンアップの連続ヒットで振り出しに戻しました。
 宮崎北の主戦湯川は、3試合目の疲れか、肩の調子がおかしいのかストライクが入りません。
この回だけで21球を費やし、既に3本もヒットを打たれています。
 「こんなはずではない」・・・・・恐らく自問自答を繰り返したこと思います。
 二回の表、味方がまた1点勝ち越してくれました。本来ならば主導権を握り乗っていく場面です。
 悪夢は、早くも訪れました。
 二回の裏、この回になってもボールがストライクゾーンに入ってくれません。
 みんな高く抜けていきます。やっと打ち取った打球も落球と、チーム全体がおかしくなっています。
 人一倍責任感の強いキャプテンです。「何故だろう、何故だろう」打たれるたび死球を与えるたび、自分の頭の中は、真っ白になっていきます。
 そして、この回、1死も取れず2番手鎌田にスイッチしました。
 こんな想定外のことなど考えもしなかった鎌田が動揺しない訳がありません。
 まだ、完全に出来上がっていなかった肩から投ずる球は、みんなストライクゾーンを外れていきます。 傷口は、ますます深まりました。
 気が付くとスコアボードには信じられない数字が入っていました。7点です。
 この回、四死球が5個、打たれたヒットが3本、エラーも3つ点灯しています。
 恐らく初めての経験でしょう。
 しかし、これで終わりませんでした。三回に入ってもボールはストライクゾーンに行ってくれません。四球は二桁に乗る勢いです。暴投もいくつ記録したでしょうか。7番バッターに左へ2塁打を打たれさらに5点を献上してしまいました。
 投手が松田に代わり、ようやく試合が落ち着いてきました。しかし、まだ四回というのにスコアボードには、ラグビーのような点数が刻まれています。
 大半の宮崎北ナインは、初めて味わう屈辱でしょう。
 しかし、下級生はしっかり目に焼き付けたはずです。「今日の悔しさを忘れるな」。
 一番責任感の強い湯川キャップテン、今夜は眠れないでしょう。しばらく考える時もあるでしょう。
 しかし、これからの人生でリベンジの機会はいくらでもあります。
 こんな悔しさは、誰でも味わうことは出来ません。むしろ素晴らしい経験をしたと思って下さい。
苦しい時は思い出してください。この時のことを。
 きっと将来、役に立ち笑って振り返られる時が来るはずです。


選手宣誓。2007年第89回大会から

7月21日(土)

 
 台風が去って、順延がなくなりました。
 一時的に中断はあっても、このまま何とか日程は大丈夫でしょう。
 今日は日向高校と都城農業、延岡工業と福島高校の2試合が組まれていました。
 
 第1試合の日向高校―都城農業戦は、ハラハラドキドキの大接戦、延長12回までもつれ込みました。結果は2-1で日向高校の勝ちです。
 前にも書きましたが、6月の県選手権決勝で都城商業に19安打で15点も取られた影響は完全に払拭されています。

2004年8月の阪神甲子園球場駅風景

 選手の動きは非常に良いようです。
 特に投手陣。中でも先発陣が安定しています。主戦新名、柳田の3年生に、成長著しい2年生の井上、今大会まだ投げていませんが、これも成長著しい2年生の薄田も控えています。
 今日の試合では守備が光っていました。五回はライトのミスから、走者を3塁まで進ませ適時打を浴び同点に追いつかれましたが、一打逆転のピンチの場面でピッチャーゴロを冷静に判断、まず飛び出した走者を挟殺プレーで殺し、2塁を陥れようとした打者走者をタッチアウト。一瞬にして併殺を完成させました。自分達で犯したミスを、自分達で最小失点で食い止めました。評価出来るプレーだったと思います。
 七回は1死から2塁打で出た走者を3塁に送ろうとしたバントが投前のフライになり、2塁ランナーは戻れずこれもダブルプレー。前の2つを含めこの試合3つの併殺を完成させました。
 都城農業も先発した2年生左腕永田洸が、緩急をつけた巧みな投球で日向打線に的を絞らせず、延長十二回の1死まで引っ張り、エースの志々目に交替しました。
 永田洸にとっては高校に入り、おそらく公式戦最長の登板イニング数でしょう。自責点わずか2と好投しました。新チームのエースとして活躍してもらいたいものです。
 ただ、打線が日向高校の巧みな継投の前に1点しか奪えず敗退しましたが、強豪相手に勝ちに等しい好投で大きな自信をつけたことと思います。
 日向高校の次の相手は日南学園です。今日の試合ではバントなど、犠打で進める手堅い攻めが目立っていましたが、ここ1本が出ない詰めの甘さも露呈しました。延長十二回に、ようやく4番の長打で勝ち越しましたが、ヒット11本で残塁12は少し多過ぎます。
 日南学園の投手陣からは、そう点は奪えないはずですのでチャンスを確実にモノにする勝負強さと、投手陣のいつも以上の踏ん張りが必要でしょう。

スベレェ・・・スベレェ・・・3塁打ダーッ!

 もう一試合、延岡工業と福島高校戦。
 結果は7-0。七回コールドで延岡工業がベスト8進出を決めました。
 福島高校は、都城西高や聖心ウルスラなど投手に自信を持っているチームに競り勝っての3回戦進出です。原動力は2年生左腕の竹原です。
 過去2戦とも完投している、春以降、急成長を遂げた伸び盛りの投手です。
 しかし、大会3戦目の先発です。そろそろ疲れが出てきたのでしょうか。
 この日は球のキレが悪く、序盤から延岡工業打線につかまり、四回途中で降板、右のエース武田栄と交替しました。福島高校にとって当然、継投は考えていたでしょうが、四回はちょっと早過ぎ、誤算だったと思います。
 一方、延岡工業は、打線が好調です。上位下位満遍なく良く当たっていました。
 チャンスに早いカウントから打って出る積極性も見られました。
 9安打で残塁がたったの4つは、効率的に点を取った証しでしょう。
 1、2、3番と7、8、9番が左の延工打線が、今大会勢いのある福島の左腕投手を攻略したのは、大きな自信になること思います。
 一方、ピッチングスタッフの方は、黒木が先発し、松田、甲斐恭と繋ぐ、前の宮崎南高戦と同じパターンです。先発の黒木は下手から浮き上がる球や、鋭く曲がるスライダーを武器に打たせて取る投球が冴えていました。
 延岡工業の次の相手は宮崎商業です。またまた左腕投手。しかも今度はスピードが格段に違う大会1、2を争う好投手との対戦です。
 打線好調の延岡工業と言えども、今までのように大量点を奪うことは出来ないと思います。序盤から積極的に食らい付き、今までのようなチャンスに畳み掛ける攻めを期待したいと思います。

開会式を待つ風景2006

 この日の2試合で3回戦が終了、ベスト8が出揃いました。
 特待生問題など大会前、ゴタゴタがあった割りには、ほぼ予想に近い学校が勝ち上がっていますね。  何しろここまでシード校で負けたのが日南高校だけですから。
 とはいえ、下記にも紹介していますが、5月の対外試合禁止と県選手権への不出場が、かなり影響しているのも否めません。
 延岡学園、小林西高、日章学園、鵬翔高校、都城東高などいつもですと、この段階では残っていてもおかしくない私学の名前が今年はありません。
 昨年を例に挙げますと、ベスト8に残った県立高校は、実に都城商業たった1校でしたので、今年は昨年と様変わりです。
 まあ、別にここで私立が県立がと言うことを論じようとは思いませんがね。
 ところで、今年は都城商業、日南学園、都城泉ヶ丘、宮崎商業、宮崎日大、延岡工業、日向高校、宮崎工業の8校が、甲子園への1枚のキップ目指して、明日から8強熱戦を展開します。
 地区的にもバランスが取れています。戦力と顔ぶれから見ますと、やはり都城商業、日南学園の一騎打ち、そこに泉ヶ丘がどう絡むかと言うことになりそうですが・・・・・。
 いずれにしても、26日には晴れの甲子園代表校が決ります。
 


2004年夏 阪神甲子園球場前

 
7月22日(日)
 
 なんと言う失態。折角書いた「作文」だったのですが、パソコンのトラブルか自分の腕がないのか、消えてしまいました。今日は久しぶりに球場で観戦出来たと言うのにです。
 それにしても、今日の準々決勝2試合は、両極に位置する試合内容だったと思います。
結果を紹介します。折角書いた分はスコアブックを思い出しながら、明日サイトアップします。
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 『高校野球は今日から、いよいよ準々決勝です。
第一試合が都城商業対宮崎工業の一戦。第2試合は宮崎日大対都城泉ヶ丘戦です。
2試合の結果は全くの好対照になってしまいました。
都城商業は、前の試合では延岡学園と対戦しヒットは5本、得点もわずか2点と厳しい試合を強いられました。
今日はその反省が活きていました。ゲームを通してとにかく積極的に仕掛け、相手のスキを突く攻撃が随所に見られました。2回は「1塁走者が守備妨害では」との指摘を受けて中断、プレー再開後の次打者の1球目に1塁走者福島がスタートを切り、ラクラク盗塁に成功、打者・柏のライトへのヒットで1点を先制しました。3回は、打った当たりがことごとく内野の難しい所へ飛び、ヒットになる幸運が重なりました。もちろん、宮崎工業の主戦武田にとっては、打ち取った当たりがヒットになるのですから不運この上ないはずです。それも1本、2本ではなく3本もです。さらに失策は付きませんでしたが、なんでもないキャッチャー飛球を落球したり、野選と、これまで内外野抜群の動きをしていた宮崎工業の守備陣がどうもリズムに乗れません。名前負けしたのでしょうか、8強を意識したのでしょうか・・・・・。
直球にスライダー、カーブ、カットボールなど「七色の変化球」を操り、勝ち上がってきた武田には、ジワジワ重圧が加わったはずです。
都城商業はこの大会、ヒットの出ていなかった柏田に、無死満塁から2点タイムリーが飛び出し、さらに相手野選や投手永吉の2点適時打を加え、大量5点を追加しました。 柏田もヒットで出た直後の1球目にスチールを試みるなど、この日の都城商業は本来の畳み掛ける攻撃が出来ていました。そして、大量リードにも力を緩めることなく四回は柏田の右中間3塁打などで2点を追加、六回はヒットで出た3番中本を1塁に置いて、4番柏田がライトスタンドへ豪快な一発を叩き込み、コールドとしました。
盗塁は3つ。前へ前へと言う姿勢が良く出ていました。
一方、先発永吉にとっては序盤からの味方の大量得点はこれ以上ない援護射撃です。8分の力で打たせて取るピッチングに終始し、被安打4で3塁を踏ませぬ好投を披露しました。これで同校にとって3年連続の準決勝進出です。しかも、今年の打線は例年以上にレベルの高さを誇っています。唯一、心配だったのはこれまで安打の出ていなかった4番の柏田ですが、今日はホームランを含む3安打5打点と主砲の重責を全う、完全復調を印象付けました。投手陣も永吉は余裕残し。さらに先日好投の金田や下沖、東など万全のピッチングスタッフが控えています。今年こそ、このまま突っ走って昭和56年、山極先生が率いて甲子園を湧かせたあの先輩達に続いてもらいたいものです。
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★第一試合都城商業ー宮崎工業
チーム名 1 2 3 4 5 6
宮 崎 工 業 0 0 0 0 0 0
都 城 商 業 0 1 5 2 0 2 10
 
 都城商業の打棒が爆発です。特に、この試合までヒットのなかった4番の柏田が3回にタイムリーヒットを右前に放って、吹っ切れたのでしょうか、その後、3塁打と試合終了を決めた2ラン本塁打をライトへ叩き込みました。投の永吉も味方の心強い援護射撃に、肩の力を抜いて打たせて取るピッチングに終始していました。都商の打線はただ打つだけではありません。リードオフ、スチール、ヒットエンドランなど相手にプレッシャーを掛ける機動力を兼ね備えています。投手陣も、今日の永吉には疲れはないはず。先日延岡学園を完封した金田やまだ登板機会のない東、下沖と万全です。

 ★第一試合都城泉ヶ丘ー宮崎日大
チーム名 1 2 3 4 5 6 7 8 9
都城 泉ヶ丘 0 0 0 0 0 0 0 1 0 1
宮 崎 日 大 0 0 0 0 0 2 0 0 × 2

 宮崎日大の不安は、「別府は大丈夫だろうか」と言うことだったと思います。前半は行けるところまでいって安藤、酒生に繋ぐ。勝負は後半と見ていたはずです。
泉ヶ丘の主戦諏訪は、この試合素晴らしいピッチングをしました。相変わらず打者との駆け引きに長けていて、要所は、ピタリと締めていました。特に、右バッターの外へ逃げる球が有効で日大打者を抑え込むたくましさが身についていました。投球数はたったの95球です。いかに制球が良かったか物語る数字です。
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『第2試合は、この大会を象徴する一戦になるであろうほどの素晴らしい戦いを、両チームが演じてくれました。勝敗は分かれても記憶に残るに十分な気力と気迫のぶつかり合い。感動するとは、まさにこんな試合のことを言うのでしょう。
都城泉ヶ丘は、この春のセンバツで2戦目に敗れた時、「甲子園の砂は、夏持って帰る」と、誰一人砂袋に入れませんでした。宮崎日大は、昨年夏の決勝で延岡学園に辛酸を舐め、あとひとつのカベに泣きました。
試合は序盤から、泉ヶ丘・諏訪、宮崎日大・別府が、持ち味を発揮してなかなか点が入りません。宮崎日大は初回、2番谷山がライト前ヒットで出塁し、続く越智の当たりはセカンドへの正面のゴロ、これを2塁手林がトンネルし日大のチャンスは広がりましたが、諏訪が後続を投ゴロと三振に切って取りました。特に、中軸松川に対しては、緩急を自在に操り最後はズバッと直球で、振り遅れの三振に切って取りました。。ここぞと言う時の攻め方はさすがです。
宮崎日大の守備も気迫を前面に出して、「負けられない」と言う気持ちが十分に伝わってきます。二回は、捕手西嶋が高く上がったフライに反応、ネットをモノともせず突っ込んで取ったプレーでナインのボルテージはマスマス上がります。
3回表、泉ヶ丘9番桑木の放った右中間2塁打は、ライトが打球を一瞬お手玉しましたが、それを逃さず3塁を陥れた走塁、いかにも相手のスキを見逃さない泉ヶ丘らしプレーでした。四回は、宮崎日大の守備にミスが出ました。1死からショート正面のゴロをお手玉、続く4番林には死球を与え、次は泉ヶ丘で一番怖いバッター諏訪が打席と言うピンチです。しかし、早目に追い込みセンターへの飛球に打ち取りました。続く6番原口の当たりは、詰まったショート前のゴロ、遊撃手志佐は猛然とダッシュ、間に合わないと見るや打球を素手で取り1塁へメジャーなみのノーステップスローし間一髪アウト、自分で犯したミスを自分で帳消しにしました。
試合が動いたのは6回裏でした。1死から3番越智が諏訪の高目の速球を左中間へ。素晴らしいライナーが飛んでいきフェンスへ達する間に3塁へ滑り込みました。ここでは泉ヶ丘のセンターがほんの少し打球の処理をもたついたのを見逃さず、3塁まで進んだ越智の好走塁が光りました。この走塁が大きく活きました。続くバッターは宮崎日大の主砲玉野です。スクイズの気配は全くありません。そして、諏訪が投げた渾身のボールを玉野が詰まりながらもセンター方向へ転がします。ショートが懸命に横っ飛びで止めましたが、3塁走者は既にホームを駆け抜けていました。日大にとっては、ノドから手が出るほど欲しかった1点が入りました。日大は、「ここぞ」と次のバッターに送りバントを命じ、2死ながら得点圏に走者を進めました。この作戦がズバリ当たり、6番押川が期待に応えセンターへ打ち返し2走玉野を迎え入れ2点目を追加しました。泉ヶ丘も8回、連打で迎えた1死2、3塁のチャンスに7番福田が3塁強襲のヒットを放って3走を迎え入れ、さらに四球で1死満塁と逆転の場面を迎えましたが、途中から替わった9番益田のスリーバントスクイズは投手正面へ。3塁走者諏訪が本塁を遠くしてフォースアウト。追いつくことは出来ませんでした。最大のチャンスを1点ビハインドで終えた泉ヶ丘は最終回、3人目の酒生の前に3者凡退。この瞬間、都城泉ヶ丘の春・夏甲子園出馬の夢はついえました。試合終了の挨拶と勝者宮崎日大の校歌が終わった瞬間、泉ヶ丘ナインはグランドにへたり込み突っ伏して泣いていました。
勝者と敗者。結果は常に非情です。泉ヶ丘ナインは、この1年間たくさんのことを経験しました。そして大きく成長しました。今度は、この経験を受験に活かし勝者を勝ち取ってもらいたいと思います。』
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今日は日曜駐車場は満杯です

勝った瞬間の宮崎日大応援席

 投手だけでなくバッティング、べースランニングなどにも非凡なモノをこの試合でも発揮していました。抜群の野球センスの持ち主と強く思います。
 日大は、諏訪対策を徹底してこの試合に臨んだことが伺われます。あまり点が取れないことを想定し、塁に出たら1死からでもバントで得点圏へ進めることを徹底しました。その結果が6回に実を結びました。また、スライダーもかなり打ち込んできたのでしょう。序盤からバットの芯で捉える打球が目立ちました。そして、何より気迫です。捕手の西嶋のバックネットを恐れない身体を張った捕球、3塁手玉野のダイビングキャッチ、遊撃手志佐の素手捕球とノーステップスローその他外野陣の動きの良さなど日大の良いところが全て出たといっても過言ではないでしょう。しかしながら、反省しなければならない所も時々顔を出していました。二回泉ヶ丘の諏訪がヒットで出塁、諏訪は2球目にヤスヤスと盗塁を決めています。先発・別府がセットに入った時、既に2塁に向かってスタートを切っていました。投球が捕手に届いた時には2塁に到達です。集中力が切れていたのでしょうか。全く走者に無警戒を諏訪は見事に見破りました。六回は2死1、2塁の場面、捕手西嶋から1塁へけん制球が来ました。1塁手は、2走に目もくれず帰塁した1塁走者にタッチをしています。これを見た2走竹脇は「いける」と判断して3塁を陥れました。
 まだ続きます。このプレーにタイムを取るのか、このまま続けるのかベンチを見たり下を見たりしているのを、1走の原口は見逃しませんでした。スルスルと2塁に向かって走りだしました。2塁上にはカバーの日大野手は誰もおらず、これもまさにヤスヤスと2塁を頂きました。点にこそならなかったものの、泉ヶ丘の隙を逃さない野球には恐れ入りました。逆に、宮崎日大には、時折フッと気を抜く場面が見られます。野球は2時間の長丁場です。しかも炎天下。上位戦になればなるほど、ミスが試合の流れを大きく左右します。心したいものです。

盗塁サインを見破られ、ベースはるか手前でタッチアウト

7月23日(月)

 ベスト四が出揃いましたね。「今年ほど展望がわかりにくい大会はない」と、戦前言われていましたが、残った学校を見ますとそんなに大きな波乱もなく、比較的順調に強豪と言われる学校が勝ち上がっています。
 準々決勝
チーム名 1 2 3 4 5 6 7
日 南 学 園 0 0 0
日 向 高 校 0 0 2 0 0 0 0 2
                                         (七回コールド)
 
 第1試合は、日南学園に日向高校が挑みました。
 先日の3回戦で日向は、都城農業と息詰まる投手戦を展開し延長12回に決着をつけ、ここまで上がってきました。
 新名―井上―柳田とつなぐ自分達の野球で勝ち上がってきましたので、乗っている勢いをそのまま日南学園にぶっつけたいところです。日南学園は豊富な投手陣が健在で、打線も上向いています。
 力から言って、日向高校が先制し日学の焦りを誘う展開に持っていきたいところです。
 日南学園は、初戦の高原高校戦に投げた2年生左腕有馬が先発しました。
 事情を知らない外部の人間である私は、まだ登板機会のない3年生の湯野かなと、思ったりしていましたが、小川監督は今大会、背番号通り有馬を中心に、回転させる腹積もりのようです。
 で、試合の方ですが、思惑通り3回の裏、日向高校が先制しました。1、2回を3者凡退(2回は四球走者の盗塁刺殺)に切って取った有馬ですが、この回は先頭の7番左の坂本に粘られ右中間へ3塁打を喫しました。続く9番の黒木にも1-1後の3球目を、右へタイムリーを打たれました。まだこの段階でノーアウトです。ここは、9番岩井が送り日向高校のチャンスは続きます。1死でランナーは2塁塁上にいます。
 打順はトップへ戻り左バッターの川口です。球が良く見えていたのでしょうか、粘った挙句、センター前へはじき返し2塁から黒木亮を迎え入れました。なおも犠打で2死3塁と攻め立てましたが、追加点を奪うことは出来ませんでした。

試合開始の挨拶、「よろしくお願いします。」

 調子が良さそうに見えた有馬ですが、日向打線の積極打法と選球眼の良さの前に、根負けしたのでしょうか。3長短打のうち2本は左バッターです。特に1番川口の打撃が光っていました。
 ただ、日向打線はその後、立ち直った有馬を捉えることが出来ず、ほぼ完璧に抑え込まれました。
 一方、日南学園は、序盤盗塁死や好機に1本が出ない拙攻を繰り返していましたが、日向高校の2点で目が覚めたのでしょうか、2点奪われた直後の4回は打ちまくりました。
 この回、1死から放った2年生大松の打球はすごかったですね。
 レフトの頭を越えたかと思ったら、打球が伸びてそのままスタンドに突き刺さりましたから。
 日向先発左腕の柳田はこの一打に動揺したのか、ストライクを取るのに汲々するようになり、見透かされたような日南学園得意の足技で傷口を広げていきました。
 救援した新名も制球が悪く、その後を継いだ井上も勢いを止めることが出来ず、日向高校の必勝リレーはこの日は機能しませんでした。
 炎天下での連戦による連投や日南学園の重圧に負けたのでしょうか。
 しかし、日向高校はこの1年間、ほとんどの公式戦で1回戦敗退を繰り返していたチームです。
 それが6月の県選手権で準優勝するまでに急成長しました。
 見違えるようにたくましくなった選手はこの「最後の夏」もベスト8まで進出。この春以降大きく成長した証しを晴れの舞台で確かに見せてくれました。3年生は最後の試合になりましたが、この3年間の頑張りに心から拍手を送りたいと思います。


 準々決勝
チーム名 1 2 3 4 5 6 7 8 9
宮 崎 商 業 0 3 0 0 0 5 2 2 3 15
延 岡 工 業 3 0 1 3 2 0 0 0 2 11

 
第2試合の延岡工業対宮崎商業戦は、前半と後半でこれほど明暗が分かれるとは・・・・・・・。
 非常に珍しいことです。それにしても両チーム合わせて35安打、点数も15-11です。
 大会前や大会中の長雨でコンディショニング、特に投手の調整がいかに難しかったか、如実に物語った試合だったと思います。
 宮商のチームカラーは「守り重視」です。
 延工にしても特に大物打ちはいません。コンパクトなスイングで野手の間を抜いていく打撃を心掛けています。
 この試合では、そんな延岡工が初回、敵失や四死球などの相手ミスに乗じて、さらに押し出しや6番山内のヒットなどで3点を挙げ主導権を握りました。
 大会1、2と言われる宮商左腕の赤川も今日は全くの不調です。コントロールが悪く、置きにいった球を痛打され、四回も持ちませんでした。この間、四死球4個、打たれたヒットが7本、自責点4に失点が7です。
 

屋根下の日陰の3階席は、風もあり最高の特等席

 これまでの先発した2戦とも球威のある速球を武器に、三振の山を積み上げてきた面影をこの試合で見ることは出来ませんでした。これも疲れなのでしょう。
 宮崎市の昨日(22日)の最高気温は36度4分でした。
 あるチームの主力選手のひとりが体調を崩して、担架で運ばれ手当てを受けていました。
 今日(23日)何度あったか分かりませんが、サンマリンスタジアムは、確かに3階席の日陰は涼しい風が吹く「特等席」です。しかし、陽の照りつけるスタンドの椅子席は、相当な暑さです。
 場内放送も繰り返し十分な水分補給を呼びかけています。
 しかし、もっと過酷なのがグランドです。
 すり鉢状の底に当たるダイヤモンドは、「特等席」と違って風が吹きません。
 気温は40度を軽く越えているでしょう。
 「選手達は毎日鍛えているから大丈夫、プレーに影響はないと思います」、「連投?ここは気力でいってもらいたいですね」と、どこかのラジオの解説者が言っていましたが、このコンでションで、プレーに影響を与えることはないと言い切れるでしょうか。
 連投や試合過多でどれだけの選手が肩や肘を痛めてきたことか。
 高校野球は夏の風物詩として多くの国民に支持され人気の高いスポーツです。甲子園に憧れ、甲子園に出たいがために、無理して傷を悪化させたり、故障を隠して登板を申し出る投手も随分見てきました。本番の夏が始まる前に戦列離脱した選手も数多くいます。
 大会が終わって、何をして良いか分からない「燃え尽き症候群」の選手も見てきました。
 とかく高校野球は美化されがちです。
 「3年間、泥と汗にまみれて・・・・」高校野球の決まり文句ですが、無理して将来、野球が出来なくなるようでは何にもなりません。
 第2試合のスコアを見ていると切なくなってきます。
 これでも選手達に「よくやった」「良く粘った」とは、とても言えません。
選手達から、「全力でやったから悔いはありません。」と言う言葉を聞くたびに、その反対の悲鳴が聞こえてきそうな気がします。


おぉぉ・・・送りか。3塁手が猛然とダッシュ

7月25日(水)

 現在時計は0時10分です。正確に言えば7月26日です。このところ仕事が忙しくて帰ってくるのがいつも夜の10時過ぎです。帰ってから食事をしてパソコンに座るのですから、いつも打ち始めるのが午後11時を過ぎてからです。ですから思ったような紹介が出来ず、歯がゆい思いをしています。今日なんか帰ってきたのが11時40分ですから、少々疲れていて最小限のことしか書けせんが、お許しください。恐らく明日(26日)から3~4日出長ですので決勝戦は、速報として書けません。時間が出来て余裕を持って書くつもりです。
 ところで、やっと、ここまでこぎ付けたと言った感じです。長雨によるコンディショニングに苦労したと思いますが、戦前の予想通りの展開になってきました。
今日は、都城商業と宮崎商業、日南学園と宮崎日大の準2試合が行われました。結果から紹介します。


準決勝第一試合
チーム名 1 2 3 4 5 6 7 8 9
宮 崎 商 業 1 0 0 0 0 0 0 2 0 3
都 城 商 業 0 0 1 0 1 1 0 0 1 4

準決勝第二試合
チーム名 1 2 3 4 5 6 7 8 9
日 南 学 園 5 0 1 0 1 0 1 0 0 8
宮 崎 日 大 0 0 0 0 0 2 0 0 0 2

 
チーム名 1 2 3 4 5 6 7 8 9
都城 泉ヶ丘 0 0 0 0 0 0 0 1 0 1
宮 崎 日 大 0 0 0 0 0 2 0 0 × 2

 第一試合の都城商業の今日のデキは素晴らしかったと思います。
 先発永吉もリリーフした金田も、調子は決してよくなかったようにみえました。
 しかし、バックが盛りたてました。特に守備、その中でもキャッチャーの畠中の2盗を何度も刺した強肩と判断の良いけん制は見事でした。
 宮商が仕掛けた攻撃は、ことごとく寸断され、ピンチを脱しました。
 また、ライト福島の2度に渡る地面スレスレのダイビングキャッチは、「もう1回やれ」と言われても、難しい大ファインプレーでした。特に、3回はランナーが2塁におり、しかも、ツーアウトですので落としたら、完全に1点は入っていて、なおかつ宮商は自分たちのペースで試合ができたことでしょう。
 その証拠に4回と9回以外は、ノーアウトから走者を出していましたが、多くの場面で都城商業の動き抜群の守備陣にチャンスの目を摘み取られていました。
 9イニングのうち7イニングで無死から走者を出せば、普通は自分たちの野球が出来るはずですが、それをさせないのが、都城商業の強さであり巧さでもあります。
 守備はもとより、大会1,2と言われる宮崎商業の左腕赤川に対しても1歩も引くことなく、得点を重ね、同点に追いつかれた終盤も、すぐにサヨナラに結びつけ、投手の負担をカバーしていました。
 この日の赤川投手は、立ち上がりからリズム良く、制球、スピードとも申し分なかったのですが、都城商業の全員野球、試合巧者ぶりがいかんなく発揮された試合でした。
 都城商業にとって、決勝戦進出は何時以来でしょうか。昭和56年始めて甲子園に出場したときの決勝の相手は確か都城工業だったと思います。原田監督が就任してこのところ常に上位に進出している都城商業にとって今年は、特にチャンスでしょう。
 第二試合ですが、宮崎日大はここまで投げてきた主戦級が疲れたいたのでしょうか。先発は、意外にも背番号19の宇戸投手です。しかしながら、4強戦の緊張からか立ち上がりに連打を浴び、1死を取っただけで楠本にマウンドを譲りました。
 しかし、楠本も日南学園の強烈な洗礼を受け初回から打者一巡の猛攻で5点を入れられました。
 宮崎日大にとってこの5点は相当大きかったはずです。
 必死で食らい付き、6回は単打を4本集め2点を取りました。
 しかし、この日先発の中崎は、球の走りが良く、特に変化球にはキレがあり日大打者から8回まで投げて、毎回の13個の三振を奪いました。
 9回は、3本柱の一角3年生の右投げ湯野が2奪三振で締めて危なげなく決勝へ進みました。
 投手陣はこれで出揃いました。
 明日は、左腕の有馬を中心に強打の都城商業に対し総力戦を展開することでしょう。
 打線もただ、打つばかりではなく、犠打7の、今日の一戦のように緻密な野球を得意としています。
果たしてどちらが晴れの栄冠を手にするか。非常に楽しみな一戦です。

        第89回全国高校野球選手権宮崎大会決勝戦 
         2007年7月26日=サンマリンスタジアム宮崎

チーム名 1 2 3 4 5 6 7 8 9
日 南 学 園 0 0 0 1 2 0 1 0 2 6
都 城 商 業 0 0 3 0 0 1 0 0 0 4


4年振り5回目の夏の甲子園出場を決めた日南学園ナイン


 いやあ、今年は楽しませてもらいました。決勝戦の一戦に象徴されるように、1回戦から1点を取り合う僅差のゲームが多く、終盤にドラマが待っている試合が多かったですね。
 「野球は筋書きのないドラマ」と言われますが、まさにそんな展開の試合が多く見受けられました。2-1のスコアが5試合、ほかに、1点差、2点差のゲームがなんと多かったことか。球場全体が緊迫した、野球の醍醐味を十分堪能させてくれた大会だったと思います。
 大会を通して、観た感想は上位に進出するには、投手を含めたディフェンス力が一番重要だと言うことです。野球は規定のイニングを終了した時点で、相手より1点でも上回っていれば勝利を手にするゲームです。

第89回宮崎大会結果

 したがって、ピンチの際、いかに相手に点をやらないかを工夫し鍛錬すれば、必ず好成績を残すことが出来ると、改めて痛感しました。逆に言えば、守備力が劣っているチームは、いくら打撃が良くても勝ち上がるのは難しいと言えます。特に目立ったのは、バッテリーエラーです。投手の制球に問題がある一方で、捕手にも問題がありそうです。基本は、身体全体を使ってボールを後ろにそらさないことですが、暴投、パスボールなど、捕球練習を十分にやっていれば防げた失点も随分あったように思います。
 また、アイビー、サンマリンとも両翼100m、左中間、右中間も深くえぐれています。
 以前、市街地の狭い県営球場や市営球場から広いサンマリン球場を使用するようになった時、よく「これからは、外野の守備力が勝敗を分ける」と言われていました。
 当時と比べると、外野手の能力は格段に進歩しました。
 しかし、足の速さ、肩の強さ、状況判断の的確さなど、広い球場に適応したプレーが出来ていたのは、ほんの一部のチームに限られていたようです。そのなかでも都城商業の右翼手・福島や中堅手・中原などを筆頭に、上位に残ったチームの外野手の多くは「良く鍛えられているなあ」と強く思いました。
 反対に野手の間を抜ける打球の処理が、まずく勝敗を決める場面も何度かありました。ダイビングキャッチや横ッ飛びなど派手なプレーは目立ちますが、注目して観たのは、内野・外野の連携です。きちんとラインが出来ているチームは、それだけで進塁を許さないで済みます。また、フェンス際や外野手同士の声の連携は、特に大事でしょう。カバーリングが十分でなく、ボールが転々としている間に、得点を許す場面も多くありました。いずれにせよ球場の広さに対しては、どこのチームも対策を練っており、最近は言わなくなりましたが、外野手の守備力アップは、チームのレベルを上げるには必要最低限の要素となっているのは間違いないところでしょう。


大阪入りを前に調整中の日南学園ナイン=同校グランド

 宮崎代表の甲子園での「負け方」は、ここ数年共通しています。どこの学校も「守備からリズムを作る」と念仏を唱えるように言っていますが、大会を通して守備のレベルもまだまだと言うことを実感しました。
 ところで今年の日南学園は、いつもの豪打のイメージがなく、ディフェンスがしっかりしているように思います。特に投手力は、どこに出しても十分通用するでしょう。主戦有馬、中崎の2年生の左腕コンビはどちらが登板しても十分通用するはずです。二人とも最高球速は140km中盤近くまで達し、切れの鋭いスライダーは打者には厄介なはずです。その他、1年時から投げている経験豊富な3年生の湯野が控えています。
攻撃面でもこれまでのイメージを一新した犠打を多用したり、足技を駆使した新しい日南学園を観ることが出来るはずです。硬軟織り交ぜた攻撃と鉄壁の内野・外野陣。5回目の出場となる今回は、小川茂仁監督の全国を見据えたチーム作りが随所に見られます。


山に囲まれた日南学園グランド 山に囲まれた日南学園グランド

日南学園対戦相手決まる!
7日目第1試合桐光学園(神奈川)

 第89回全国高校野球選手権大会の組み合わせ抽選会が5日午後4時半から大阪市北区中之島のフェスティバルホールで行われ、3回戦までの組み合わせが決まりました。宮崎県代表の日南学園は、大会7日目の第1試合で、激戦区神奈川を勝ち抜いてきた桐光学園と対戦します。今大会、投攻守評価の高い日南学園ですが、レベルの高い神奈川勢といきなり当り、真価が問われる一戦になりそうです。
 開会式は8日午前9時から、阪神甲子園球場で行われます。今大会から47都道府県49代表校(北海道は南北、東京都は東西)が、これまでの東西対決方式を廃止してフリー抽選となり、非常に注目されていました。準々決勝の抽選は第11日、準決勝の抽選は第12日に実施の予定です。


【第7日】 8:30 第1試合[2回戦] 桐光学園(神奈川)―日南学園(宮崎)


第89回全国高校野球選手権大会開会式 2007年8月8日

日南学園 初戦突破!
難敵・桐光学園を延長で撃破

チーム名 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11
日南学園 0 0 0 0 2 0 0 0 0 3 4 9
桐光学園 1 0 0 1 0 0 0 0 0 3 1 6


 
日南学園、6年振りに甲子園に響く校歌!強豪校を延長11回振り切る。
 第89回全国高校野球選手権大会に出場している、宮崎県代表・日南学園にやっと決戦の日が訪れました。
 大会7日目の8月14日、第1試合に登場した日南学園の相手は、神奈川代表の桐光学園です。激戦区・神奈川を勝ち抜いてきた桐光学園は、洗練された試合運びと驚異的な粘りで、勇躍甲子園に乗り込んできたチームです。
 簡単には勝たせてくれないですね。
 試合は、戦前の予想通り、日南・有馬―桐光・立木の両先発投手の投げ合いで、序盤から1点を争う好ゲームを展開しました。
 1回裏、1死から四球で出た走者を手堅く2塁に送った桐光学園は4番上田が、有馬の7球目の外角速球にうまく合わせてライト線を破る2塁打を放ち先制します。それまでの6球が全て内角の直球とスライダーで、遠い外角には、なかなか手が出ないはずですが、逆らわずに右に打ち返したバッティングの巧さが光る1打でした。
 さらに4回には四球で出た走者との間でヒットエンドランを敢行、打者は3塁ゴロで、5-4-3と送られ併殺かと思われましたが、1走がスタートを切っていた分、間一髪セカンドがセーフになり、次打者西川が左中間を破る2塁打で2塁から、上田を迎え入れ2点差としました。
 日南学園も、左対左の不利をモノともせず、前半からヒット数は桐光学園を上回っていますが、肝心のところであと1本が出ません。
 5回表、小川監督が動きます。先発有馬に代打を送ります。久しぶりの実戦登板が響いてか、有馬の投球は今ひとつの出来。変化球はすっぽ抜けが多く、直球も走りが悪く芯で捉えられるケースが多く見られました。
 代打策は成功しませんでしたが、9番川嶋が四球で歩き、続く持田の当たりは難しい3塁ゴロ。これを相手3塁手がはじく失策でチャンスの目が膨らみます。1死1、2塁の場面で、大原が3球目の内角低目のカーブを引っ張ると、打球は1、2塁間をしぶとく抜けていき、2塁から川嶋が返り1点差、さらに相手主戦立木の暴投で、3塁から持田が返り、労せずして同点に追いつきました。
 なおも続く日南学園の好機に、桐光学園は先発立木から右の本格派・丸山にスイッチし、後続を断ち切りました。日南学園もその回、有馬に代打を送っていましたので同じ2年生左腕の中﨑
が5回裏から登板です。小川監督にしてみれば継投は考えていたものの、5回からの登板は早過ぎたに違いありません。しかし、2番手中﨑は、宮崎大会同様、直球とキレの良いスライダーをコーナーに集めて、桐光学園の打者に的を絞らせません。丸山も球速表示以上の伸びを感じさせるストレートとキレの良いスライダーが決まり、両チームとも決定的なチャンスを迎えることなく、試合は延長へもつれ込みました。
 この辺りで日南学園の打者が手を焼いていた丸山のストレートにようやく目が慣れてきたのでしょうか、10回表、先頭の畑中がきれいに合わせて、レフト前に運びます。続く4番中本は、宮崎大会で少しよくなる気配をみせていましたが、ここまでは、3三振にチャンスで浅い右飛と全く当りが出ていませんでしたがここは4番の意地を見せ、丸山の速球にくらい付き、ドン詰まりながらレフト前に持っていきチャンスは広がります。ここは、無死でもあり走者を2、3塁に進めたいところです。しかし、桐光学園の思い切り突っ込む1塁手、3塁手のプレッシャーに打者大松もなかなかバントを決めることが出来ません。
 そして迎えた2-2後の5球目、1塁手上田のダッシュの前にゴロを転がしました。上田は捕球後、素早く3塁へボールを送りましたが、畑中の足がわずかに早く、日南学園は無死満塁の絶好の勝ち越し機を迎えました。
 打者はもっとも信頼の置ける中﨑です。3球目思い切り振ったバットから低いライナーがセンターに向かって飛んでいきます。3走畑中もあまりの良い当りに、ベースを飛び出し、ハーフウェイに留まります。打球は中堅手のグラブに納まりましたが、タッチアップしていれば1点と言うケースでした。
 続くバッターは好調が伝えられている西井です。2-1と追い込まれてはいましたが、4球目ほぼ真ん中のストレートを一閃すると、打球はライナーでセンターへ。中堅手が懸命に前進してダイビングキャッチを試みましたが、わずかに届かずボールは外野を転々とし、3走に続いて2走中本も本塁を駆け抜け、日南学園に待望の2点が入りました。この2点に気落ちしたのか、マウンド上の丸山はここで暴投を演じ、3塁から大松が返り、決定的な3点が入りました。
 本来ですと、この3点を守り切り日南学園の勝利となるはずですが、さすが激戦区を勝ち抜いてきた神奈川代表の粘りは、並外れています。先頭バッターの9番大石が、粘りに粘ってレフト前に持っていき反撃を開始。続く1番建部は倒れましたが、2番筒井が中前にクリーンヒット、続く3番政野もレフトへ持っていき2走の大石を迎え入れ差は2点に。そして、当っている4番上田を打席に迎えます。
 上田は、3球目の真ん中高目の球を強振すると、打球は3塁側ベンチ前に高々と上がります。上田はバットを叩いて悔しがりますが、日南学園捕手の畑中の反応が少し遅れ、飛球に届きません。打ち取った当りが上田には幸いしました。直後の4球目甘いスライダーを思い切り上から叩くと打球はレフトの左へ。2者が返り試合は、またまた振り出しに戻りました。甲子園球場がどよめいています。
 こうなると後攻の桐光学園が押せ押せムードで俄然、優位に試合を運ぶことが出来るはずです。
 ところが、今年の日南学園は一味もふた味も違っていました。延長11回、2、3番が簡単に打ち取られ裏の守りのことが脳裏を過ぎったその時、4番中本が3球目の外角高目のストレートを思い切り叩くと打球は高く高く上がって、レフトスタンドへ到達していました。前の打席で形はどうでもヒットが出て吹っ切れたのでしょうか。この回のスイングには力強さがありました。

5回裏桐光学園、2死一塁、筒井2盗に失敗。=遊撃手大原=

 当りから遠ざかっていた主砲の一発にベンチが沸きかえります。5番、6番もヒットで続き7番西井の当りはライトの右へ。鋭い当たりに右翼手のグラブからボールがこぼれさらに2点を追加。再び差は3点に広がりました。そして、代打で登場の堀もセンター前にしぶとく落としこの回4点を挙げました。
 こうなると、さすがの桐光学園も追い切れません。1点は返して意地は見せたものの最後の打者が2ゴロに倒れて万事窮す。苦しみながらも勝った日南学園にとって大きい1勝です。中本主将も言っていましたが、「最後まで集中力、集中力を切らさないよう心掛けました。」まさに、日頃の練習の成果が出た一戦だったと思います。日南学園の次の相手は、センバツの優勝校・常葉菊川高です。1回、戦ってリラックスして臨める2戦目、次も大いに楽しめそうです。

日南学園 あと1歩届かず!
常葉菊川にさよなら負け
全国高校野球選手権3回戦第3試合             2007年8月17日(金)
チーム名 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
日南学園 0 0 0 0 3 0 0 0 0 0 3
常葉菊川 0 0 0 0 0 0 0 3 0 1 4

 常葉菊川の強力打線を宮崎代表の日南学園の投手陣がどう抑えるか。
 特に先発が予想された有馬の投球に注目して試合を観戦しました。
初戦の桐光学園戦は、初の甲子園マウンドと言うことと、実戦から遠く離れていたなど、万全の状態とは言い難く、制球力や球威ともに自分の持ち味を発揮することができませんでした。
 しかし、今日の対常葉菊川戦の投球は素晴らしかったですね。特に前半は、直球が伸び、スライダーが切れて常葉菊川打線に、全く付け入る隙を与えない最高のピッチングを披露してくれました。2回には球速144km/hを表示。内野へのフライアウトが多かったことを見ても、球に力があったことがはっきり分かります。

9回まで力投した日南学園有馬翔投手

 センバツで優勝、夏初戦も3番長谷川の特大の2発を含む二桁安打、二桁得点の重量打線を7回までわずか3安打、7奪三振に抑え込みました。
 味方打線は、相手主戦の立ち上がりの悪さを攻め、初回の1死満塁をはじめ毎回、塁上を賑わしましたが、5回までなかなか得点を挙げることができませんでした。
 ここまでに1点でも2点でも入れておけば、その後の試合展開は楽になっていたかも知れません。
そして、9番から始まった5回も2者が簡単に中、左へ打ち上げてこの回も無得点かと思った矢先に、2番大原がショート左への内野安打で出塁すると、4番中本の死球を挟んで5連打と、この試合初めて打線が繋がり3点を先取しました。
 ここは日南学園らしい積極的な打撃が光っていました。ここまでは、投打ともにセンバツ優勝の常葉菊川を圧倒していました。
 しかし、6回、7回とスコアリングポジションにランナーを進めながら、常葉菊川の2番手投手からあと1本が出ず、特に7回は長短打で作った1死1、3塁のチャンスにスクイズが飛球となり併殺。完全に流れは、相手側に移ってしまいました。
 そして、常葉菊川は、迎えた8回裏、先頭の高野がストレートにヤマを張った打撃でレフト左へ2塁打を放って反撃のノロシを上げました。2、3番は倒れましたが、4番相馬が粘って四球を選ぶと、初戦ラッキーボーイの2年生伊藤を代打に送りました。
 この積極戦法が、常葉菊川・森下監督の「ラッキーでした。あんなことがあるのですね。」の談話が示す予想もしなかったレフトスタンドへの3ランホームランとなって、試合をアッと言う間に振り出しに戻しました。
 こうなると追いついた方に勢いがあります。常葉菊川・2番手戸狩の好投で日南学園打線が手を焼いている間に、日南学園は同点に追いつかれ初戦に続き3回戦も延長へ突入です。好投していた先発有馬は9回が終わった時点で中﨑とスイッチしましたが、試合前のゲームプランでは、「有馬が目一杯投げて6回位まで持ってくれたら」と言うものでした。
 事実、有馬は予想以上に常葉菊川の強力打線を抑えましたので小川監督に迷いが出たのでしょうか。6、7回は無難に切り抜けました。8回も先頭打者に2塁打を浴びましたが、後続を断って2死までこぎ付けていました。4番には粘って四球を与えましたが、極端にスピードが落ちたり、コントロールが悪くなったりではなかったために、ベンチも替え時が難しかったのでしょう。
 ただ、代打の2年生伊藤は、力一杯振ってファールになっていましたが、あの思い切りの良さは、少々不安でしたね。身体も大きいし芯に当たればどこまで飛んでいくのかわかりません。そんな恐怖がありました。
 この時点で勝利の女神は確実に常葉菊川に微笑みかけていました。ラッキーボーイの伊藤は、静岡大会ではベンチ入りさえしていない選手です。伸び盛りの高校2年でひとつ自信を身に付ければ、飛躍的な成長を遂げるのもこの年代です。初戦、代打で登場し3塁打を打ったことが大きな自信となったのでしょう。

サヨナラ負けに呆然とする中﨑雄太投手


 延長10回裏、この回から日南学園のマウンドには中﨑が上っています。中﨑も左腕の好投手です。しかし、常葉菊川に傾いた流れを呼び戻すのは難しかったのでしょう。先頭打者は中フライに打ち取りましたが、2番打者に1塁手強襲の2塁打を浴び、さらに3番長谷川は敬遠、4番相馬はレフトフライに切って取りましたが、ここで回ってきたのが先ほど起死回生の3ランホーマーを放った伊藤です。
 伊藤は、ここでもスライダー、ストレートともに思い切ったスイングを心掛けていました。そして、4球目真ん中低目のスライダーにバットを出すと、詰まったゴロが遊撃手の右に飛び、懸命にグラブを差し出したショート大原のグラブの先に触れながらも、打球はセンター前に転がり、2塁から町田が生還し、常葉菊川高校がサヨナラで延長10回決着をつけ、準々決勝進出を果しました。
 結果論ですが、日南学園にとっては勝てた試合。敗因は好機に一本が出なかった詰めの甘さとバントの精度の低さ、特に7回のセーフティスクイズ、ダブルプレーは痛かったですね。
それに替え時を間違ったベンチの采配。しかし、こればかりは有馬が良かっただけに難しいですね。
 一方、小川監督が守備のチームと言うだけあって、内野、外野陣の守備範囲の広さ、軽快な動きは見事でしたね。2試合ノーエラー、ピンチに併殺で切り抜けた場面も何度もありました。
 ただ、もう一段階上までは、紙一重ですが、この紙一重がとてつもなく大きな壁になっているような気がします。

負けて甲子園の砂を袋に入れる日南学園ナイン

 ともあれ、日南学園の「2007夏」は終わりました。
 選手のみなさん、関係者の皆さんには、長い長い夏だったことと思います。
 まずはお疲れ様と申し上げます。
 新チームには有馬、中﨑の両左腕はじめ、大松、川嶋ら甲子園を経験した選手が残ります。他の宮崎県下の学校は、既に新チームに切り替え始動しています。
 来年も楽しみを抱かせるような強豪校の出現を期待します。

佐賀北高 ミラクルⅤ !
決勝初 !奇跡の逆転満塁弾

第89回全国高校野球選手権大会決勝          
 2007年8月22日(水)
チーム名 1 2 3 4 5 6 7 8 9
広 陵 高 校 0 2 0 0 0 0 2 0 0 4
佐 賀 北 高 0 0 0 0 0 0 0 5 × 5

 「がばい」・・・・・ 何の意味かわかりませんでした。九州も狭いようで広く、宮崎に住んでいる者には、始めて耳にいや目にする方言です。佐賀北高や長崎日大が勝ち進んでいくのと比例して、スポーツ新聞でよく使われていました。なんでも「すごい」、「素晴らしい」意味だそうです
 第89回全国高校野球の優勝校は、怪物・中田を擁する大阪桐蔭でも155km/hの球速を誇る佐藤由のいる仙台育英でも、センバツ優勝の常葉菊川でもありませんでした。
 佐賀市の県立の進学校が全国4000超の参加校の頂点に立ったのです。
 今年4月から5月にかけて世間を騒がせた、私立校の特待生問題をあざ笑うかのような優勝です。
 特に秀でた選手がいるわけでもないごく普通の高校生が、試合を重ねるたびにたくましく成長し、全国トップレベルの私立高校を次々と撃破、決勝もほとんど負けていた試合を終盤の粘りでひっくり返しての勝利ですから、地元・佐賀はもとより、日本全国が興奮したことでしょう。
 そういえば、13年前佐賀商業と鹿児島樟南高校が決勝を戦った時も、劣勢だった佐賀商の流れを主将・西原正勝選手が満塁本塁打を放って勝利を引き寄せたのを思い出しました。
 当時は、失礼ながらB・C評価の佐賀県のチームが全国制覇するのだから、宮崎勢もやれば出来るはずだと思っていましたが、なかなか難しいことですね。
 そうこうしている間に佐賀は2校目の全国制覇です。しかも、両校とも県立高校というのが素晴らしいところですね。
 ラグビーでは、同じく県立の佐賀工業が全国トップクラスを維持していますし、宮崎県は、どんどん置いていかれそうです。
 ただ、甲子園のような大舞台では、明暗はほんの紙一重で分かれます。今年の日南学園もそうでした。勝つには、基本に忠実で、特に守備がしっかりしていて、有能な指導者とラッキーボーイの出現や運不運も作用しますね。
深紅でも紫紺でもどちらでもいいですから、宮崎勢の全国制覇を、早くてみたいですね。  

思い出の夏・宮崎の高校野球
(第85回記念全国高校野球選手権宮崎大会)
 前年の84回大会は、ブラジルトリオを擁し、1枚も2枚も力が抜けていた日章学園が、NHK杯以外の宮崎県内の公式戦を全て制覇しました。
そして、いよいよ甲子園と続く夏の全国高校野球宮崎大会。
ここでも予想通り決勝まで進出、初の夢舞台出場が目前に迫りました。しかし、普段の野球が出来るか、一部に不安視する向きもありましたが、その心配は試合の序盤であっさり覆されました。

二回には、自慢の強打が炸裂。あっと言う間に6点を奪い、延岡工業の投手陣を粉砕。中盤から後半にかけて追加点を挙げ、延岡工業の反撃を2点に抑え、夢にまで見た甲子園出場をついに実現しました。

過去、何度も何度も手の届く所まで手繰り寄せては、逃していた甲子園行きの黄金キップ。
日章学園にとっては、神が見放したかと思えるほど、手に入れることが難しかった夢舞台出場。こんなにあっさり実現するとは、全く皮肉なものです。

そして、憧れの甲子園。投打に圧倒的な力を発揮してきた日章学園は、話題のブラジルトリオを擁して、マスコミも注目。関係者の戦力評価も上位にランクされていました。

初戦、日章学園は、静岡興誠高校と対戦しました。そして、自慢の打線が予想通り火を噴き、毎回、毎回安打を連ね終わってみれば22本と、打ちも打ったりで8点を取りました。

注目のブラジル人・瀬間仲ノルベルト選手のライトスタンドへの特大の一発が、日章学園の打力を物語っていました。22安打を放ち8点も取り、主砲の一発と申し分ない攻撃力を発揮した日章学園。

誰しもが当然2回戦へと思ったはずですが、何と対戦相手は、日章学園を上回る9点を挙げていました。

もちろん、打撃では対戦校を圧倒した日章学園でしたが、それ以上に点を献上し続け、終わってみれば1点差の悔しい敗戦。相手に軍配が上がっていました。ディフェンスがいかに大事かと言う典型的な試合でした。

それにしても、相手を攻撃でここまで圧倒しながら勝てなかった日章学園。マスコミはこぞっと、この珍しい試合結果を取り上げていました。


夏の全国高校野球選手権宮崎大会のメイン会場サンマリン宮崎

 
 
続く第85回大会は、節目の記念大会です。
前年に日章学園の前に手も足も出なかった宮崎県勢ですが、新チームになって延岡学園がまず頭角を表わして来ました。速球派の杉尾勇士、左の技巧派の上田和秀両投手が安定。

打線は入学直後から非凡さを発揮していた井本泰喜主将が引っ張り投攻守バランスの取れたチームに出来あがりつつありました。

そして、最初の公式戦で投打がかみ合い優勝と、幸先良く一年先を見据えた船出をしました。

続く第111回九州地区高校野球秋季大会宮崎県予選でも投打が、ガッチリ噛み合い危なげなく、新人戦に続いて制覇。準優勝の小林西高とともに、熊本で開かれる本大会に宮崎県代表として出場しました。

小林西高は初戦で敗退しましたが、延岡学園は初戦の九州学院戦で4‐3と追い詰められた九回裏、2点を挙げ逆転勝ちすると勢いに乗り、柳川、佐賀東、そして、決勝は沖縄宜野座との投手戦を制し、2‐1と競り勝って、はじめての九州チャンピオンに輝きました。

さらに同校の快進撃は続き、日本各地区の優勝校が覇を競う明治神宮高校野球大会に始めて出場しました。因みに同大会では平成10年に日南学園が、宮崎県勢としては、はじめての秋の「全国制覇」を成し遂げています。

大会初戦は東京の国士舘高校と当たり、九回裏1点リードを追いつき延長戦にもつれ込み、十四回裏、1点をもぎ取りサヨナラ勝ちを収めました。

続く一戦はその当時、日の出の勢いだった石川遊学館と対戦。ここでも投打の歯車がかみ合い大会ナンバーワン左腕投手を攻略、決勝に登りつめました。

相手は、東海の名門中京高校です。ところが、優勝を意識したのか、名前負けしたのか、それまで堅守を誇っていた延学守備陣にミスが続出して前半に7点を献上、終盤6点を挙げる追い上げを見せましたが、「時既に遅し」で万事休しました。

しかし、この2ヶ月間の同校の成長は素晴らしく、特に、投手陣は左腕の上田投手が、主戦として一回りも二回りも大きくなったのが、特筆されますし、打線は井本主将が、好機をことごとくモノにする勝負強さを発揮しました。

「この強さがあれば、優勝旗が宗太郎峠を越えるのも夢ではないかも知れない。」多くの高校野球ファンが思ったのも無理はありません。

これだけの実績を積んだ学校は全国広しと言えどもそうはありません。並み居る強豪校と戦い負けたのは、神宮大会決勝の中京高校ただ一校だけで、それも後半は、延学が圧倒し相手がアップアップの状態だったのですから。・・・・・・

センバツは順当に選ばれました。大会前の予想も延学は優勝候補の一角に名を連ねています。
選手も「目標は全国制覇」。確かにそれだけの力を持っていました。

ところが、思わぬところから不安が生じました。大会を控えて最終調整に余念のなかった主戦上田投手の故障発生です。当然、先発で行くであろう同投手ですが、センバツのマウンドに黄色信号が灯りました。

「ナインに影響せねば良いが」・・・。そして迎えた第75回センバツ高校野球大会。初戦の相手は何と前年秋の明治神宮大会決勝で敗れた中京高校です。リベンジの機会は最高の舞台・甲子園で訪れました。

しかも、前回対戦した時は前半こそ守備の乱れで失点を重ねましたが、後半は相手エースをノックアウト寸前まで追い込み、気持ちの中では誰もが勝利を確信していました。

延学先攻、中京後攻。秋と全く同じです。サイレンが鳴り戦いが始まりました。初回、無失点に抑えられ迎えたその裏、延岡学園は、悪夢を見ることに。
まるで秋の大会のビデオを観るように守備陣がミスを重ね4点もの大量点を相手に与えてしまったのです。

「こんなはずでは?」リベンジと全国制覇に燃えるナインの動揺が手に取るようにわかります。続く二回に入っても地に足が着かないプレーが続き、さらに3点と序盤で7点もの大量リードを許してしまったのです。

明治神宮大会の試合展開とここまで似ているとは、どう説明していいのかわかりません。しかもその後の反撃。我に返ったナインは、五回から反撃に出て3点差まで詰め寄りました。しかし、前半の失点があまりにも大きく、延岡学園の挑戦は初戦であえなく散ってしまいました。

こうなると、打倒延学を旗印にしていた宮崎県内の有力チームも俄然、活気付いてきます。
まず、春の九州高校野球大会県予選は、堅守を誇る延岡工業が優勝しました。

延岡学園も推薦枠で出場し、初戦は鹿児島樟南を退けましたが、2戦目で西短大付の投手を打てず敗れ去りました。延岡工業も初戦敗退です。

昨秋のあの栄光、強豪県宮崎のイメージは時計が逆回転するが如く崩れ去っていったような気がしました。延岡学園はその後のNHK杯では地区予選で敗退と、全く信じられないほど精彩を欠いてしまいました。

主戦上田の調子は相変わらず戻りません。NHK杯で頭角を表してきたのは鵬翔高校です。金村忠雄投手はまだ2年生ですが、180㎝の上背から活きの良いストレートと切れ味鋭いスライダーが持ち味の好投手です。

同大会では強豪を相手に、2完封勝利を含め3連続の完投勝利。
しかも失点わずか1と大車輪の活躍で同校を優勝に導きました。ただ、鵬翔は打線がもうひとつで、同大会予選から投げ続けているエースを打線がどこまで援護出来るかが、夏を左右ポイントと言われていました。

第85回全国高校野球宮崎大会主会場のサンマリンスタジアム宮崎

また、春の九州大会県予選準優勝の日南学園はここまで目立った成績は挙げていませんが、素質のある一、二年生を中心にした若いチームで、夏は必ず出てくるはずです。
ましてや延岡学園の状態がもうひとつであれば優勝候補に挙がってもおかしくはありません。

その他守備に重点を置く小林西高、このところ常に上位に顔を出す都城商業も小さな大投手・富尾優作を擁し破壊力のある打線と絡めて「夏」を虎視眈々と狙っています。
7月10日、夏の第85回の全国高校野球宮崎大会の幕が切って落とされました。
延岡学園は必死の調整で初戦、2戦目と順当に勝ち進みます。日南学園も初戦、2戦目は二桁得点の快勝です。

都城商業も投打がかみ合い上位へと進出していきます。都城東高も好調のようです。

そして迎えた8強戦で波乱が起きました。延岡学園が、都城商業に1‐5で敗れました。
確かに投打のバランスの取れた都商の力や延学の状態からはこの敗戦もある意味妥当と言わざるを得ません。

 一方のパートは、日南学園が、ヤマと見られた小林西高に4‐3と辛勝し決勝に進出、都城商業も準決勝で日章学園の左腕好投手・ブラジル出身の小笠原ユキオ投手に苦しみながらも1‐0と主戦富尾投手が完封し、昭和56年以来の甲子園が視界に入ってきました。

記念大会の決勝はともに甲子園を経験しているチーム同士の戦いになりました。
試合は中盤まで1点を争う好ゲームを展開。結局、先に均衡を破った日南学園が追いすがる都城商業を振り切って、2年ぶり4度目の甲子園出場を決めました。

甲子園では、富山商業と対戦。二年生中心の若さを武器に勢いに乗りたいところでしたが、逆に気負いが出てしまいミスを連発。2‐4と初戦で敗退してしまいました。


 1915年(大正4年)8月18日、全国の代表10校が参加して大阪・阪急豊中グランドで産声を上げた夏の全国高校野球。前身の中等学校優勝野球大会の名でスタートした大会は第30回から全国高校野球選手権大会に名称を改めた。

途中、米騒動や第2次世界大戦の中断など幾多の苦難を乗り越えて発展に発展を重ね、今年ようやく85回の節目の年を迎えた。                 
現在は、高校野球イコール甲子園球場のイメージが定着しているが、第3回大会からは阪神鳴尾グランドに会場を移し、球児憧れの夢舞台が完成したのは、大会が始まって10年後の10回大会からだった。九州勢は、第1回大会に久留米商業が参加、次いで第3回から長崎、佐賀、熊本と次々と代表権を獲得。大分商業が1931年に名乗りを上げて、我県を除くすべての県が憧れの地を経験した。

一方、全国的に見ると1953年、滋賀県の八日市高校が初出場を果たし、ここでも大舞台を経験していないのは宮崎県だけとなり、NHKラジオのクイズ番組に『甲子園に出場していない唯一の県は?』と、出題されるなど悲哀を味わった。その当時、県勢は大分、鹿児島の高くて厚いカベの前に長年、悔し涙を流し続け甲子園出場は、まさに県民共通の悲願だった。     

そして、待ちに待った日がやってきた。
地元宮崎県営球場で開かれた東九州大会。臼杵高校(大分)、宿敵・大宮高校に競り勝ち決勝進出を決めた高鍋高校が大分商業を破って宮崎県勢初の甲子園キップを手中に収めたのである。時は1954年(昭和29年)8月5日。全国大会が始まって36回目の夏のことだった。「九州内のしんがり争い」をしていた隣県の大分勢が初出場してから実に23年の歳月が流れていた。

高鍋高校野球部創部50年記念誌には、決勝戦当日は、高鍋町の商店街から役場まで仕事が手につかず開店休業状態が続き、優勝したナインが帰ってくると駅前から中心街まで人、人、人であふれ返る大歓迎ぶりだったと、書いてある。

当時は、野球以外に人気スポーツがなく、娯楽も少ない時代。しかもラジオで茶化された不名誉な記録を払拭する千載一遇のチャンスとあって宮崎県民の高校野球に対する関心は、ことのほか高かった。

高鍋高校が始めて甲子園の土を踏んで以後、県勢のレベルは飛躍的に向上。10年後の第46回大会で宮崎商業が、翌年の大会では高鍋高校が夢舞台でともにベスト四まで進出。全国に『宮崎勢強し』の印象を強烈に植え付けた。

また、第51回大会では、好投手を擁した宮崎商業が秋春の九州大会を連覇し、センバツ、夏の選手権とも『西の横綱』と、評されるなど、深紅の大優勝旗が宗太郎峠を越えるのにそう時間はかからないと思われていた。

しかし、その後の県勢はと言うと、第63回の都城商業、第75回の小林西高、第83回の日南学園がベスト八進出を果たしただけで、優勝はおろか全国四強の分厚いカベを乗り越えるチームは未だ現れていない。宮崎商、高鍋の活躍した時代は遠い過去のモノとなってしまったようだ。

年号が平成に変わると、状況はさらに悪化。甲子園や九州大会のような大きな大会で県外勢に勝てない低迷期が長く続きファンをヤキモキさせた。平成7年、日南学園がセンバツに初出場するまでの8年間は、我県のチームは同大会に出ることすら出来なかった。

しかしながら、関係者の地道な努力が実を結び、また、強豪校の台頭など、ここ数年で県全体の底上げが図られ、平成10年秋には、日南学園が全国の各ブロック優勝校で競う明治神宮記念大会で優勝。歴史が浅く認知度は低いながらも全国的な大会で始めて宮崎県のチームが頂点を極めた。そして、昨秋は同大会で延岡学園が準優勝と、県勢の実力はふたたび上へ向かって急カーブを描こうとしている。

20世紀に誕生した全国高校野球選手権大会。世紀をまたいで受け継がれ語り継がれて85回。プレーする選手、柵を隔てて温かく見守るスタンド。これからも絶え間なく進化し続けて多くの人々に夢と希望と感動を与える、であろう高校野球。

今世紀も高校スポーツの頂点として君臨し、主役の座を他の競技に譲ることは恐らくあるまい。夏の太陽が燦燦(さんさん)と照りつける暑い午後のひととき。やっぱり似合うのは高校野球だ。

世界中の耳目が極東アジアの2国に集中した昨年の今頃、決勝トーナメント進出で沸き立っていた日本。一方、ベスト四まで勝ち進み、世界をアッと言わせ熱狂する韓国。不況風を吹き飛ばし明るい話題で埋め尽くされた2002サッカーワールドカップ。

「ベッカムゥー!」、「ロナウドゥ!」、「カーン!」・・・。大会が始まるまでは、見たことも聞いたこともなかった世界のビッグネームを、連呼するにわかファンが街にあふれた。しかし、世界最大のスポーツの祭典も、終わると何時しかイチローが、松井が、瀬間仲がと、潮が引くが如く人々の関心は、サッカーからごく自然に野球へと傾斜していった。

そして、早いものであれから一年。イラク戦争が勃発、収束に向かったと思う間もなく中国、香港、台湾を中心に重症急性呼吸器症候群(SARS)が猛威を振るい、国際的なスポーツ、文化イベントが中止や延期に追い込まれている。

荒川に仮移住した多摩川タマオ君は、釣り針も取れ、相変わらず元気な姿を見せているが、紙面上では昨年の明から一転して暗いニュースが連日報道されている。・・・・・・

前置きが長くなったが、そんなこんなで騒然とする世の中を尻目に、今年も〝暑くて熱い〟、球児たちが最高に輝く季節が巡ってきた。 
全国高校野球選手権宮崎大会は、7月8日、『サンマリンスタジアム宮崎』で、開幕する。

節目の85回大会にふさわしく今回も1校増えて参加校は53校(の予定)と、史上最多を塗り替えようとしている。昨年の聖心ウルスラ高に続いて、旧宮崎女子高が今春から男子生徒を受け入れ宮崎学園高校として再出発。

同時に野球部も創設し、一年生だけではじめての「夏」に挑む。

今年の大会は、昨秋、目の覚めるような活躍を演じた延岡学園から好調時の勢いが影を潜め、他校の力も上がってきて、昨年の日章学園、一昨年の日南学園などのような頭ひとつ抜けた学校が見当たらず、優勝争いの行方は混沌としており、どこが甲子園に行ってもおかしくないと言うのが大方の見方だ。

最終的には、本番をケガなく最高の状態で迎え、うまく調子の波に乗った学校が甲子園への切符を手にすることになりそうだ。
とはいえ夏の大会時の暑さは格別で、勝ち進むたびに選手のスタミナは激しく消耗する。

特に投手にかかる負担が大きいので、絶対的なエースや実力の接近した投手を多く擁した学校が有利になるのは間違いのないところだろう。
一方、打撃はよく水物と言われ試合によって、また相手投手によって展開ががらりと変わるのはよくあること。僅差で競り合っている時、モノを言うのは、やはり投手を含めたディフェンスの力と言うことになる。

典型例を二つ紹介したい。昨年の夏の甲子園。初出場の日章学園は、相手9安打を大きく上回る22安打を放つも結果は8‐9の初戦敗退。無失策、与四球1の相手に対し、大事な場面での2失策が直接敗戦に結びついた。

そして、今センバツに出場の延岡学園。序盤に守りのミスが出て後手に回り、投手もリズムに乗れず失点を重ねる悪循環。後半持ち前の粘りで追い上げたが時既に遅く、昨秋の明治神宮記念大会決勝とほぼ同一のパターンで敗戦を喫した。

守備は、一般的に打撃のように楽しくはないし華やかさもない。受けるノックもきつい。練習も地味で根気がいる。それだけに試合でミスした悔しさを胸に秘め、常に実戦のあらゆる場面を想定した中で、状況判断力の養成に努め、意識的にテーマを持って取り組まないと上達のスピードは上がらない。

「一球入魂」は、試合に限ったことではない。むしろ、費やす時間が圧倒的に多い練習時こそ一番当てはまる格言だ。
また、よく言われる言葉がある。「守備からリズムを作る。」ピンチを耐え凌ぎ、ファインプレー、併殺、けん制アウト、スクイズ外し、三者凡退などなど、投手を含めた守りを固め、相手に点をやらないことでチームが盛り上がり攻撃に好影響をもたらすのはよくあること。

全国の強豪校を見て、いつも感じるのは守備がしっかりしていること。勝負所をわきまえ集中したここ一番での守り、特に、球際の強さがないと、大きな大会になればなるほど、「あと一歩。」、「惜しかった。よく戦った。」で、終わってしまう。

さて、今年の大会の展望に移ろう。
先の県選手権を終えてシード校が出揃った。第1シード・延岡学園、第2シード・、
日南学園、第3シード・延岡工業、第4シード・日章学園の四校である。

主要な大会で好成績を残し、加えてシード権を獲得したこの4校が大会の動向を左右するものと思われる。
昨秋、新人戦、九州大会県予選と連続制覇した延岡学園の勢いは、留まるところを知らず、その後の九州大会で初優勝を飾り、さらに全国の地区大会優勝校が集う明治神宮記念大会でも、国士舘、遊学館と言った強豪校を連破し、「頂上にあとひとつ」と、言う快進撃を演じた。

残念ながら、決勝戦は守備が乱れて前半で大量点を献上、後半、猛烈に追い上げたものの、捉えきれず岐阜・中京高校の後塵を拝したが、秋の一連の大会での戦いは見事なもので、『粘りの延学』、『逆転の延学』と評された。

実績から言って第1シードは妥当なところである。しかし、今春以後の戦いを見ると、センバツにしても九州大会にしても、もうひとつ「らしくない」試合が続き夏に向けて克服すべき課題は多い。

さらに、県選手権は予選段階で相手投手の好投の前に、まさかの敗退。この試合、日向の主戦・三樹の得意とするスライダーに対しヘッドアップしての空振りや引っ掛けた凡打が目立ち、畳み掛ける攻撃が見られなかった。センバツ大会のショックが影響しているのか、九州大会で西日本短大付属の左腕投手の変化球に対応出来なかったのが尾を引いているのか、チーム状態はかなり厳しい印象を受けた。

第1シードが県選手権の本大会に出られないのは、5年前の都城高校以来2度目の出来事である。

投手陣は昨秋、エースとして活躍した左腕・上田の調子が戻らない。もともとカーブ、スライダー、スローカーブなどの多彩な変化球をコーナー一杯に投げ分け、緩急を駆使し、打たせて取る投球なので生命線のコントロールに狂いが生じると痛打を浴びることになる。

半面、右のエース・杉尾は、センバツ、九州大会ともに打者をねじ伏せる力強い投球を披露し自信を深めた。140㌔台の威力ある直球に大きく曲がるカーブ、スライダーともに切れは抜群で制球力も格段にアップし大崩れすることはまず考えられない。本番は、この二人が中心の投手起用となるだろうが、上田が万全でないと厳しい戦いを強いられそうだ。ほかに河野和、田吹、二年生の左腕・深草が控える。

打線は、中軸を含め昨秋からかなり大幅な入れ替えを行っている。三番を打っていた主将の井本が四番に座り、前後を杉尾、矢野、長友らで固める。

入学直後の試合で長打を連発、一躍、一番・遊撃手としてレギュラーを獲得した主砲・井本は早いもので今年最上級生に。二年生時に腰を痛め足踏みしたものの新チーム結成後、大舞台を数多く経験して長足の進歩を遂げている。173㎝、74㎏と、身体も一回り大きくなり、打球の速さ、飛距離ともに県内一、二を争う。本塁打よりセンターを中心として左中間、右中間へのライナー性の長打が目立つ。また、チャンスに滅法強く昨秋、一連の大会での驚異的な粘りの立役者としてチーム内での存在感は絶大だ。因みにこの一年間の公式戦21試合での記録を見ると、打率が四割四分八厘、二塁打9本、三塁打7本、本塁打4本の打点27。ヒット39本のうち長打が20本。長打率五割一分三厘と県内の選手ではダントツの結果を残している。

以前の四番・矢野も当たり出すと止まらないが、好機に力んで空回りする短所を併せ持つ。再度、四番奪還を果たすには第一ストライクから打っていく積極的な打撃が不可欠。奮起を期待したい。その他一、二番を打つ緒方、木村から下位の阿部、喜多までどこからでも得点可能で、相手にとっては気の抜けない打線を形成している。

一方、大舞台で同じミスを同じチームに2度繰り返した守備陣。失策が直接敗因に結びついただけに取り組む姿勢は真剣そのもの。基本の基本練習から内外野の連携まで反復し時間を割いてレベルアップに励んでいるので夏は、よもや「3度目の過ち」を犯すとは思えない。いずれにしても今春以降の悪い流れを断ち切り自信を回復することが一番だろう。

第2シードには日南学園が入った。
過去一年間の公式戦は、春の九州大会県予選の準優勝を最高に、すべての大会で上位に顔を出している。
今年は二年生主体のチーム編成だが、三年生にも力のある選手がおり、攻守にわたって複数の選手がレギュラー目指してしのぎを削るなど、ポジション争いが熾烈(しれつ)でチーム力も急速に伸びている。

打線は、上位から下位まで左打者が並び、いずれも俊足で凡ゴロをヒットにする走力は他チームにとって脅威だろう。
春の大会では四番・川添、シュアーなバッターの三番・杉田の両選手を除いたすべての打順で複数の選手が起用され、いずれも結果を出すなど、層の厚さは他校の追随を許さない。

各打者とも振りがシャープでライナー性の当りが目立ち、ツボにはまればスタンドまで持っていく力を秘めている。特に春の大会で打ちまくった三番・杉田のバッティングセンスの良さとセンター前のヒットを二塁打にしてしまう走力。四番・川添の打球の速さ、遠くへ飛ばす力。六番・舛巴の思い切りの良い打撃と小技の鮮やかさは印象に強く残っている。

また、チームとしての積極的に次の塁を狙う走塁や盗塁、ヒットエンドラン、ドラッグバントなど機動力は今年も図抜けて健在である。県選手権初戦は、日向の好投手の前に盗塁二つ送りバントゼロと機動力を封印、強打で打ち勝ち、2戦目は相手投手の大きなモーションに付け込み塁に出ると、ことごとく走って早々と大勢を決め、準決勝では送りバント、セーフティーバントを多用するなど、選手全員が相手により自在な攻めが出来る器用さを持っている。

ただ、初戦の九回や2戦目の序盤で見せた集中した時の力はさすがと思えるが、たまに、凡フライが続いたり、中途半端な走塁や雑な球さばきが見られるなど、気の抜けたプレーも時々顔を出していた。守りは三遊間中心に、外野はセンターを軸に実戦を想定した質の高い練習を数多くこなし固い守備力を誇っている。

また、進塁阻止のピックオフやけん制などのサインプレー、内外野の連携など穴は見当たらない。さらに要(かなめ)の捕手は、県選手権で二年生・井上が強肩を披露。盗塁を試みた走者を2度刺した。しかし、三年生・石原、二年生・呉も力に差はなく夏まで競争は続く。

投手陣は、絶対的なエースがいない反面将来、楽しみな投手が揃った。県選手権では三年生一人、二年生三人、一年生一人を起用。各人が与えられた役割をこなし、まずまずの結果を出していた。

山口はその中で唯一の三年生。右のサイドハンドで直球、スライダーをコーナーに集めて打たせて取る投手。春の九州大会決勝では抑えに登板し鹿児島での本大会に臨むはずだったが、思わぬ誤算で延岡工業に痛打を浴びての逆転負けを喫し一番悔しい思いをした。その苦い経験をバネにして真のエースを目指す。

中萬、蕭(しょう)、荒居は二年生。中萬は右投げ。コントロールを生命線に、直球、カーブ、チェンジアップなど緩急をつけ打たせて取る投手。5月に行われたMRT招待野球で浦和学院に1失点完投。大きな自信を得た。蕭は二年生で台湾からの留学生。右投げの本格派。伸びのある直球とカーブのコンビネーションで勝負する。県選手権は日向高と日章学園に登板好投した。荒居は二年生左腕。大きく曲がるスローカーブを見せ球に威力満点の速球をズバッと投げ込む。

一年生の伊賀も右の本格派。他の右投手と似たタイプで制球力があり今後、経験を積めば大きな戦力になるだろう。二年生が半数を占めると言ってもひとり一人の能力は高く、加えて質・量ともに高いレベルの練習をこなす日南学園。これまでの実績からも今年の夏は、少し手を伸ばせば届くところに甲子園切符があるのは間違いないだろう。

第4シードに日章学園が入ってきた。
昨年の夏、瀬間仲、片山のブラジル勢に、島、平田、宝田など強力打線を擁して悲願の甲子園初出場を果たし、本番では、興誠(静岡)相手に自慢の打線がヒット22本と、記録的大爆発。しかし、失点9を挽回出来ずに初戦敗退を喫した。

県内で圧倒的な力を誇った日章学園だったが、本番の夏には、各校の急激な追い上げに八強戦、四強戦はやっとの思いで1点差を逃げ切る辛勝と、例年、夏の大会はレベルアップを推し測るのが難しい。

そんな中、今年のチームは、主力がごっそり抜け、しかも、二年生が多くチーム力の低下が心配されたが、唯一の甲子園レギュラー・小笠原を軸に急速に力をつけてきた。新人戦は本戦に出場しベスト八で日南学園に敗退。秋の九州大会予選は3回戦止まり。そして、春の大会でベスト四、県選手権は決勝まで進出した。

今年のチームは昨年と違って豪打のイメージはない。しかし、三番・小笠原、四番・伊藤、五番・岩本の振りは鋭く三人とも公式戦で四割近くのアベレージを残している。

特に、小笠原の打撃は素晴しく、県予選代表決定戦の無死満塁の走者一掃の三塁打や同大会本戦対都城商業戦、延長十回サヨナラ本塁打など、好機やここぞと言う場面での強さは際立っている。

主砲・伊藤は二年生ながらパンチ力には定評があり長打はチームNo1である。ただ、この都商戦は反省材料の多い試合だったことも確か。チームとしては自慢の足が空回りし、捕手のけん制でアウトになったり、盗塁死、中途半端な二盗で憤死、直後にヒットがことごとく出るなど攻めのチグハグさが印象に残った。うまく攻めていれば早々に点が入り、余裕の試合展開も可能だったように感じた。今後の課題だと思う。

ところで自慢の足だが、公式戦12試合で63個と信じられない数を記録している。投手の小笠原をはじめ一番・黒木の12個を最高に、ほぼ全員が走れる足を持っているので打線のどこからでもヒットエンドラン、セーフティーバント、重盗など機動力を使った攻撃を仕掛けることが可能だ。

一方、守備は昨年と比較しても遜色ない。もともと守りから出発したチーム。捕手・伊藤、二遊間の梅木、小川、センター・黒木の真ん中のラインがしっかりしていて堅実である。
ただ、春の大会や招待野球で、投手が左にもかかわらず6個、7個の盗塁を許していたのが気になる。
もっとも、最近は解消されてはいるが・・・・。

気になると言えば投手陣。日章学園にとって夏は小笠原抜きには戦えない。また、小笠原一人でも苦しい。180㎝、80㎏の恵まれた体格から投げ下ろす直球は、Max142㌔を計測する県内ナンバーワンの左腕投手。これまでほとんどの試合で完投してきた。

春先までは直球が走らず制球も定まらず、さらに投球のリズムも悪くて今ひとつ冴えなかったが、県選手権地区予選ころから本格化。特に、宮崎北高との一戦は素晴しかった。投球に力みがなく直球、スライダーの制球がよく常にストライクが先行し自分のリズムで投げていた。
球威があり、スライダーの切れも出色で、バントヒットを含め被安打3の完封勝ち。

対戦相手は中盤以降、ほとんどの打者がセーフティーバントを試みるしか打開の糸口を見出せなかった。県選手権本大会初戦は、前の試合ほどスピードも制球もよくなかったが、都城商業を相手に延長十回の完封勝利。さらに準決勝は打たれながらも凌いで日南学園に完投勝ち。決勝も1失点完投と、一人で投げ抜いている。

しかし、日章にとっての大きな不安材料はピッチングスタッフ。ここまで、ほとんどの試合を小笠原で賄ってきており控え陣が手薄なこと。公式戦は、岩本と黒木が経験しているが二人とも野手が本職で試合数、インニング数ともあまり多くない。

両投手とも右投げで岩本は直球が130㌔台半ばを記録する本格派。スライダーに良いものがあるが、インコースの制球にやや課題を残す。サイドスローの黒木も直球のスピードは130㌔とまずまず。問題は変化球のコントロールである。勝ち進んでいけば小笠原一人ではとても無理。二人の出番も多くなるだろう。連続出場のカギはこの辺にありそうだ。

第3シード・延岡工業は、ひと冬越してチームが大きく成長したのが見て取れる。
凄味こそ感じられないが、投・攻・守バランスの取れた好チームに仕上がってきた。
特に秀でた選手がいる訳でなく、全体にこじんまりまとまっている。特に、投手を含めた守備が安定していて少ないチャンスを活かし、最小の失点で逃げ切る試合が多い。

言い換えると、後半までもつれた接戦になると粘り強くより真価を発揮する。
春の九州大会県予選は、ほぼ全試合そのような展開だった。
思い起こせば17年前の春、左腕の好投手・安田を擁して九州大会県予選に圧勝。

その後、鹿児島県で開かれた九州大会も順調に勝ち上がり決勝へ。
順当なら勝てたはずの試合に「夏」を考え、エースを温存して準優勝に終わった。今年のチームは、あの時以来の九州大会県予選制覇である。    
原動力は、主戦・山岡の成長。昨年から小柄な身体をいっぱいに使った迫力のある投球を披露していたが、横手からの投法に移行した冬場以降、直球がさらに威力を増し鋭いスライダー、カーブが内外角の低めにコントロールされ、緩急と横の変化で失点が計算出来る安定感抜群の投手に成長した。

春の九州大会県予選・準々決勝対都城東高戦で6安打完封、準決勝の日章学園戦は、9回一死で交代するまで被安打3の13奪三振を記録。この試合はセットポジションから伸びのあるストレート、スライダーをコーナーぎりぎりに投げ分け、また、低目への制球も素晴しかった。

控えは、山岡との継投を数多く経験している右の下手投げ・田崎と、春の県予選決勝を経験した切れのあるカーブと直球で勝負する右上手投げの二年生・松田将の3人だが、「夏」を乗り切るには、山岡に続く完投能力を持った投手の成長が待たれる。

一方、昨秋、内外野の乱れが原因で喫した敗戦を糧(かて)に、守備力の強化は、今春以後確実に実を結んでいる。
春の県予選で見せた内野の軽快なフィルデングや中堅・広瀬の状況を心得た本塁や三塁での補殺はその成果の表れと言える。

また、昨年のセンバツを経験した捕手・黒木成利の打者心理を巧みに読み取るリードは、昨年のエース・七條が大きく成長したように、今年は山岡がその恩恵に浴している。

課題を挙げるとすれば、打線と控え投手の台頭。
特に、打撃は力のある打者が揃っている割には、チャンスにタイムリー打が出ないため得点は多くなく、苦戦、接戦の一要因となっている。

クリーンアップを組む広瀬、山内、牧野(峰)の左トリオの打撃の精度向上と力のある鈴木の前にランナーを出せるかが得点力アップのカギを握る。
また、足の速い選手が揃っていて塁に出るとリードオフが大きく相手投手に圧力をかける。
打てない時にバント、ヒットエンドラン、盗塁など得意な機動力を仕掛けると展望もより開けてくる。
一番・二年生の上杉、二番・黒木、下位に回る二年生・松田恭や山岡の勝負強いバッティングにも期待したい。

都城商業は昨夏、三年生が3名しかいない二年生主体のチームで大会に臨んだ。
そして初戦で波に乗り若い力が爆発。
準々決勝では、第三シードの日向学院に対して、もう後がない九回二死・無走者から3点差を追いつき延長で勝ち越してベスト四に進出。
都商旋風を巻き起こした。

原動力は二年生。中でも主戦・富尾は、小柄な身体をいっぱいに使い球威満点の速球で相手打者をねじ伏せる気迫の投球を披露。バックも好守好打で盛り上げた。さすがに四強戦は、センバツ出場の延岡工業の前に力負けしたが、今年はその時のメンバーがそっくり残り、新チーム結成当初から高い評価を受けている。

特に投手陣は、富尾を筆頭に左のエース・前村、主戦クラスの力がある妻井に、右投げの速球が武器の大型本格派・黒原さらにはMax140㌔を記録しスピードではチームNo1の二年生・西村が加わり質、量ともに県下屈指のピッチングスタッフが揃った。

全員、球に威力があり変化球の切れも鋭く、本番では状況に応じた余裕のある投手起用が出来るだろう。
先日の県選手権、対日章学園戦は富尾が登板。変化球の切れが抜群で威力のあるストレートが効果的に決まり、打力のある日章打線も窮屈なスイングを強いられ得点することが出来なかった。

結局、0‐0のまま延長戦にもつれ込んだが、十回裏、疲れの見えたところで手痛い2点本塁打を浴びサヨナラ負けを喫したが、都商の基本的なパターンは妻井、前村との継投で富尾のこれだけの好投は夏につながる良い材料だろう。

ただ、公式戦で三割四分のチーム打率を記録している打線は、県下ナンバーワン・左腕の前に沈黙。打開の糸口を見出せないままゼロ封を喫し課題を残した。蒲生、月野、永山、西村の中軸は、当たり出すと、止まらない破壊力がある。
上位の中原、中西の出塁率が高いだけに得点能力には相当なものがある。

この夏の目標はもちろん「甲子園」。初出場した晴れ舞台で、いきなりベスト八まで進出し話題をかっさらったのが22年前。時の流れは早い。今年は、久しぶりに訪れたチャンスである。逃す手はなかろう。昨年のようにうまく乗っていければ、2度目の夢の実現も可能だ。

鵬翔高校が、素晴しい勢いでトップに迫ってきた。
これまでの公式戦は春の九州大会3回戦進出が最高だったが、ひと冬越して打力と投手力が飛躍的にアップ。
いきおい戦績も大幅に上昇。県選手権本戦は決勝まで上り詰めついには初優勝の快挙を達成した。原動力は全員攻撃全員守備である。

攻撃は上位下位ムラなく打ち、どの打者も振りがシャープでライナー性の当りが多い。変化球にも対処出来、逆らわず反対方向に打ち返す技術を持っている。

また、打ち出すと盛り上がり連打、連打の一気呵成の攻めで大量点をたたき出すことが出来る。
県選手権の代表決定対大宮高校との一戦は象徴的だった。三回、相手投手に襲いかかり長短5連続のつるべ打ち。
相手ミスも重なりアッと言う間の大量7点。ヒットはどれも真芯で捉えた打球の速いクリーンヒットばかり。

この試合11本放った安打のうち5本が長打だった。上位下位とも満遍なく打ち、中でも九番のキャプテン・平田宗靖は、鋭いスイングから右翼フェンス直撃弾を含む2本の3塁打を記録。前の試合でも同じような当りを放っていて、主砲と勘違いしてしまうほど。

先日の県選手権都城戦でも左中間に三塁打を放つなど絶好調。
また、決勝戦は難しいゴロを再三再四さばき守備で優勝に貢献した県下屈指の九番打者である。

守備も特に、内野の動きは軽快で無死あるいは一死からの出塁も3併殺を完成させるなど、チャンスの芽をことごとく摘み取っていた。
ただ、比較的スランプの少ない守備に対してバッティングは水物。

相手主戦が登板すると、当りは不思議なほどピタリと止んでしまった。
県選手権本戦の対佐土原高でも同じように、相手先発の不調で先取点を挙げるものの救援した好投手の速球に振り遅れが目立ち、攻略出来ず追加点が奪えないまま結局、自軍エースの好投と堅守でかろうじて逃げ切った。

守りでは、三塁手・興梠が三塁線に飛んできた強烈なゴロにダイビング。起き上がって一塁へ遠投。難しいハーフバウンドをうまく処理し、アウトにした高橋一塁手ともども素晴しいファインプレーだった。

準決勝都城戦は、初回からこんどは打線が爆発。投ともうまく、かみ合って決勝に勝ち進んだ。
そして小雨の中で行われた決勝戦は一転して投手戦になり、速攻で先制したトラの子の1点を守り切り頂点を極めた。

投手陣は、二年生の本格派投手・金村の成長で、昨年秋まで主戦だった加藤がショートに回り主砲として打撃に専念。チームがうまく回転し始めた。
金村は183㎝の長身から投げ下ろす130㌔台半ばの直球を武器に、大きく曲がるカーブ、スライダーを織り交ぜコースを意識した投球をする。ここ数試合は、力まず無理に三振を取りにいかずバックを信頼して投げ、勝負所など要所を締める頭脳的なピッチングが目立つ。

先の大宮高校戦などは守りとかみ合いその典型的な試合だった。失点も県選手権予選以後の完投した4試合で2点と非常に安定している。
身長の割には、体重が65㎏と細身。食べて走って筋力トレーニングを交えた練習を課すことで球速は、グンと増すはずの期待の大型右腕である。控えは、三年生の渡辺と一年生の平田宗義。ともに右投げの投手。

渡辺はカーブを得意とし直球とのコンビネーションで打たせて取るタイプ。平田宗義は、183㎝の長身で直球に良いものを持っているがまだ一年生。これからが楽しみな投手である。鵬翔高校は、平成7年の第68回センバツに出場。智弁和歌山に0‐3と初戦敗退を喫したが、直後に行われた春の九州大会では同県対決で小林西高に圧勝し初の九州一に輝いた。

当然ながら夏の宮崎県大会では大本命に推され有力視されたが、ライバル校のマークは厳しく残念ながら3回戦で敗退。
未だ夢の実現に至っていない。だが、今年のチームには勢いを感じる。うまく波に乗れば甲子園まで突っ走るかもしれない。
また、それだけの戦力が整いつつある。

本番を控えた県選手権で優勝した学校がシードからはずれたのは、5年前の宮崎日大に次いで2回目の非常に珍しいケース。それだけに抽選をはじめ同校に対する注目度は日を追って高まりそうだ。

今まで紹介した学校が大会の行方を左右するのは間違いのないところだが、今年は例年になく混戦模様。どこが勝ってもおかしくない力の接近したチームはまだまだたくさんある。

その中で活躍が期待される学校、話題校を例によって北から順に挙げていくことにする。

県北地区は、これまでの実績だけを見れば、延学、延工が頭ひとつ抜けている。
しかし、シーズンオフから新年度以降の毎日の練習、対外試合を通してどのチームも急速に力をつけてきている。

筆頭は
日向高校。主戦・三樹は昨年夏も経験。制球に難がある欠点を克服、大きく成長した。
完投したほとんどの試合で奪三振が二桁を記録している。
勝負球は、切れ味鋭いスライダーと、ここという時に度胸よくズバッと投げ込む130㌔後半のストレート。

先の県選手権県北予選の対延岡学園戦で横の揺さぶりが功を奏し、引っ掛けての内野ゴロ、空振りなど相手に的を絞らせない投球が光っていた。ただ、二番手の投手となると心もとない。

二年生の谷口が控えるが、完投までは無理。三樹の双肩にかかる負担を少なくし上位を目指すには打線の奮起が不可欠。主砲・黒田の西階球場・左中間最深部への一発には度肝を抜かれたが、山本、高田、岩田、石川など上位から中軸にかけてうまく繋がれば、得点能力はアップするだろう。

81回大会の青木宣親投手(現早稲田大)、83回の日野泰彰投手と評価の高かった両選手が東京六大学に進学。
野手に転向した青木選手は昨秋のリーグ戦で首位打者に輝き、日野選手も立教投手陣の一角としてリーグ戦に登板するなど身近な先輩の活躍をナインも良い刺激にしてもらいたい。

延岡東高には、右の本格派・河野茂がいる。
昨年夏の大会は2試合で完投勝利を収めベスト八進出の原動力となった。
伸びのある直球に大きく曲がるカーブのコンビネーションで打者を打ち取る。
今春からは、甲斐康との継投策も多くなり、主戦の負担も軽減されつつある。

先の県選手権予選では、公式戦で3度目となる日向・三樹投手との対戦だったが、クリーンアップが2三振ずつ奪われるなど打線全体に元気がなく2‐3で敗退。
対戦成績も一勝二敗と負け越した。
ただ、スランプのない足は健在で、スキがあれば次の塁を盗む積極的な走塁が目立っていた。

延岡高校は、九州大会を経験した昨年のレギュラーが、半数を占めている。
投打の軸は桑原。左の本格派で最速138㌔の直球とスライダーがある。
速球系を多投するので緩いカーブを覚えるとピッチングの幅が広がる。控えに横手投げの小田がいる。

攻撃面は俊足選手が揃っていてヒットエンドラン、単独スチール、犠打と言った機動力を使った攻めが多い。
先日の県選手権予選は、序盤から先発の小田が乱れ四死球を連発、内野の捕球・送球ミス、バッテリーミスなど悪い面をすべてさらけ出した格好で6点を献上した。本番を前に最高のクスリになったに違いない。

反面、打撃は当たり出すと、止まらない昨年のチームを彷彿とさせる攻めが出て一気に6点を連取、今後に期待を抱かせた。
同校は、次の試合のために荒れたグラウンドを慣らす当番校の控えの選手達に整備が終わると、全員が直立不動で御礼の挨拶をする。
細かい高校生らしい気配りは、見ていて清々しい気分にさせられる。

富島高校には、182cmの長身左腕・重吉がいる。
昨年の大会も高く評価された本格派投手だが、気持ちが空回りし持ち前の制球の良さと力強い投球を披露する間もなく5回コールドと言う屈辱を味わった。
重吉にとって今年は最後の「夏」。昨年の汚名返上を期す番だ。

ただ、チームとしてはこの一年間、公式戦では1勝のみと目立った戦績を残していない。

その唯一勝利した日向工業と先日、県選手権予選で対戦。雪辱に燃える相手の気迫の前に後手に回って1‐4と、敗戦を喫した。
しかしながら、投球内容は、奪三振14個と、スライダー、カーブが切れ制球もまずまずで、球速がある高めの球に相手打者が、手を出すケースが多く見られた。「元気ではどこにも負けない」バックがしっかり守り先制し主導権を握ると、彼本来のピッチングが見られそうだ。

続いて県央地区。
今年は戦力の整ったチームが多く、ライバル校同志のせめぎ合いが激しさを増し、レベルアップもアップテンポだ。

妻高
は、一、二年時からレギュラーとして試合に出ている選手が大半で経験豊富。
主戦の清はサイドハンドからスライダー、シュートと、スピードを増したストレートを切り札に横の変化で打者に挑む。
昨年からのエースとはいえ、昨夏の大会は故障で投げられず悔しい思いをした。
それだけに今年に賭ける意気込みは人一倍だろう。

新チーム以後の公式戦は全試合一人で投げ抜きスタミナのあるところを見せている。課題はコントロール。控えの菊池が伸びてきたのは、主戦の負担が軽減されることからも好材料だ。打線が確実に得点出来るようになれば上位も狙える。

佐土原高は、秋春の九州大会県予選ではいずれも好結果は出ていないが、新人戦、県選手権は地区予選を勝ち抜き本戦まで進出している。ここのところ戦力アップが著しいチームのひとつである。
戦力的には投、攻、守高いレベルでバランスが取れている。

俊足選手が揃っていて、足を絡めたバント、盗塁、エンドランなどの機動力野球を得意としている。
取れる点は1点でも多くと、試合の序盤から四番にスクイズさせる手堅い攻めもある。

打順は流動的だが、県選手権では一番に打点トップの横山が入り、二番の宮本が送り、若松、黒木、福塚のクリーンアップで返すオーダーが組まれていた。
六番・田中や黒木優の下位もチャンスに強く打点を多く稼いでいる。

公式戦15試合でのチーム打率はそう高くないが、藤元、主砲の黒木大、横山、福塚などは長打力がある。
また、本塁打を4本記録するなど、打線にはパンチ力がある。ただ、2本塁打を放っている正捕手・斉藤が予選で負傷し県選手権も登録がなかった。状態は不明だが、打線の中核を担い、よく当っている選手なので本番までには復帰出来るよう祈りたい。

投手陣は黒木優、金丸、藤元および児玉の四人。右本格派の黒木優が先発し藤元の救援を仰ぐケース。
長身の左腕投手・金丸が先発、黒木優や藤元につなぐなど、試合に応じていくつかのパターンを使い分けていくことになりそうだ。

県選手権対鵬翔戦は、先発・金丸の不調で初回一死から黒木優がリリーフ。
早々の出番で準備不足のため1点は取られたものの、セットポジションから伸びのあるストレートとスライダーがコーナーに決まり、ほとんどの相手打者が差し込まれ凡打の山を築いていた。

黒木優は、藤元とともに一年生で昨夏を経験。右の本格派で伸びのある直球が持ち味。打者から遠い低めを丁寧につく投球で鵬翔戦のようにうまくコーナーに決まればそう打たれることはない。藤元は小柄な右投げの投手。スピードはさほどではないが、スライダーの切れが良い。金丸は大型左腕。相手をねじ伏せるほどのスピードはない。ストレートにブレーキのあるスローカーブを交え緩急で勝負する。

守備は、内外野とも動きがよく堅実である。また、けん制やピックオフなどのサインプレーはよく鍛えられていて守りで相手打線にプレッシャーをかけることが出来る。

佐土原高は、投手陣全員とレギュラーの大半が二年生の若いチーム。選手構成が昨年の都城商業に似ている。初戦で良い勝ち方をし、波にうまく乗れたら面白い存在になるかもしれない。

小林西高は.平成五年、剛腕・笹山投手を擁し西諸から初の甲子園に出場。
夢舞台でベスト八まで勝ち進み旋風を巻き起こした。
戦い終えてナインが帰ってきた時には小林市内が大フィーバーを巻き起こした。

早いものであれから10年が経過した。
同校は毎年のように守りを中心とした好チームをつくってくるが、平成八年春の九州大会準優勝が最高と、なかなか甲子園まで達することができない。

今年も、二年生左腕・榎田と三年生・川平の両エースを中心に、守備と打撃を兼ね備えたレベルの高いチームが出来上がろうとしている。新チーム直後の新人戦は、都城西高と一歩も引かない大接戦を演じ、初戦は3‐3の延長十五回引き分け。翌日の再試合も大接戦。

結局、この試合も延長にもつれ込んで十回相手に2点を入れられ敗退した。
初戦は川平が一人で投げ抜きスタミナに自信のあるところを示した。

この2戦が大きな教訓になったのか、秋の九州大会県予選は、川平、榎田の継投が決まり打線ともうまくかみ合って決勝に進出。
6回目の九州大会出場を決めた。榎田は左の本格派。177cm、78㎏の恵まれた身体から繰り出す130㌔強の直球と大きく落ちるカーブ、スライダーや時にスクリューボールを交え打たせて取るタイプ。三年生の川平には安定感があり、直球の球速は榎田の少し上で球に力がある。決め球は緩急2種類のスライダー。
最近、左の技巧派・山下や右の本村も力をつけてきて投手起用にも余裕が出てきている。

攻撃陣には破壊力はないが、バントやヒットエンドラン、単独盗塁など足を絡めて相手内野陣を揺さぶる攻めを得意としている。
特に二年生の南正覚は、本塁打が打てるパワーと一試合平均1、5個の盗塁を記録するチーム内でも抜群の足を持ち相手守備の状況を見て次の塁を狙う積極性も持ち合わせている。

ほかに俊足No1の前田や四位など小技には欠かせない選手がたくさんいる。主砲・斉藤は確実性がありチーム一の打点を記録。チャンスで頼りになる打者である。一年生の福永は走攻守揃った即戦力。将来の成長が楽しみである。
守りは内外野とも動きが軽快。連携プレーにもソツがない。

県選手権地区予選2試合は、昨年の秋の感覚が戻ってきたような戦いだった。しかしながら、本戦は佐土原高に九回、逆転負けを喫した。この敗戦を糧(かて)にして徐々に上向いてきた調子が夏には完璧になれるよう期待したい。

宮崎日大
は、この一年間、昨秋の九州大会県予選のベスト八が最高と、目立った戦績を上げていない。
昨年の藤岡、下園のような核になる選手がいないことが影響しているのかもしれない。
反面、各選手の力が拮抗していて、穴らしいアナが見当たらない。

投手陣は、橋本、河本、宮田、二年生の甲斐と右投手が並ぶ。主戦・橋本は、180cmの上背から投げ下ろす130㌔後半のストレートが武器。県選手権予選の対佐土原戦では先発したものの、降雨に水を差され集中力を欠き、中盤3連続死球を与えるなど今ひとつの出来で同選手権本戦の出場を逃した。この試合では、二番に入った二年生・中川が、右翼越えの二、三塁打2本を放ち一人気を吐いていた。

日大にとって今年は、久しぶりにマークされずに臨める大会。リラックスして戦えば、もともと投打ともに一定レベル以上の選手が揃っているだけに、むしろ好結果を生むかもしれない。

宮崎農業は、打撃を前面に上を目指す。公式戦の打率は2割5分と高くないが、主砲の有野や一番・綾はバットが良く振れており、上位、下位どこからでも長打が飛び出す。
高校から野球を始めた主将・日高も長打力があり、チームトップの打点をたたき出している。

因みに春の大会までだが、チーム安打総数33本のうち17本は二塁打以上で長打率は5割を超える高率を記録している。
県選手権予選の対宮崎工業戦では、有野が公式戦チーム初の一発を記録した。

投手陣は昨年、主戦だった三年生・福田が故障気味で本来の出来を取り戻せないでいるため小玉がほとんどの試合に投げている。
昨夏は、一年生ながら対小林西戦に先発。結果は苦いものになったが、貴重な経験が活き、この一年で大きく成長した右の本格派だ。

特に、カーブの切れがよく球威のあるストレートとのコンビネーションで打者に向かっていく。
今春の九州大会県予選は、コールドを含め3試合連続の完投勝利を記録。スタミナもついてきて本番が楽しみである。

控えは、黒木や直球主体にグイグイ押していく魚住が伸びてきており投手陣のやりくりも大分、楽になりそうだ。
課題は守備。特に、内野の捕球、送球には難がある。春の大会では、球際の弱さが目立っていた。
二年生主体の若いチームだけに、好守好打で乗っていけば勢いがつくが、ミスから自滅する危険性も併せ持つ。

本庄高校は、新人戦で準優勝と、これ以上ないスタートを切った。
原動力は、二年生左腕・日岡の好投だ。
上手から直球、変化球を低目に集め、落差の大きいカーブとストレートの緩急で打者を打ち取る。

特に、(直球と)同じ軌道から落としてくる変化球が決まりだすと攻略が難しい。
控えは成長著しい二年生・横山。右の本格派で最近の試合は日岡との継投が目立つ。
球威のあるストレートに大きなカーブが持ち味である。

ほかに抑えとしてメドが立った一年生の日高(裕)、ケガから復帰した森久保(二年生)、左腕・大野(一年生)と、ピッチングスタッフはすべて二年生以下で構成している。
ただし、一発勝負の本番は、実績のある日岡、横山中心の投手起用になりそう。

攻撃面は、小柄ながらパンチ力のある一番・杉田の出塁率が極めて高く、二塁に送って溝口、末野、福永、日高(千)の中軸で返すパターンが多い。ただ、下位も振れていてどこからでもチャンスが作れる。投打が噛み合えば昨秋の再現も十分可能なチームである。

宮崎商業は、投打のバランスが取れた好チーム。
打線は、ガッツあふれるプレーでフェンスさえ恐れない一番・柳橋や恒吉を中心に田中、黒川(孝)、巣山ら中軸打者の振りが鋭く打球も速い。全体を見てもこれと言って穴のないオーダーが組める。

投手陣は、柱になる左腕の本格派・三島に注目。
今年の大会は、左の好投手が数多くいるがその中でも上位にランクされる投手の一人だろう。
上手から投げ込む直球は、140㌔前後。カーブもブレーキが鋭く三振が取れる。
まだ二年生。将来性豊かで今後の成長が楽しみな投手である。

米良は右のエース。昨夏は内野手としてオーダーに名を連ねるなどセンス抜群の選手。
スピードはないが、直球、カーブ、スライダーをコーナーに投げ分け打たせて取る投手である。
練習試合とはいえ5月には、強豪の都城商業を相手に、持ち前の制球力が冴え渡り被安打3、失点1の完投勝利を収め自信を深めた。

黒川(翔)は右のサイドスローで、直球と変化球を巧みにコーナーに配する横の変化で打者を打ち取る投手である。
上位進出へのカギは、今までの負けパターンが示しているように、好投手の鋭い変化球をどう攻略していくかと言うこと。
投手が踏ん張り我慢し、粘り強い攻めの中から突破口を見出したい。

宮崎市内の県立4進学校は、おしなべて戦力の充実が目立つ。
大宮高校は、新人戦ベスト四、春の九州大会県予選はベスト八進出と、Aクラスの力を持っている。
原動力になっているのが、昨年の夏の大会での対延岡東戦でのコールド負け。
敗戦の瞬間をマウンドで迎えた主戦・小山の胸の内は如何ばかりだったろうか。

投手陣は、その悔しさをバネに低めへの制球に磨きがかかってきた右上手投げの小山、右横手投げの菊池、左スリークォーターの村社、球威のある右本格派の永野と、多彩だ。昨秋以降、菊池が制球難を克服。
球に勢いも出てきて変化球も鋭く、安定感のある好投手に成長した。

5月のMRT招待野球の埼玉・浦和学院戦で県勢唯一の勝利に貢献する好投をきっかけに、県選手権予選初戦の宮崎学園戦は貫禄の完投勝利。鵬翔戦は、勢いに乗る相手打線をピタリと封じ込めた投球が光っていた。
さらに、けん制も野手、捕手との呼吸が噛み合い巧みだ。

攻撃に関しては、足の速い選手が揃っており春までの公式戦11試合で盗塁29、犠打38は図抜けた数字で、特に一、二番の中村、黒木(亮)、九番の松崎の三人でチーム盗塁の七割以上を占めている。
ただ、走塁に関しては、自信と過信は紙一重と言う場面もしばしば見られる。

出塁して相手投手にプレッシャーをかけ、走者に気を取られたところを、主砲の有村、戸高、西田、小山で返すのが基本的なパターンである。
有村、戸高の三、四番は、身体に恵まれ、パワーに任せた迫力満点の打撃が魅力である。

守備は、内野の黒木(亮)、外野の中村が引き締め、よくまとまっている。
MRT招待ではまた、試合前のウォーミング・アップを浦和学院と、一緒に行うなど全国を代表する強豪校と身近に接し、得るものが多かったことだろう。
宮崎南高には、今年は児玉と言う好投手がいる。
昨年は鳥井、大田と評価の高い二人の投手がいて出番は少なかったが、新チームから春の九州大会県予選まで一人でマウンドを守ってきた。右の本格派で直球の速さは135㌔。ほかに大きなカーブとスライダーがあり、思い切りの良い投球で、大きく崩れることはない。

最近、控え陣が成長。先の県選手権予選は右の横手投げの橋口、大田、二年生の大谷が公式戦を初体験した。
橋口は、カーブ、スライダーに時折スローカーブを交え、直球を少しでも速く見せ、打たせて取るタイプの投手。
短いイニングは大丈夫だが、長くなると経験不足が露呈する可能性がある。

攻撃面では、打力がそれほどでなく、得点能力も高くないので少ないチャンスを確実に活かし、ロースコアーの接戦に持ち込み、主戦の負担を出来るだけ軽くするためには、リリーフ陣の踏ん張りが必要だろう。

宮崎西高は、二、三年生13名の小所帯で冬場を乗り切りチームワークが良い。
昨夏は川口と言う素晴らしい投手がいたが、今年も昨年に負けず劣らず強力な投手力を前面に本番に臨む。
特に、二年生左腕・須本の投球に注目。
菅野球部長評して、「闘争心に満ちあふれた選手。」自慢の速球をビシビシ投げ込み打者に向かっていく攻めの投球は見応えがある。

昨秋の九州大会県予選では、一回戦から3試合連続の完投勝利でチームをベスト8まで導いた。
初戦の西都商戦は延長十一回で17個。3回戦の宮崎工業戦は10個と、三振奪取率がすごい。
球速130㌔半ばの直球、スライダーに、右打者の外角に落とすスクリュー系のボールを持っており、コントロールもよく攻略が難しい投手の一人である。ストレート、変化球ともに切れ味抜群でどちらでも三振が取れる。

神崎は三年生。右の本格派投手で、184㎝の上背から投げ込むストレートには角度があり、球速は140㌔に迫る。
ほかに大きく曲がるカーブを持っていて緩急で勝負する。
また、須本とともにけん制も巧みだ。

ただ、先日の県選手権では、試合開始早々から日南学園の小技にしてやられ、自分の投球が出来なかった。
課題は、走者を背負った時の制球と大きなモーションの是正。

打線は、一、二番の簑輪、鈴木が出て中軸の須本、山添、中原で返すパターンだが、長打力に乏しい半面、上位下位ともコンパクトで振りは鋭い。塁に出ると足でかき回す機動力も兼ね備えている。
トップバッターで好守好打のキャプテン・簑輪が率先垂範、良くチームを引っ張っている。

宮崎北高は、春までの公式戦では勝利がなかったが、県選手権予選で2勝を挙げるなど、本番に向け調子が上がってきた。
打線に切れ目がなく、上位下位どこからでもチャンスが作れる。

また、足の速い選手が揃っていて単独スチール、ヒットエンドラン、セーフティーバントと、機動力野球を得意とし、出塁すると投手をけん制、積極的に次の塁を狙う姿勢が見られる。県選手権代表決定戦は、相手・主戦に抑え込まれたが、中盤から徹底したドラックバンドを仕掛け、投手を揺さぶり打開策を探ろうとする工夫が見受けられた。

一方、中軸を担う吉岡、米田、福嶋にはツボにはまればスタンドまで持っていく力がある。
中で、昨年から三番を打つ吉岡はパワーとともに確実性が増してきた。
米田は恵まれた体格から芯に当たったらどこまでも飛んでいきそうだが、まだ二年生。欠点も見え隠れし克服すべき課題は多い。

投手陣は右の本格派・江川、二年生・廣瀬と三年生・藤山の両左腕の計三人。江川は、直球のスピードはさほどではないが、長身からの大きく曲がるカーブが持ち味である。
廣瀬は、小柄な身体から切れのある変化球とストレートをコーナーに配し打たせて取るピッチングが身上である。

夏は実績から言って江川、廣瀬の継投で臨むことになりそうだ。今年の北高の特色は、まとまりの良さと礼儀正しさ。要(かなめ)にいるのが福嶋主将で、50名の部員を整然とひとつにまとめ統率するキャプテンシップは見事である。

初陣・
宮崎学園は注目の的である。
旧宮崎女子高が今春から男子生徒を受け入れ宮崎学園として生まれ変わった。
当然、皆一年生である。しかし、ほとんどの部員が中学生からリトルやボーイズリーグを経験し硬球には慣れ親しんでいるので戸惑いは感じられない。

初めての公式戦となった5月下旬の県選手権対大宮高校戦を観戦した。
はっきり言って、高校に入学して2ヶ月足らずとは思えないプレーの連続に驚いた。
少なくとも前半戦は、内外野ともにフライ、ゴロおよび送球と、どれをとっても軽快でぎこちなさなど、全く感じられなかった。

投手陣は、先発・安田から野浪、谷口と右腕・本格派のリレー。
特に、安田の伸びのあるストレートと変化球は大宮の強力打線にも十分通用していた。

むしろ感心したのは打撃。上位下位、振りがシャープでセンター方向へきれいに打ち返していた。
三番・平田が左翼場外へ一発。四番・安田も122mのバックスクリーン横のフェンスを直撃する当りを放つと、場内からため息が漏れていた。

後半は、さすがに試合巧者の前に失点を重ねたが、体力、精神両面のスタミナがついてくると、早ければこの夏にも非常に楽しみなチームに成長しそうだ。

続いて県南に移ることにする。日南地区は、例年、新人戦、県選手権ともに地元開催時以外は強豪・日南学園の牙城を切り崩すのが難しく、他の学校が、本大会に駒を進めることが出来ないが、今年は春、秋の九州大会県予選で2校がベスト八まで進出するなど、戦力が充実していて本番にも期待が持てる。

春の九州大会県予選で八強入りした
日南振徳は、昨年の夏を経験した選手のほとんどがレギュラーで残っている。
主戦・玉田は右本格派の好投手。130㌔後半のストレートにスライダーを織り交ぜ打者を打ち取る。
制球力があり調子がよければそう打たれることはない。控えは、ともに二年生の左の松田と右の入江。いずれも直球と変化球のコンビネーションで打たせて取るタイプである。

守備は、春の段階ではイージーフライを落としたり、ゴロをはじいたりと、打球の処理に丁寧さを欠き結果的に失点につながっていて今いちの印象を受けたが、徐々に克服し良くなってきているようだ。

打線の中心は、中原、谷脇、玉田のクリーンアップ。中原の長打力が光っているが、四番の巨漢・谷脇は芯に当れば即スタンドまでのパワーを秘めている。玉田も打撃センスは抜群である。また、盗塁、犠打など足を絡めた攻撃も得意としている。 

昨年秋の九州大会県予選八強の
日南農林が、硬式転向後四度目の夏の大会で初勝利を目指す。
昨夏の大会は、いきなり第三シードの日向学院と対戦。
先発・田代の粘り強いピッチングと堅守で接戦に持ち込んだが、結局、相手左腕を打てず0‐1の惜敗に終わり夏の一勝を今年に持ち越した。
新チーム結成後の九州大会県予選では日向に競り勝ち、妻にはコールド勝ちでベスト八に進出するなど、戦力は、投打とも昨年を上回り組み合わせ次第では上位進出も夢ではない。

主戦は、右投げの田代。公式戦のほとんどを一人で投げ抜いてきた。
伸びのあるストレートに切れるスライダーを低めに集めて打者を打ち取る。本番も先発完投を想定した起用が予想される。打線は、河野貴、田代、山下賢のクリーンアップを中心に上位下位とも思い切りの良いスイングをする。
特に、田代はチャンスに強く打点もチームでトップ。文字通り投打の中心である。

一方、課題の多かった守備は、練習を積み重ねることにより、ショート・河野貴を基点に二遊間、三遊間が締まり、外野も堅実になってきた。あとは精神面を鍛えて万全の状態で夏に臨んでもらいたい。

県西地区では、まず
都城農業
新人戦の本戦に出場した程度で公式戦は目立った戦績を収めていない。
しかも、春の九州大会県予選の対小林西戦で、土壇場の九回、6点リードを追いつかれ延長にもつれ込み、ひっくり返されたり、県選手権予選の都城東戦での逆転負けと、あまり良い思い出はない。

逆に、選手にとってはこれらの苦い経験がクスリとなり奮起し成長を促してきた。
主戦・中村は、180㎝の大型、右の本格派である。冬場の走り込みでストレートの威力が増し変化球も良くなってきた。しかし、コントロールが若干、不十分でこの面に課題を残している。控えは、右投げの茶木。スライダーが武器だが、直球のスピードは中村とそう変わらない130㌔台前半まで出せる。

他に、左で三年生の八木、二年生の岩見がいる。岩見は先日の都城東戦に先発。直球を速く見せるためにスローカーブを多投。低めへの制球も良く相手打線に的を絞らせない頭脳的な投球が光っていた。

他方、攻撃面の特徴は、機動力。先頭打者の前田をはじめ図師、鬼丸、諏訪、栄福など俊足選手が揃い塁に出ると、足を使った緻密な攻めを仕掛けてくる。クリーンアップの一角を占める諏訪は、公式戦打率が四割二分八厘とチーム最高で三拍子揃った好選手である。
課題は内野の守備。先日行われた県選手権予選でも、まだまだ危なっかしいプレーが見られた。
守備が安定している主将・前田を中心に夏の本番までに攻めの守備の精度アップを期待したい。

都城高校は、春の九州大会県予選でベスト四。
県選手権も春の覇者・延岡工業を破り準決勝に進出するなど、久しぶりに上位に顔を出している。
原動力は、主戦・高田昌の力投。初戦こそ鎌田の救援を仰いだが、2回戦から準々決勝まで3連続の完投。横手から威力のある直球、スライダーをコーナーに投げ込み相手打線をことごとく封じ込んだ。

5月にはMRT招待野球で強豪・浦和学院相手に好投。さらに自信をつけたようだ。県選手権対鵬翔戦で強烈な打球が軸足を襲ったが、気力で踏ん張った。多少影響が残るかもしれないが、本番までは時間があり問題なさそう。

一方、左のエース・鎌田は二年生。
上手から繰り出すスライダー、カーブを見せ球に直球との緩急で勝負する。
どちらかと言えば打たせて取るタイプである。

攻撃は、吉満が出てクリーンアップで返すパターン。中軸に座る鎌田、下岡は、パワーとともに確実性の高いバッティングが出来、ほとんど毎試合、長打が飛び出す。高田昌、二年生・津曲にも長打力がある。坂元は下位のポイントゲッターである。ただ、他の打者は春時点では非力で淡白さが目立っていた。

また、二番を打っていた菊池が負傷。夏に間に合うか微妙な状況。クリーンアップ前の貴重なつなぎ役だけにチームにとって大きな痛手である。守備は、チームリーダーの遊撃手・日高をケガで欠いた春の九州大会準決勝の対日南学園戦で若さを露呈。捕球ミス、送球ミス、バッテリーミスなど記録に残った7個以外にも連鎖的にミスが出て試合巧者の日学に付け込まれていた。

しかし、はっきりした課題が見つかり意識を持って取り組んだ結果が、県選手権四強と言う形で早速表れた。本番では、一層のレベルアップが楽しみだ。
ここ数年、県内でトップレベルを維持している
都城工業は、昨夏、強力打線と好投手・有沢を擁し投打のバランスが取れた好チームとして優勝争いに食い込んだ。
しかし、四強戦で豪打の日章学園と激突。互角の打撃戦を展開しながらも8‐9と、わずか1点が重くのしかかり夢の実現はならなかった。
昨年、ベンチ入りの選手まで含め全員が三年生で占められていたため今年は、経験不足、力不足は否めず昨年ほどの攻撃力はない。
その分、守備に磨きをかけ、接戦に持ち込んで粘り強く勝ち抜くチームを目指している。

主将の二塁手・別府が内野を締め、捕手・松田、二遊間、中堅手・岡部のセンターラインがしっかりしていて堅実な守備を誇っている。投手陣は豊富に揃っているが、絶対的なエースはいない。
過去一年間の公式戦をみると、右の本格派・西を中心に右のサイドスロー・久保との継投で乗り切ってきた。
ひと冬越して二年生の薬師、中馬が成長。安定感のある薬師を抑えに持ってくるパターンが確立してきた。

攻撃面は、足の速い別府や柚木を得点圏に送りクリーンアップの前原、松田、宮原で返すオーソドックスなパターン。特に、主砲の松田はチャンスに強く打点トップの頼れる四番打者。公式戦打率も四割を超えている。また、二年生の宮原も俊足で選球眼の良い好打者である。夏の本番では、「めったにない」手がつけられないほどの打線の爆発を期待したい。

都城西高は、新人戦・県西地区予選の強豪・小林西高戦で素晴しい粘りを発揮した。
初戦は延長十五回の3‐3引き分け再試合。2戦目も大接戦の末、延長にもつれ込み十回表に2点を入れて相手を突き放し勝利を収めた。
さらに負けはしたが、2回戦も小林工業相手に延長十二回を戦うなど、新人戦は同校にとって不思議と延長戦に縁のある大会だった。

公式戦の試合数は、この時の引き分けを入れても8と少ないが、上位下位万遍なく振れておりレギュラーの大半が打率三割を超えている。特に投手の長友、二反田はともに長打力があり、打点7とチームでトップを分け合っている。

また、俊足選手が揃っており足を絡めたバント、ヒットエンドラン、盗塁など機動力野球を得意としている。
なかでも川辺の俊足は大きな武器のひとつ。塁に出ると盗塁の確率は、限りなく十割に近く、チームにとって頼もしい存在である。

投手は、変化球主体に打たせて取る左腕・長友と、伸びのあるストレートに切れの良い変化球を織り交ぜ打者を打ち取る二反田が先発しスライダーが得意な津曲が抑えに回る。課題は守備か。強肩で守備範囲の広い三塁手の主将・春田を中心に堅守で投手陣を、盛り立てリズムを掴みたい。

サンマリンスタジアム」宮崎

小林工業
は、打撃優位のチーム。
シャープな振りで、鶴吉、田中、(双子の兄の)永峯和、(双子の弟の)永峯幸、渕上など、どこからでも長打が飛び出す。
少ない試合数ながら俊足好打の渕上は、五割を超える高打率を記録している。

また、足の速い選手が揃っていて、バントやスチール、ヒットエンドランなどの小技も多用し加点していく。
波に乗った時の攻撃には迫力があり、打ち出したら止まらないビッグイニングもしばしばある。

問題は投手を含めた守り。柱になる右投げの廣山は、春以降、スライダーを武器に打たせて取る投球に磨きがかかり安定感が増してきた。
特に、春の九州大会県予選で優勝した延岡工業に対し3‐4と、敗れはしたが、接戦の原動力となった好投が光る。

ほかに中島、二年生の福堂、渡といるがいずれも右投げの変化球を主体として打たせて取る投球。
したがって、先制攻撃も大事だが、内野を中心にしっかり守って相手に点をやらないことが先決である。守備に破綻をきたすようだと、もともと制球に不安があるピッチングスタッフなのでガタガタと崩れる危険性もある。

小林高校は、特に、秀でた選手はいないが、白球に神経を集中、粘り強い全員野球で甲子園を目指す。
過去一年間の公式戦は宮久保、原田の二人エースで戦ってきた。
宮久保は右投げのサイドハンド。テンポよくボールを低めに集め打たせて取るタイプの投手。
原田は右投げの本格派。伸びのあるストレートに切れ味鋭い変化球で打者をねじ伏せる。

これまでの公式戦ではいずれかが先発し、リリーフを仰ぐパターンの試合が多いが、二人とも完投するだけの能力は持っている。
ほかに左投げの技巧派で二年生の広沢が控えている。

守りは、捕手の平郡和が二年生ながら要(かなめ)となり内野を引っ張り、好リードで投手陣を盛り立てている。
失策の多かった内野手も三塁手・谷口、二塁手・谷村を中心に締まってきた。

外野は、全員肩が強く連携プレーもソツなくこなす。打線は、岩道、中嶋の一・二番コンビの出塁率が高く、特に、中嶋は安打の半数以上が長打である。また、徳重、上野、平郡のクリーンアップは、チャンスに強く三人で、チーム打点の半数近くをたたき出している。一方、足を絡めた攻撃も得意でレギュラーのほとんどが走れ、どこからでも機動力を使った攻撃を仕掛けることが出来る。

高原高校は、昨夏の悔しい一回戦コールド負けをバネに新チームが早速結果を出し、新人戦本戦に進出した。
大宮との初戦は、先制するも好機にあと一本が出ず、相手の倍のヒットを放ちながらも最終回に突き放されて、またも悔しい敗戦を喫したが早い段階でここまで戦えたのは大きい自信になったことだろう。

今年のチームは、投・攻・守・走四拍子揃って戦力が充実している。
本番でうまく波に乗ればかなりやれそうな雰囲気を持っている。
そのカギを握るのが、主戦・有田。右投げの本格派。昨夏は故障で投手としての出番はなかったが、今年は万全の状態で臨めそう。

180㎝の上背は変わらないが、ひと冬越して腰に肉が付き均整の取れた投手らしい身体になった。
球速は130㌔台の後半までアップ。切れのあるカーブ、スライダーを交ぜ三振が取れる。調子がよければ相手にとっては攻略が難しい投手のひとりだろう。

控えにも将来性のある二年生・谷山がいる。182㎝の長身から投げ下ろすストレートに威力がある。若干、線が細くスピードは有田の域までには時間がかかりそう。
小坂は三年生の技巧派。大きく曲がるカーブで打たせて取るタイプのピッチャーで、主戦が速球を武器にしているだけにショートリリーフで真価を発揮しそうな左腕投手である。

守りは、一年生から捕手として出ている主将・外勢隼を要(かなめ)として、二遊間の新穂、外勢良、中堅手・眞方のセンターラインは若いが、しっかりしている。
攻撃は、外勢良、小坂の俊足コンビが塁に出て外勢隼、有田、日高の中軸で返す。外勢隼はチャンスに滅法強く、有田は安打が出ると投球に好影響をもたらしチームが勢いづく。おとなしい選手が多いのですべてに積極的な攻めの姿勢を期待したい。

最後に、豊富な投手陣と強力打線を持ち攻守にバランスが取れ過去一年間の公式戦で、常に上位に顔を出してきた都城東高が、県選手権開幕直前に同大会の出場を辞退した。

部員の暴力事件に対して日本高校野球連盟の当面の対外試合禁止処置に従ってのものだ。
目標の「夏」に向け、最後のラストスパートに入ったこの時期に不祥事が発覚するのは、野球を愛するすべての人々にとって非常に残念なこと。

特に一年間、血のにじむ思いで厳しい練習に明け暮れた選手の気持ちは察するに余りある。
自校のグランドで白球を追う後姿が寂しげだ。

最終結果が判明するのは本誌締め切り後で不明だが、多くの真面目に野球と向き合ってきた同校の選手たちが、思い切り、悔いを残さず選手生活を終えられるよう祈らずにはおられない。

7月8日に開幕する全国高校野球選手権宮崎大会には歴史と伝統がぎっしり詰まっている。
先頃、行われた県選手権でアンフェアーと思われるプレーがあった。
不祥事も発覚した。高校野球のシンボルマーク『F』は、「ファイト」、「フェアープレー」、「フレンドシップ」の頭文字を採っている。
また、選手宣誓では、『スポーツマンシップ』が慣用語句として使われる。大会が85回の節目を迎えたのを機にもう一度原点に戻って考えてみたいと思う。真摯に「スポーツマンシップ」に則って、「正々堂々」と、戦っているのかと・・・・・・。

出場する全選手の健闘を祈ります。
母校の名誉と個々人の目標必達のために。


思い出の夏・宮崎の高校野球
(第86回全国高校野球選手権宮崎大会)
 この年は、前年の夏の全国高校野球選手権宮崎大会で日南学園が2年生中心のチームで、明治神宮大会準優勝の延岡学園や前評判の高かった都城商業などの強豪校を尻目に4度目の甲子園出場を果たしました。
しかし、甲子園では若さが萎縮を生み戦力が空回りして富山商業に初戦で敗退しました。
甲子園を経験したレギュラーがほとんど残った日南学園は「夏の悔しさを忘れるな!」を合言葉に、雪辱を誓って猛練習に励み新人戦を制覇。続く秋季九州大会県予選は準優勝で九州大会行きの切符を手にいれました。
佐賀で開かれた九州大会には県予選を制した日向学院とともに宮崎県代表として出場しました。
中萬行博投手を中心とした層の厚い投手陣、好打者杉田将吾選手、俊足好打の西本泰承選手、強打が売り物の田中庸介選手、主将の舛巴義明選手など投攻守バランスの取れたチームに仕上がり、九州大会でも優勝候補の一角に名を連ねていました。
予想通り初戦の鹿児島高校には10-3と圧勝。2回戦は主戦中萬が好投し福岡県の東筑高校に3-0の完封勝ちを収め、準決勝は熊本工業と当り、延長10回裏に1点を献上し0-1と、さよなら負けを喫しましたが、ほぼセンバツ出場を確実にしました。
一方、好投手・佐分祐輔投手を擁した日向学院は、初戦で大分明豊と対戦、2-3と惜しくも競り負け初戦で涙を呑みました。
年が明けて日南学園は、予想通り第76回センバツ高校野球大会に選ばれ雪辱の機会を得ました。
初戦の相手は、山梨の甲府工業です。意気込んで乗り込んだナインでしたが、ここでも打線が空回りし、2-3で屈辱を味わいました。もう残るは夏の全国高校野球選手権しかありません。
この年は宮崎のどの高校も「日南学園に追いつき追い越せ」と、日南学園を目標に練習に精を出していました。
春の九州大会はそんな宮崎県のレベルアップを実感する大会となりました。
県予選を勝ち抜いたのは、創立17年の県立校・佐土原高校でした。県レベルでは初めての優勝です。
冬場の走りこみ走り込みやオリンピック出場の経験を持つ水球監督の効果的指導でナインの基礎体力が飛躍的に向上していました。
センバツ出場により推薦枠で出場の日南学園と県予選を制覇した佐土原高校が、大分県で開催された第114回春季九州地区高校野球大会に出場しました。
日南学園はこれまでの鬱憤(うっぷん)を晴らすべく打線が爆発。
準決勝は前年の秋季大会で延長10回0-1のサヨナラ負けを喫した熊本工業に9-1と、コールドで圧勝する力強さを発揮し決勝戦へ登り詰めました。

宮崎県立佐土原高校正門

一方、初出場の佐土原高校も、あれよあれよと強豪をなぎ倒し同じく決勝にまで進出しました。
宮崎県勢同士の決勝は、3年ぶりのことです。結局、自力に勝る日南学園が6-3で勝ち3度目の九州を制覇しましたが、日南学園にとっては、頭ひとつ抜けていると見られていた宮崎県内の勢力図が佐土原高校の台頭で、「夏」はウカウカ出来ないと危機感が芽生えてきて、夏の先陣争いがより面白くなってきました。
そして迎えた夏。佐土原高校は、九州大会の準優勝がかえって重荷になり、それまでの無欲の、ノビノビ野球が影を潜めてしまって、プレーが萎縮していました。
対する日南学園はなにが何でも昨夏の雪辱と甲子園出場に燃えていました。
この2校を中心に都城高校や小林西高、都城商業などが戦力を整え、虎視眈々と宮崎県制覇を目論んでいました。第86回全国高校野球選手権宮崎大会は、サンマリンスタジアム宮崎を主会場に白熱した戦いが続きました。
そして、決勝は春の九州大会決勝の再現に。
日南学園と佐土原高校が激突する最高のクライマックスを迎えました。
春の九州大会準優勝の呪縛から見事解き放された佐土原高校。
実力通り第一シードの意地を見せたい日南学園の戦いは、1点を争う白熱した投手戦を展開。
1点リードされていた佐土原が五回裏2点を奪い、金丸、黒木の両投手の継投で、豪打日南学園の反撃を許さず、そのまま押し切り、夢にまで見た甲子園の出場を勝ち取りました。
県立高校の甲子園出場は延岡工業以来12年ぶりのことでした。
この快挙に地元佐土原町は、蜂の巣を突いたような大騒ぎ。
翌年には宮崎市と合併。佐土原町の名が消えることもあり、町の喜びようは相当なもの。
また、佐土原高校のナインの礼儀正さを良く知る町民は、町を挙げてこの朗報を歓迎しました。夢の甲子園にも多くの町民が応援に駆けつけ佐土原高校の名が全国にとどろきました。
憧れの夢舞台でも日頃の佐土原野球を展開。初戦は塚原青雲(長野)に3-1と快勝、アルプススタンドの常連も初戦では「さどはら」。しかし、2回戦では「さどわら」としっかり覚えてもらえました。
さらに同校の礼儀正さも甲子園すずめの話題になっていました。
結局、2戦目は東海大甲府(山梨)に2-6で敗退して佐土原高校の「熱くて長い夏」が終わりを告げました
 短い冬の日差しが西に傾く頃、枯草色に染まった堤防の小道を、練習用のユニフォームを身にまとったイガグリ頭が、ひとりまたひとりと、あえぎ、息を切らしながら通り過ぎていく。
髪の生え際あたりが汗で薄っすらと光る懸命なその表情から、「走るのは苦手。でも大事なのは過程。努力すればいつか必ず報われる。」・・・・・
最後の「夏」に結果が出るのを信じ歯を食いしばって頑張るそんな心の内が読み取れる。
球児たちが、一身にスポットライトを浴びるのは、炎天下で試合を繰り広げる「夏」のほんの一瞬。1年の大部分は、汗と泥にまみれ、己の成長とチーム力の向上のために厳しく地味な練習に明け暮れる。
疲れた身体を、分身のごとく励まし勇気づけてくれるのは、汗の染み込んだユニフォーム。「やめるなよ。頑張ろうぜ!」・・・
そして、「夏」本番。

「悔いはありません。」、「充実した3年間だった。」、「一生懸命やったから満足です。」・・・・
「なんで野球?」
球児に問いかけると、返ってくる答えは、「やっぱ(野球は)いいっす。」・・・・・・
春夏秋冬、苦しい練習に耐え、目標に向かって突き進むことが出来るのも好きな野球が存分に出来るから。だから言えるのだろう「3年間、振り返ってみて満足だった」と。
後のない最後の試合に負けた直後は、悔しさで涙が止まらなかった球児も、監督のねぎらいと贈る言葉に耳を傾け、時間の経過とともに苦しかった練習の日々が走馬灯のように頭の中を駆け巡る。そして、気を取り直して発する言葉に、我々見ているものは何がしかの安堵感を覚える。
高校野球が一番似合う季節はやはり夏。燦々(さんさん)と降り注ぐ太陽のもとで日焼けした顔と白球のコントラストが実に良い。
その「最後の夏」、筋書きのないドラマの開幕が近づいて来た。今年は数えて86回目。気の遠くなるような数字ではある。歴史と伝統のぎっしり詰まった「暑くて熱い」戦いを勝ち抜きあこがれの甲子園の土を踏みしめることが出来るのは、宮崎県下53校の中でたったの1校。とてつもなく道は遠く狭き門である。
7月10日午前9時30分、「サンマリンスタジアム宮崎」に53校の選手が並ぶ。参加するすべての学校が横一線で7月24日発売、宮崎始発甲子園行き切符目指してしのぎを削る。この切符に早割りは効かない。
もちろん学生割引もない。インターネット予約なんて有り得ない。「ページ検索で一致する情報はありませんでした。」と、表示されるのがオチ。・・・・間違いない!
ハンディなしのガチンコ勝負。
切符獲得のただひとつの条件は、24日の最終日まで負けないこと。これさえ守ってもらえれば、8月7日午前9時、緊張しながらも、満員の観衆に圧倒されながらもチームメイト18人と一緒に、「夢の甲子園」のライト側入場門からグランドの土を踏み締めることが出来る。
ちょっと厳しい条件だが、戦う相手は同年代の同じ高校生。
それでも、24日頂上決戦の地「サンマリンスタジアム宮崎」に立つことが無理と思うなら、(何合目まで行けるかは判らないが)自分達で決めた目標に向かって全力を出し切ればいい。
さて、本番が指呼に控える今頃になると、県内の大方の勢力図が出来上がってくる。チーム結成当初と比べてみると、大きく伸びたチーム、ほぼ予想通りのチーム、「もっと行けたはずだがなあ」と思ったチームなどなど、練習環境、指導方針、選手ひとり一人の個性が混ざり合ってひとつのチームが完成する。
出場53校が53通りの練習をこなして本番に臨むのだから、差が出るのは当然のこと。しかし、16~18歳の一番の伸び盛りの選手にとって、高校の野球部に在籍するのは、2年と4ケ月余り。「夏」に照準を合わせたとしても、選手の身体的、精神的成長のまだまだ中途の段階。監督、教師はこの限られた短い時間で選手個々を的確に把握、チーム状況を掌握してチームを完成させていく。

しかも勝利を目指し基本と、時に高度なテクニックも伝授しなければならないのだから大変だ。ご苦労が目に浮かぶ。
もちろん勝つことがすべてではない。学校や球場で選手とすれ違うと、ほとんどの場合、元気の良い挨拶が返ってくる。この部分に関しては、野球部は、他のクラブと際立っている。日頃の指導の賜物だろう。
例えば、宮崎北高は野球部を筆頭にサッカー部、ラグビー部などの部員が、一般生徒より早く登校して毎朝、正門で大きな挨拶をするのが伝統になっている。
佐土原高は、“帰宅部”の一般生徒も含めみんな来客者に挨拶するのが自然な姿であるらしい。初めての訪問者はそのマナーの良さに一様に驚くと聞いた。
子どもさんがクラブ活動を続けて何が良かったですか?と、何人かの父母に聞いてみた。
1、逞しくなった。2、言うことを聞くようになった。3、成績が上がった。4、友達がたくさんできた。5、家での会話が増えた。6、健康になった。
逆に、マイナス面は、1、成績が下がった。2、親の負担が増えた。3、試合を観るため会社を休んで上司ににらまれた。なかには、4、ほかの父母と気まずくなった、と言う答えもあった。しかし、概して「やってよかった。」「続けてよかった。」と、満足している様子が窺えた。また、「試合を見ていて親の方がドキドキする。」のも正直なところだろう。・・・

いつものことながら前置きが長くなってしまった。
この辺りで大会に出場する53校の中から活躍が期待される学校、話題校など可能な限り紹介してみたい。
優勝の行方を左右するシード校だが、実力校同士の早い段階からの対戦を少しでも減らすため、今年から8校シード制に換わった。先の県選手権で「夏」までの公式戦すべてを終了。
Aシードというべき従来の上位四校は、第一シード日南学園、第二シード都城高校、第三、四シードは、都城東高と都城商業が公式戦上位進出の獲得ポイントで並び組み合わせ日に、抽選で決まることになった。
 
 まず上位シードからチーム力、特徴、今年の傾向、横顔などチェックしていくことにする。
日南学園は、県選手権初戦で宮崎商業に敗れたが、新人戦、秋の九州大会準決勝進出、センバツ出場などがモノを言って、順当に指定席(第一シード)を確保した。昨年は、二年生中心の若い選手で臨み、宮崎大会を制して4度目の甲子園へ。頭抜けた選手のいない総合力で勝ち取った夢舞台だった。
しかし、甲子園での初戦、対富山商業戦では先制したものの、好機に出ない「あと1本」に泣き、力を出し切れないまま敗退した。
今年のチームの出発点はこの敗戦から。「あの悔しさを忘れるな!」。レギュラーの大半が残った新チームは、富山商戦をバネに巻き返しを誓った。
もともと、投も打も素質のある選手が揃い、甲子園の経験が加味されたチームである。土台は出来ており投攻守走どれを取っても、県内では抜けた存在。忽ち頭角を現して新人戦を制覇した。
続く秋の九州大会もベスト四に進出。センバツ出場も決めた。夏―春のパターンで連続して甲子園に出るのは日南学園がはじめてである。
センバツでは一番からずらりと左打者を並べ、どこからでも火を噴く打線と、レベルの高い豊富な投手陣を揃え高い評価を得ていた同校だったが、甲府工業を相手にした初戦で先制するも後が続かず、打線も焦って空回り。
投打かみ合わず昨年の夏を思い出させるような逆転負け。2度続けて甲子園で辛酸を舐めさせられた。いずれも日頃の実力を出すことなく敗れ去った。

「このままでは終れない」。帰校後、練習に取り組むナインの態度が明らかに変わった。一球入魂を地でいく精神の集中、一球たりともおろそかにしない真摯な練習が遅くまで続いた。
そして迎えた4月、大分での九州大会。
三年生だけで臨んだ同校は、好調な打撃陣と継投策が実って強豪校を次々と撃破し決勝に進出。
はじめて勝ち上がってきた佐土原高との県勢対決を制して3度目の九州一に輝いた。甲子園で2度も悔しさを味わったナインにとって、この優勝は、あくまで本番への一里塚ではあるが、大きな自信になったことだけは間違いないだろう。
さて、個々の戦力を見ると、まず投手陣。数が多くて数え切れない。
ほとんどの試合が継投で、新チーム後の公式戦だけでも8人の投手が投げている。中心は中萬。伸びのある直球は140㌔近くまでスピードアップ。
一級品のスライダーに、タイミングをずらすチェンジアップを交え安定した投球が身上。矢野、谷口は右投げの本格派。矢野は上手から、谷口は、スリークーォーターハンドから球速130㌔半ばの直球に切れのあるスライダーを投げる。
いずれも一試合、3~4イニング程度の出番だ。課題は二人とも制球力。他に双子の左腕荒居彰、右腕荒居達や二年生右腕伊賀など、多士済々の投手陣である。
攻撃面は、チーム打率が県選手権前までの公式戦19試合で三割一分とかなり高い。190本の安打の三分の一が長打で、杉田、舛巴、田中、井上などの中軸や一、二番を打つ西本、加藤さらには昨秋の五番比嘉や185㎝の岩下など破壊力満点の打順を組んでいる。
また、西本、加藤、杉田、結城中心の足を絡めた攻め、田中、舛巴のパワー溢れる打撃は注目である。守りは、新チーム結成当初は、エラー絡みの失点が多かったが、最近はどのポジションも安定してきた。内野は、扇の要(かなめ)、捕手の井上と二塁手加藤が中心。
外野は、センターに一年生の城野を抜擢。左翼杉田、右翼舛巴ともに球際に強く強肩である。
日南学園にとってこの一年間は、いろいろのことがあり過ぎた。すべてを払拭するには、県大会はもちろん甲子園で勝つことが一番。三度目の正直をモノにし、こんどこそ勝ちまくって最後に最高の笑顔が見たい。
第二シードの
都城高校は、昨年のレギュラーが数多く残った。
新人戦、秋の九州大会県予選、先の県選手権本大会と、続けて準決勝まで残り、実力が県内トップクラスであることを証明して見せた。投攻守とも水準以上の力がある。この1年間の公式戦を見ると、1~2点を争う接戦がほとんどで、延長戦も4度経験、しかもそのすべてで勝利を収めている。
打線は、一番児玉、二番高田、三番鎌田、六番下地、昨秋一番を打っていた菊池の5人が左打者で、しかもほとんどの選手に足があり塁に出るとよく走る。
状況によるがノーアウトの場面は、バントよりヒットエンドランを使うことの方が多い。四番津曲も打てないと見るとセフーティバントを試みるなど、機動力を存分に使って相手を揺さぶる攻撃を得意としている。
ただ、県選手権では飛び出したりけん制で刺されたりする場面が何度か見受けられた。足への過信は禁物だろう。中軸を担う鎌田、津曲、綾野、下地には長打力があり、一発で形成逆転というケースもありうる。
特に鎌田、津曲の左右の主砲および綾野のバッティングは注目である。投手陣は、昨年から公式戦を経験している鎌田が、ほとんどの試合を一人でまかなってきた。左のオーバーハンド。
この1年で技巧派から本格派投手へ脱皮してきた感じ。昨年まではスピードが今ひとつだったが、一冬越してたくましく成長。直球の威力、変化球の切れとも一段と出てきた。
また、制球力があり大崩れすることはまず考えられない。前述の延長戦は4度とも完投。精神的にも肉体的にもスタミナ面は十分である。総合的に見て県内有数の左腕投手である。
課題があるとすれば、立ち上がりのコントロール。リズムに乗るまで序盤は慎重にいきたい。また、これまでは鎌田一人でほとんどの試合を投げ切ってきたが、夏の大会は、炎天下の試合が続く。二年生の二見や県選手権予選で投げた坂本など新しい戦力の台頭で主戦の負担を少しでも軽くしたいところだろう。
守備に関しては、捕手の二年生櫻井に若干の経験不足があるものの投手、内野陣とも動きは軽快でよく鍛えられている。特に鎌田のけん制が巧みで一塁手との連携もよく合っていて走者にスタートを切らせない技術を持っている。
ただ、外野に関しては、状況判断、打球の処理にまずさが目に付いたが、春の試合でのこと。日頃の練習できっちり立て直し本番には問題はないだろう。

昨年夏、
都城東高がノーシードながらはじめてベスト四へ進出したのは、主戦東別府の左腕に負うところが大きい。準々決勝までの4試合
に先発し、エース志々目に繋ぐ必勝パターンを確立。四強戦は先発志々目の不調で二回から救援に回り優勝した日南学園に追加点を許さない好投を演じたが、あとわずかのところで悲願達成はならなかった。
その東別府は今年も健在。春の九州大会県予選で昨秋の県チャンピオン日向学院を被安打2、失点1、しかも無四球に封じ込める快投で自信を深めた。
左投げのオーバーハンドで、球威は昨年とそう変わらないが、制球力は格段に進歩しておりコーナーを丁寧に突き、ストライクとボールの出し入れが非常にうまい投手である。準決勝の宮崎商業戦も延長十回を一人で投げ抜きスタミナのあるところを証明した
。ただ、1回戦から準決勝まで一人で投げ抜いたが、この時期としては投げ過ぎという気がする。本番に影響が出なければいいのだが。控えは有馬と蔵屋に森塚、福田と豊富。福田以外いずれも昨年から公式戦を経験している。四人とも右のオーバーハンド投手で、有馬はスライダーの切れが良い。このところ制球が安定、急成長を見せる蔵屋が、県選手権でエースナンバーをつけるまでになった。Maxが130㌔台後半と、チーム一の球速を誇る。
初戦、対佐土原戦で先発。危なげない投球を披露した。同校にとっては明るい材料だ。森塚は185㎝と上背があり角度のある球を放り、福田は小柄だが、直球、変化球とも切れの良い球を投げる。課題は、二人ともコントロール。
打線は昨年とするとやや落ちるものの、チーム打率は三割四厘と良く打っている。このチームの特徴は、俊足選手が揃っていること。一、二番の中原、逆瀬川は、塁に出ると次の塁を積極的に狙い、二盗、三盗も難なく決める。ただ、自信が過信となり足に溺れるケースも春先までは見られた。
四番左打者の伊崎は、今大会の好打者の一人。佐土原戦では、好投手黒木から初回、値千金の本塁打を右越えに放った。極端なオープンスタンスから、左中間、右中間に流すことも引っ張ることも出来る。
しかも、盗塁数はチーム一。頼れる主砲である。下位を打つ東別府も逆らわずセンター方向にミートするのが非常にうまい。左打者が多いのも特徴で打線にアナはなくどこからでも点が取れる。好投手相手に前半苦しんでも後半攻略する底力を持っている。
守りでは、内野は遊撃手の二見、外野は中堅手で主将の中原が要(かなめ)。インサイドワークに優れている捕手の伊崎と合わせ、センターライン中心に守備範囲は広い。
総合的に見て投攻守に走まで含めレベルは高く甲子園を十分狙えるだけの力を備えているということが出来る。
そして、先日行われた県下選手権では、主戦東別府の粘り強い投球などで、同校はじめてとなる県レベルの公式戦優勝を飾った。ただ、大会を通してみると、攻撃面でのミスが目立ち反省の多い試合の連続だった。
初戦の佐土原戦は、3度の送りバントをすべて二封され、3度試みたスクイズも相手ミスに救われて、点は入ったもののサインミスなど今ひとつの出来。鵬翔戦はタイムリーが欠乏。決勝戦も、バントミスや同じくタイムリー欠乏と、春の教訓が活かされていないと感じてしまった。
優勝したことで本番は各校からのマークがより一層厳しくなるだろう。県チャンピオンは学校にとって名誉なことだが、照準はあくまで夏。と考えるなら今大会の4試合は、夢の甲子園を勝ち取るために、この上ない前哨戦になったことと思う。実績豊富な河野監督のこと、その辺には抜かりはないだろう。  
ここのところ夏は、常に上位に顔を出し甲子園が見えるところまで来た
都城商業は、いずれも好投手を擁し、2年前が準決勝、昨年は決勝で涙を呑み、非常に悔しい思いをした。
そして、今年も甲子園を狙える実力を蓄え三度目の正直に挑む。その夢を担うのが、本格派右腕西村直樹である。今でこそ県下ナンバーワンの本格派右腕投手として注目を一心に集めているが、昨年の夏は決勝まで進出しながら投手としての出番はなかった。

それだけ充実した投手陣を形成していた。ことに富尾優作投手は、165㎝と小柄ながら抜群の球威と制球力、スタミナを持ち合わせ大車輪の活躍でチームを決勝戦まで導いた。
西村も当然昨年の雪辱に燃え1年間、鍛錬に励んできたことだろう。下半身がしっかりしてきてやや細見だった身体も、ふた回りほど大きくなり、球の威力も増してきた。184㎝の上背から繰り出されるストレートはMax140㌔台の半ばを記録。常時140㌔前後を出せるまでになっている。外角低目に決まり出すと、攻略は難しそうだ。
変化球は高速スライダーとカーブを投げるも春先の時点で見た限り、カーブのコントロールは今ひとつだった。その試合では、直球中心の組み立てで短調になったところを相手打線に狙い打ちされていた。
スローカーブなどの遅い球も加え、緩急がつけられるようになるとより打ちづらい投手になるに違いない。二番手の襲山は右投げの本格派投手。直球は130㌔超でズシンと重い球を投げる。スライダー、カーブの変化球とのコンビネーションで打者を打ち取る。課題はコントロールか。特に走者を出してからの乱れが目立った。
春の九州大会、対佐土原戦はその典型のようなピッチング。3者四球に1死球。カウントを悪くして苦し紛れに投げた球を痛打されていた。直球に良いものを持っているだけに本番では成長した姿が見られそう。
他に二年生の東祐、山下などが控えるが、中でも遊撃手を兼ねる山下は県選手権準決勝、対都城戦で完封勝利を収めた。切れの良いストレートとコーナーを突くカーブで相手に的を絞らせない素晴らしい投球だった。
主戦西村に次ぐ投手の出現は都商にとってきわめて大きい収穫だろう。
一方、打線は全体に振りが鋭く速球にも力負けしない。トップバッターの二年生山下は、シュアーで長打力を兼ね備えている。もちろん俊足で、レベルが高く層の厚い都商の中にあって一年生から使われており、いかに素質があるかがわかる。
中軸の中西、永山幸、西村のほか時任宏、時任大、重永などどこからでもチャンスが作れる。
特にセンス抜群の中西と永山幸、西村の長打力に期待したい。
守備に関しては、チーム結成当初は、かなり失策を記録していたが練習の成果か、最近では随分上達してきて問題なさそうだ。内野はショート山下、外野はセンター中西が中心で、足と肩は抜群。長打性の当たりをシングルヒットで止めるなど広い守備範囲を誇っている。都商にとって今夏は昨年のリベンジ戦。
県選手権では、二年生の山下がシャットアウト勝ちを記録。西村もまずまず力を出し切り夏に向け明るい材料が揃った。あとは、左の好投手との対戦が続きやや低調だった打線の再整備か。本番では力むことなく平常心で戦い、夢の実現を期待したい。

第一シードの日南学園は、選手層、実力、実績などから見て優勝候補の最右翼であることはだれもが認めるところ。
しかし、今年の大会は、二年生の時からチームの柱として活躍していた好投手が数多くいる。
その多くが順調に成長して本番を迎える。よく“打撃は水モノ”と言われ、投手の出来次第で勝負の行方が大きく左右される試合を過去、何度も見てきた。
それだけに上位シード校、優勝候補であっても油断大敵だ。そんな好投手を持ち、合わせて実績のある学校が、いわばBシードと言われるこの位置に割拠している。少しばかり触れてみることにする。       
まず
日向学院が第五シードに。秋の九州大会の県予選を制覇。本番は明豊(大分)に善戦しながらも2‐3と、接戦を制することが出来なかった。
このチームの特徴はバッテリー。互いに一年時からコンビを組む捕手で主将の川越が、主戦佐分の長所をうまく引き出し相手に付け入るスキを与えない。佐分は、一年時から注目されてきた右の本格派投手。
181㎝の長身から投げ下ろすストレートは140㌔前後を計測。ひと冬越して、フォームがダイナミックになり直球は一段と威力が増したように見える。他に速目のスライダーとドローンとしたカーブを織り交ぜる緩急をつけたピッチングには安定感があり、試合経験の豊富さを活かした打者との駆け引きにも長けている。
今大会数多い好投手のなかでもトップランクに位置づけられるだろう。控えは、センターを守る松ケ野と山牟田。ともに右のオーバースローで松ケ野は、持ち前のコントロールの良さを武器に直球、カーブをコーナーに配し打たせて取る。山牟田は、直球主体のピッチングだが、制球に不安を残す。
打線は、ここぞという時に頼りになる佐分を軸に、前後を松ヶ野と川越が固める。
松ヶ野は小柄だが昨年から三番を打っており、抜群の運動神経があり俊足でリストの効いた長打力は魅力である。しかしながら、打線全体を見ると、そう破壊力がある方ではなく、打てない時は一、二番の寺原、古川や下位打線がバントや足を絡めた機動力野球を展開。局面の打開を図る。守りも捕手の川越が要(かなめ)となりセンターライン中心に穴はない。
県選手権予選は鵬翔と対戦。相手好投手を攻略し切れず1‐2で敗れ、本大会出場を逃した。
また、この試合の六回に打球がダイレクトで佐分の足を襲い、一瞬息を呑む場面があった。新チーム以後の公式戦のほとんどを、佐分一人で投げ抜いており心配させられたが、幸い大事には至らず「夏」は元気な姿を見せてくれるだろう。
日南学園とは同パートに入った。両校勝ち上がっていけば準決勝で当る。ワクワクする対戦になるだろう。期待したい。
続いて
佐土原高が、第六シードに付けた。日南学園とは別のパートだ。同校の今春の活躍は強烈だった。八強入りもはじめての九州大会県予選で頂点を極め、勢いに乗って大分で行われた本戦も、あれよあれよという間に決勝まで進出。結局、同県対決で日南学園に敗れはしたが、準優勝の栄誉に浴した。原動力は、評価の高い金丸、黒木優の両投手の好継投と打線がうまくかみ合ったことか。

ナインは冬場に、筋力トレーニングと、水球部顧問で元オリンピック選手の橋本博教諭指導による早朝サーキットトレーニングを実践。体力的、精神的に大きく成長、自信を深めた。
九州大会準Ⅴまで上り詰めるきっかけとなる試合があったとすれば、県予選3回戦、対都城商業戦だろうか。当然、相手投手の速球対策を練っていた佐土原には意外にも先発は控え投手。
が、制球が定まらず序盤で幸運な5点が入ったところで、たまらず都商は県下一の呼び声高い主戦西村を投入した。エース登場に都商ナインが奮起。直後に佐土原外野陣の乱れなどがあり、瞬く間に同点に追いつき延長戦へ突入。
流れは完全に相手に移ったかと思われた。ところが、ここからが今までの佐土原と違った。闘志を前面に出し速球に食らいつき力負けしない振りで突き放しにかかった。
1度は追いつかれたものの2度目の延長十二回に3点を入れ決着をつけた。諦めない粘り、力強い打撃など、オフに鍛えた精神、体力面の効果が凝縮されているような試合に思えた。
投手陣は、右の本格派黒木優也と左の長身投手金丸将也。
それに短いイニングを三塁手藤元が補う。黒木は昨年からの主戦。身体も昨年以上にがっちりしてきて最高球速は140㌔を超えるまでになった。
スライダー、カーブ、シュートなど変化球も多彩に操る。が、174㎝、76㎏は、身体の切れを考えると、明らかにオーバーウェイト。気になるところだ。金丸は、185㎝の左腕投手。
スピードは130㌔の後半を計測。カーブの切れが良い。走者がいない時は、“ちぎっては投げ、ちぎっては投げ”と非常にテンポが良い。ただ、打者とリズムが合うと、痛打を喫する恐れがある。打線は、一番主将の藤元が引っ張る。俊足で左右に打ち分ける打撃は秀逸。外野を抜ければ三塁打だ。
中軸の横山、児玉、黒木大や下位の田中龍、黒木優もチャンスに強く長打力を持っている。二番の若松、九番の岡林は繋ぐ役割が多くセーフティバントが得意だ。
チーム打率は三割四分四厘と高く、機動力にも長けていてどこからでも点が取れる。守備は、公式戦14試合で失策が15個。比較的少ない。内野は三遊間の藤元、横山中心に安定している。
捕手佐藤はモーションが速く強肩で盗塁阻止率が高い。問題は外野陣。瞬時の判断力、球際の弱さ、連携プレーなど春の課題は積み残されたまま。一朝一夕に改善するのは難しそう。
最後の公式戦となった県選手権初戦、都城東戦は、九州大会準優勝で忘れかけていた課題すべてが露になる象徴的な試合だった。冠(九州大会準優勝)がついたことで選手達に要らぬ気が回り、挑戦する姿勢から『よそ行き』の試合に終始。
初回、主戦黒木優が高目のスライダーを、相手主砲に右翼へ持っていかれナインが動揺。「風のせい」と開き直れば良かったのだが、逆にこれを境に意識し萎縮してしまった。
ミスが絡んだ失点が3。止めは一番打者の2ランで万事休した。打線も振りが鈍く差し込まれての凡打と、淡白な攻撃の連続。良いところなく敗れ去った。しかも、相手の攻撃が完璧であればまだしも、送りバント失敗が3つ、スクイズ失敗が3つ(2点は得点)と拙攻を繰り返してこの差。
佐土原にとっては、上位シード権も逃しショックだけが残る試合だったかもしれない。
しかし、これで九州大会準優勝という呪縛から解き放たれ、課題も再度浮き彫りになったとプラスに考えれば、精神面も含め大きな一戦だったに違いない。
“良薬は口に苦し”・・・すべてのナインは真面目でひたむきな努力家である。「夏本番」での巻き返しを期待したい。
今春、就任した濱田登監督が指揮を執る
宮崎商業は、春の九州大会県予選で投打がかみ合い決勝まで進出した。新人戦、県選手権でも、ともに本大会まで出場し、県選手権では実力校日南学園を打撃戦の末、9‐6で下した試合は大きな自信になっただろう。
夏本番は第七シードに納まった。実力は県内上位にランクされる。戦力的には投攻守走の四拍子がバランス良く揃って穴は少ない。
投手陣は、三島と鋤崎の両輪が軸。三島は早くから注目されていた左の本格派。昨年夏も主戦として活躍した経験と、一冬越して身体もひと回り大きくなり速球の威力が格段に増してきた。
左の好投手が揃った今大会でも一、二を争う存在に違いない。177㎝、71㎏と均整の取れた身体から繰り出すストレートは最速140㌔前後。変化球にも切れがあり、狙って三振が取れる。
特に春の大会の準決勝、対都城東戦は九回までに10個の三振を奪い自信をつけた。また、その試合まで継投ばかりで完投がなかったが、延長戦となったこの試合はむしろ終盤に良い球が来ていて、スタミナ面の不安を一掃した。
一方、鋤崎は右投げの本格派投手。冬場のトレーニングを経て急成長を遂げている。186㎝の長身から投げ下ろす直球は角度と球威があって打ち辛い。
球速は三島を上回り外角低目に決まり出すと、攻略にてこずりそうだ。たまに、投げるスローカーブは曲がりが大きく、打者のタイミングを狂わすのに効果的である。ほかに佐野が控える。
打線は、チーム打率が三割二分三厘と高く、しかも安打の4割が長打と、打順にかかわらずどこからでもチャンスを作ることが出来る。ただ、基本的には塁に出たら送って次打者のタイムリーを待つ戦法と思うが、春の九州大会、対宮崎農業戦のように相手投手次第でヒットエンドラン、セーフティバント、盗塁など足を絡めた機動力野球も展開する。この試合では、渡辺の長打力、盛田の小技が目を引いた。
守備に目を移すと、ライト盛田の強肩と判断良く走者二人を刺したプレーは見事だった。また、内野の要(かなめ)の捕手に、県選手権予選からその盛田が座り全体に引き締まってきた。
『僕らの仲間は大切な事を残して行った。Never Give UP 最後まであきらめない!』            本大会では宮崎商の応援席に、ひときわ鮮やかなスカイブルーのTシャツを着た一団が陣取る。背中に回って見ると、前述の文字が染め抜かれているはずだ。

 病に倒れたあとも、最後まで甲子園に行く夢を追い求め、闘い続けて、ついにかなわぬまま昨年の5月、天国へ旅立った宮商野球部員の岩下哲也君(当時16)。彼が遺した「最後まであきらめない!」と言う文言に、チームメイトが考えた前段を合わせひとつのフレーズが出来上がった。
今の三年生は岩下君と同級。甲子園目指してともに頑張って来た亡き友の言葉は殊のほか重い。彼等にとっても最後の夏に対する思いは特別だろう。岩下君の遺影も試合のたびにベンチに飾られ、甲子園目指してともに戦う。
そして新人戦準優勝の
宮崎農業が第八シードに滑り込んだ。
今年のチームには、昨年夏のレギュラーがほとんど残った。しかしながら、ここにきて投打とも調子が落ち気味だ。県選手権は宮崎工業にコールド負けの屈辱を味わった。
昨秋と比べて戦力的にベストメンバーが組めず苦悩のあとが窺える。元来、振りが鋭く上位下位ムラなく打てるチームなのだが、宮崎工戦では、高めのボール球を振り回すなど荒さやバッテリーミスが目に付いた。
この大会、戦列を離れている主将の綾がトップに戻り、本番までに井川、有野、永田、迫間、河野亮、元日田など強打者がラインアップすると、点が線になり俄然、活気が出てくるだろう。
160cmそこそこながらチャンスに強く、塁に出ると引っ掻き回す中元の存在もチームにとって大きい。
投手は小玉、黒木、河野と粒が揃っている。小玉は昨年からのエース。投げる球のほとんどが変化し打者にとっては相当打ちづらい。が、最近は各学校の研究も進み、簡単にいくと打たれる。より緩急をつけた投球が望まれる。
黒木は、右のスリークォーター。小柄な身体から繰り出すストレートには切れがあり変化球も鋭い。他に右の本格派の河野亮がいる。本番まであとわずか。順調に勝ち上がれば、準々決勝は日南学園戦が予想される。
県選手権予選でのコールドの屈辱を胸に、もらった課題を修正して最後の夏に臨んでもらいたい。
前述したように、この周辺にはシード校と遜色ない力を持つ学校が数多く存在する。試合当日のコンデション次第で勝ち負けが逆転しそうな実力伯仲のチームを幾つかコメントしてみたい。
鵬翔高校は、昨年の県選手権の優勝校。主戦金村が予選2試合を含む5試合すべてに完投。特に準決勝、決勝は連続完封という大車輪の活躍だった。
当然、周囲からは憧れの甲子園を意識する声が相次いだが、連投の代償は殊のほか大きく、夏の本番では1、2回戦完投で勝利したものの3回戦、対日南学園戦は、右ヒジの痛みが限界に達し無念の途中降板。チームも5‐10と敗退し、夢の実現はならなかった。
その金村、秋の九州大会県予選から投手として復帰。冬場のトレーニングを経て身体がひと回り大きくなっている。
186㎝の上背に腰周りが、がっちりし体重は77㎏と昨年より5㎏増えて、投手として理想的な体形に近い。
比例して球の勢いが増し球速も140㌔の前半までアップしてきた。加えてスライダー、カーブ、時折チェンジアップも見せる。スタミナは、去年の例を出すまでもなく誰もが認めるところ。
課題は精神面か。途中でフッと気を抜くケースや打たれたら抑えようと力み逆に連打を浴びることがある。
打線が、去年と比べ今ひとつ弱く、得点能力が低いのでどうしても投手に負担がくる。したがって、今年は昨年以上に集中して丁寧に投げることが要求される。
先日の県選手権初戦、対日向高校戦もそんな試合だった。速い球と外角ギリギリを突くスライダーで、強力打線に打たれながらも耐えていたが、四回、一死一、二塁の場面、走者にほとんど無警戒のところを突かれて三盗を許し、次のボールで一走も二塁へ。

この回は得点こそ許さなかったが、次の五回は先頭打者の九番の投手に、無造作に投げてストレートの四球。続く一番のセーフティぎみの送りバントが安打になりチャンスが広がり結局、後続に適時打が出て3点を奪われ、試合をひっくり返された。
同じようにして連打を食う場面は、県選手権の予選段階でも見受けられた。チームの大黒柱であり一つひとつ勝ち上がって、目標を達成するには金村は欠かせない存在である。一球一球魂を込めて慎重にいきたい。
控えは二年生の平田宗義と三年生の甲斐。平田は181㎝の長身の右投げの本格派。体重は60㎏台と身体作りはこれからだろう。春の九州大会県予選は2試合に先発、ともに完投勝利を収めている。
Max130㌔台半ばのストレートとカーブ、スライダーのコンビネーションで打たせて取る。甲斐は比較的短いイニングを受け持つ右の技巧派。しかし、県選手権準決勝の都城東戦では負けたとは言え、2失点に抑えての完投。自信を得たことだろう。  
守りは、昨年秋までは失策が多かったが、最近は内外野とも鍛えられていてアナは見受けられない。
打線は、中軸の久保田、荒武、山地が得点源。上位を打つ谷口幹、原、高妻の出塁がカギを握る。概してスライダー、カーブの変化球打ちは苦手にしているように見える。
相手投手との力関係にもよるが、競った試合が多いのはチャンスにここ1本が出ないということが影響している。昨年、一年生ながらセンス抜群で一番に抜擢された久保田は現在、クリーンアップの一角を占めてはいるがもうひとつ伸び悩んでいる印象。下位も含め本番では打線の奮起なくしては甲子園まで遠すぎる。
予想を裏切る活躍を期待したい。
日向高校は、今年も夏に照準を合わせチーム力が上昇してきた。攻撃は上位が出て中軸で返すオーソドックスな攻めだが、打順に関係なく果敢な走塁が目立つ。打線は一、二番の出塁率が高い。
スイッチヒッターの尾形はセーフティバントが得意。塁に出ると次の塁を狙おうとする積極的な姿勢がいい。三番岩田、四番大石、五番林田のクリーンアップには破壊力があり、ツボにはまるとオーバーフェンスも十分期待出来る。
中でも岩田の長打力は抜群。ここぞと言う時に打ってくれる頼もしい存在である。先に行われた県選手権、対鵬翔戦は、相手好投手の速球に力負けすることなく14安打を浴びせる猛攻。改めて打撃の底上げを実感した。
投手陣は、ほとんどの試合を二人ないし三人の継投で戦ってきた。一応、谷口裕がエース格か。180㎝を超える右投げスリークォーター。
威力のある直球とスライダーをコーナーに投げ分け打たせて取るのが身上。谷口靖は左の横手投げ。スライダー中心の横の変化で打たせて取るピッチングをする。他に右スリークォーター藤島、右本格派の小林に二年生の寺原など数多くいるが、デーンとした柱の成長が待たれる。
守備に関しては県選手権で遊撃手のもたつきが気になったが、マズマズだろう。投内連携、内野外野の連携もスムーズに思える。特筆すべきはライト(センター)岩田の強肩。定位置位の距離だと、本塁にダイレクト返球の補殺が可能だ。秋は三塁を守っていたが、足も速く打球に対する判断の良さなど、外野守備がより堅くなった。
ここ3~4年の同校野球部OBの活躍は目覚しい。81回大会の青木宣親選手(早稲田大→ヤクルトスワローズ)は東京六大学の一昨年秋季リーグのリーディングヒッターを獲得し、昨年のドラフト4巡目でプロに入団。
82回大会の橋口将投手は、昨年の大学野球選手権で日本文理大(大分)のピッチングスタッフとして日本一に貢献。83回の日野泰彰投手(立教大学)は、今春の東京六大学リーグ戦で早稲田大からノーヒット・ノーランを達成と、いずれも投手出身選手の活躍が目立っている。
そういえば平成元年に、同校が初めての甲子園を経験した時のエース織田淳哉投手も早稲田大学に進み四年間で33勝と同大学リーグ80年の歴史の中で11番目に位置する記録的な勝ち星を挙げ巨人に入団している。
「日向高校出身の投手は活躍する。」と言うジンクスが出来そうだ。後輩の現役選手にとっては励みになるだろう。

宮崎学園に、この5月立派な専用球場が完成した。
生目地区の風の影響をあまり受けない小山に囲まれた静かな所で、選手達は存分に練習に打ち込める環境が整った。
創部2年目ながら注目度は抜群。既に、昨秋の新人戦は一年生だけで、この春九州No2の佐土原などを撃破。
地区予選を勝ち上がり本大会に出場、直後の九州大会予選も、特に打線が爆発しベスト八まで進出した。
戦力は攻守ともバランスが取れている。今春、有望新人が多数入部し、選手の層は一段と厚くなりポジション争いも熾烈化、と同時にレベルアップも著しい。
打線は、公式戦9試合でチーム打率が三割六分五厘。本塁打3本を含む長打が24本と、上位下位とも力強いバッティングをする。主将で好打者の藤本が切り込み隊長として一番に。
小柄な身体にパワーを秘める平田が四番に座り、秋までトップを打っていた黒住が三番に、そして将来の四番候補元山が二年生を押しのけて五番に抜擢された。
さらに投手ながら下位には安田が控えるなど、打線はどこからでもチャンスを作ることが出来、長打力も併せ持つ。元山は、180㎝近い大型捕手。ウリは類(たぐい)まれな強肩とパワフルな打撃力。足の速さにも驚かされた。
近い将来、従来の捕手のイメージを払拭する選手に成長するだろう。投手陣は主戦安田と野浪の右の両本格派を軸に、横手投げの別府、川崎など豊富に揃っている。
安田は、伸びのある直球主体にカーブ、スライダーをコーナーに配し三振の取れるタイプ。ただ、昨秋の一年生大会で自打球を足に受け、冬場のトレーニングがほとんど出来ず万全とは言えない中でソコソコの投球が出来るのだから素質の高さは相当なものだ。
チームとしての課題は経験不足と、好投手をどう攻略するかということだろう。
本番を前に最後の公式戦となった対佐土原戦はその意味で最高の舞台になったことと思う。例えば、スクイズでの判断。厳しいかもしれないが、球審のコールを待っていたら打者走者は刺せない。
1点、1アウトの重みを実感する試合だったと思うが、どうか?・・・さらに、最終回、救援した相手左腕投手からの3者三振は、夏に向け良い薬になったに違いない。
聖心ウルスラ学園は、今年創部3年目を迎えようやく全学年が揃った。
しかし、三年生が5人と少なく二年生中心のチーム編成である。
春の九州大会1回戦、対延岡商業戦に10‐9と乱打戦を制し公式戦初勝利を挙げて勢いに乗り県選手権予選は延岡東を7‐0、延岡西には13‐3といずれもコールド勝ちを収めてはじめての本大会に駒を進めた。
2試合とも打線が爆発、守りでは内田が2つとも先発し好投した。また、そのあと行われた県選手権本大会でも都城相手に負けたとは言え、被安打5、失点2の好投を演じた。
投手陣は横手投げでスライダーと球威のある直球の組み立てをするその内田と右の本格派で三年生の権藤が中心。権藤はここのところ登板の機会がないが、昨秋の九州大会県予選で都城商業と対戦。
相手の好投手西村と互角の投手戦を展開。九回の裏、ミスで1点を献上し敗退したが、強豪相手の好投で得た自信も大きかっただろう。最近は、181㎝の長身川野翔や菊次の両左腕投手が起用されるなど、層が厚くなり競争の激化とともにレベルアップが急速に進んでいる。
一方、打線を見ると活発だ。チーム打率は、三割一分九厘。一、二番東、黒木の出塁率が高く、中軸の加藤、川野、富士本、甲斐景士で返す。
また、下位を打つ甲斐智之は四割九分五厘とチームで最も打率が高く相手投手には気の抜けない強力打線が出来つつある。課題は、選手が若いこと。ガンガン打っての攻めの場面は乗っていけるが受けに回った時果たしてどうか。精神力が試される。また、守備にも一抹の不安を抱える。
夏の大会はどのチームもレベルが飛躍的に向上する。攻撃面のバリエーションも春と比べものにならないぐらい多彩になり、精度も上がってくる。しかし、惑わされず投手中心にしっかり守れば道は開ける。状況は違うが、センバツで優勝した済美高校(愛媛)も創部3年目。よその出来事と思わず同じ高校生。刺激にしたいものだ。

本庄高校には、好投手日岡がいる。左腕から右打者の足元に落ちてくる切れ味鋭いカーブは絶品で一年秋には三振をバッタバッタと取り高い評価を受けていた。
今年は最上級生になり、投球がさらに安定してきた。特に低目の直球、変化球のコントロールに長足の進歩を感じた。先日の対宮崎西高戦では序盤から際どいコースに球を集め、審判泣かせの投球が光っていた。
結局、7回を投げて奪三振が13個。ほとんどが切れの良い低目のカーブで空を切らせてのものだった。
試合後、「相手左腕をどう思う?」の問いに「須本君のほうが上です。」と、性格はいたって控え目。七回の守備で強いゴロの打球を左ひざ下に受け心配したが、直後の打者を三振に取り、八回からは、直球、スライダーの切れの良い右スリークォーターの二年生末吉にスィッチした。
日岡は、翌日の宮商戦にも先発し前日以上の好投でアクシデントを感じさせない投球を披露した。足はひとまず大丈夫のようだ。
県選手権での2試合は、チームにとって大いに参考になったことと思う。初戦西高戦は、捕手の弱肩を見抜き、盛んに仕掛けていたがことごとくけん制でアウト。2戦目の宮商戦はバントが決まっていれば勝てた試合。緩慢な守備を含め、一球あるいはワンアウトの大切さを身を持って体験出来たはず。
本庄は、新チーム結成以後、公式戦でまだ勝っていない。
今年の「夏」は打の中心、強肩強打の捕手森久保も万全で臨める。ショートの杉田も華麗なステップと強肩を披露してくれるはず。県選手権での教訓を活かしまず一勝して弾みをつけたい。   
昨夏のレギュラーの大半が残る
宮崎工業は、面白い存在になりそう。エース川越亮は昨年の大会で都農と大接戦を演じ最小得点差で涙を呑んだ左腕の本格派。
均整の取れた身体から繰り出す威力のある直球主体にスライダー、スローカーブなど緩急をつけ、球を低目に集めて打者を打ち取る。県選手権宮崎農業戦は、制球、球威とも今ひとつの出来ながら要所を締める投球が光った。
以前は、打たれると一人相撲を取ることもあったが、ここにきてマウンド裁きなど成長のあとが窺える。控えは、ともに二年生の木下と中村豪。左腕のオーバーハンド木下は、直球とカーブのコンビネーション。右の中村は緩急をつけて打たせて取るタイプ。ともに完投能力はないので結局のところ川越が頼り。
攻撃力は、足技に特徴がある。宮農戦で三番川島が初回意表を突く本盗を決めると、二死一、三塁の場面、1走度会が途中で前のめりに倒れ、相手野手が慌てたスキに3走が本塁を陥れた。
見ようによっては、一塁走者が二塁は間に合わないと、意識的に転んだようにも思えた。そうだとすると、3走を返すためのかなり高度なランダンプレーにも映る。
経験豊富な西田監督のこと、その位のサインプレーは練習しているかもしれない。いずれにしても、初回からの積極的な足技が相手好投手の動揺を誘ったのは確かだ。
一方、打線は、全体に変化球にもろさが見えるが、四番矢野の腰の据わった打撃は秀でていて鋭い打球を外野に連発していた。
このところの宮崎工業の夏は6年前のベスト四進出が最高で3回戦の壁を突破出来ないでいる。しかし、今年はチャンス。力を出し切れば、夢も夢でなくなるに違いない。。

以上が、シード校に次ぐ今年の大会の流れを左右する学校と言えようか。だが、その他に個々には好投手のいるチーム、打撃が秀でたチーム、過去に実績のある伝統校など、特徴のある、調整次第で旋風を巻き起こす可能性を持っている学校は数多いがスペースの関係、資料不足の関係で、全部は無理として話題性のチームも含めランダムに紹介することにする。

妻高校
は、県選手権予選、対宮崎西の左腕好投手にコンパクトなスイングで食らいついたが力及ばず敗退。
守備のほころびから相手打線を勢いづかせ大量点を献上するなど、投手を含めたディフェンス力の強化が課題として残った。菊池、斉藤、橋口尚、永野と右の同タイプの投手陣の底上げが急務か。
ところで妻高の1、3塁コーチャーがイニングが終わるたびに、自陣の攻撃で荒れた左右のバッターボックスをスパイクで丁寧に均(なら)してベンチに引き上げていた。
ちょっとしたことだが、これこそ相手を思いやるフェアープレーの精神。あまり見かけない光景ですがすがしい気分にさせられた。

宮崎日大は、昨夏の大会後、楠田監督が勇退。代わって河辺寿樹部長が就任。心機一転、巻き返しを図っている。
投手は、昨夏のエース左腕の長野信が昨秋の九州大会予選、対延商戦で切れのある変化球を武器に15の三振を奪った。
しかし、春の遠征の際の故障で、出遅れているが夏には間に合いそう。県選手権予選佐土原戦では右の本格派須田が登板。130㌔台半ばの切れのあるストレートにスライダー、カーブを織り交ぜ春の覇者に真っ向勝負を挑んだが、守りで破綻をきたし、イージーミスがことごとく失点に結びつき大敗を喫した。
ただ、投球内容は、スタミナ、制球、切れともそう悪いものではなく夏までに一段の成長を予感させた。他に有望な一年生が入部しチーム内の競争はより激化するだろう。
攻撃陣は、2年前、鳴り物入りで入部した甲斐が高い技術力と俊足を買われてトップバッターに定着。小柄ながら、ヘッドスピードが抜群で練習試合を含めこれまで20本近い本塁打を記録している左の中川も注目の打者である。
四番に座る當山は体力にモノを言わせ、チームで一番遠くへ飛ばすパワーを持っている。
守りでも捕手として要(かなめ)となり内外野を引き締めている。安定したキャッチングと地を這うような二塁送球は圧巻だ。
宮崎日大は、指導体制が変わって、「走量」が圧倒的に増えている。選手層は他の強豪校にヒケは取らないだろう。とすると課題は、県選手権で噴出したミスをいかに修正するということか。
都農高校は、岩切昭二郎監督が就任して5年。熱血指導ですっかり衣替えした感じである。
3年前の春は八強へ進出。昨夏も旋風を巻き起こし同じく八強へ。地元も盛り上がった。
今チームも新人戦で鵬翔、日向学院の強豪を撃破し、本大会出場を果たした。
原動力は昨年からの投打の中心・田代和貴。直球は、一段と威力を増し130㌔中盤。切れがある。時折投げるスローカーブが効果的だ。もう一人の神田貴博は球威が少し落ちるもカーブ、ストレートが良い。
一方、攻撃面では、先の県選手権宮崎学園戦で、2ランスクイズを敢行するなど次の塁を狙う積極的な機動力野球は今年も健在だ。ただ、足におぼれてけん制死が2度。バントの失敗、送球ミスなど夏に課題を残した。
しかし、基本線はしっかりしているので今年もあの賑やかな父母の会の応援とともに台風の目になることも十分可能だろう。甲子園へのチャンスも、そう遠くない時機に訪れるかもしれない。
宮崎市内の県立普通科四校は、互いに旺盛なライバル意識を持ち、刺激しあって、定期戦を境に戦力が急上昇する。
中で今年の定期戦を制した
大宮高校に勢いが出てきた。
特に打撃面にその傾向が顕著だ。上位下位とも腰の据わったバッティングで球足は速い。
県選手権高鍋戦では、相手の投手が弱かったとは言え、17安打は十分だろう。また、伝統の足を使った攻撃は今年も健在。ディフェンス面で課題は、やはり投手力か。主戦は黒木(健)。右の上手投げ。直球主体にカーブ、タイミングを外すフォークも時折投げる。
同じく高鍋戦。直球、変化球とも、もうひとつで被安打13は反省材料。
骨のある相手だったら厳しい試合になっていたはずである。他に右のスリークォーター横山、右オーバーハンドの図師などがいる。いずれも球威不足で緩急とコーナーワークで打たせて取るタイプである。小山、菊池の両エースと打線がつながり八強入りを果たした昨年の夏。
佐土原に屈辱的な大敗を喫した新人戦。この一年、色々な経験をしたが最後の夏は去年以上を目指し、笑って終わろう。
宮崎西は、左の好投手須本が頼り。130㌔台中盤のストレートと切れ味鋭いスライダーが大きな武器である。
新チーム後の公式戦はすべて一人で試合を賄ってきた。
秋の大会初戦の日南工業戦は7回コールドながら11奪三振を記録。
しかし、前年と比べると奪う三振の数は減少の一途を辿る。春の九州大会県予選初戦、県選手権の2戦とも球威、切れともに本来の出来には程遠く感じた。
三年生の人数が少なく、限られた練習時間で結果を出すのは至難の技だが、投打の柱として夢の甲子園を狙ってもらいたい。

宮崎北高は、逆に部員が多く練習も活気にあふれている。
ここ1年間の結果を見るとまずまずか。新人戦予選は、投打が噛み合い連勝して本大会へ。
初戦の日南学園に善戦したもののゼロ封を喫した。しかし、広瀬、小宮の両主戦の力が十分に通じることが実証されたのは大きな収穫だった。
投手陣は、左腕の広瀬、同じく津田。右の本格派小宮の3人が中心。小宮はスリークォーターから切れの良い直球、シュートにスライダーを配す。特にスライダーの切れは抜群で決まりだすとなかなか打てない。
広瀬は、多彩な変化球と制球力を活かしたコーナーを丁寧に突く投球が身上で最も安定感がある。津田は本来ならばエースになるべき素材だが、制球力がいまひとつで安定性に欠ける。
攻撃陣は個々に素晴しい選手が揃っていて点が線になった時、爆発力を発揮する。昨年から注目の四番米田は、懸命の努力で安定感が飛躍的に増してきた。
もともと飛ばす力には定評があったが、コースに逆らわないバッティング、難しいコースも腰と肘をうまく使ってヒットにするなど長足の進歩を遂げている。
一番を打つ潟山も身体は小さいが、飛距離は米田に劣らない。
四校定期戦では、旧市営球場でプロでも滅多にないライトの防護ネットをはるかに越える一撃を。アイビースタジアムではライト場外まで、いずれも場内がどよめくほどの飛距離十分の打球を放っている。(もっとも、両方とも惜しくもファールだったが・・・)。
ところで、5月の県選手権予選では、宮崎学園に大敗を喫してしまった。同校にとってショックだっただろう。敗因は投手を含めた守りか。「夏」までのわずかな時間、宮学戦の敗戦が良薬になるよう願って止まない。余談だが、北高の山本監督のノックはスイッチヒッター。
左方向は右で、右方向は左でと受ける選手もボールの回転が変わって効果的なのかも知れない。はじめて見るスイッチノックに初物好きの甲子園のファンの顔がダブって見えた。
宮崎南高は、四番中野、一番広沢あたりが打線を引っ張り、乗ると大量点を記録する打高のチーム。しかし、問題は守り。これまで9点も取って負けた試合が2度。県選手権の西都商戦は投手の制球が定まらず、野手はミスを連発。
無駄な送球がエラーを誘い相手に易々と点を献上する場面が目立ち、これまでの典型的な負けパターンの試合を観るようだった。投手、野手陣とも基本の大切さが身に染みたことと思う。
特に投手の制球力のアップは喫緊の課題だろう。ただ、中心となるべき横手投げの平部は、球威、変化球の切れとも十分で、コーナーに決まればそう打たれることはない。バックがしっかり守ってさえすれば、かなりやれるはずだ。
延岡商業の最後の「夏の甲子園」は昭和60年。
エースの花田投手が、切れ味抜群のカミソリシュートを引っ下げ勇躍、甲子園に乗り込んでから19年が経つ。夢舞台でもシュートの威力は十二分に通用。
打撃力がもう少しあれば、上位進出も十分可能と言われたものだ。最近の商業系の学校は女子生徒が三分の二近くを占め、野球部にとっては部員不足が悩みの種。
しかし、現在の延商にとっては無縁の話し。今春も進入部員が14名入り、部員総数は40名強。練習にも活気がある。まず、彼らが始めるのは挨拶の確認。
練習が始まる前、一同に会し、「おはようございます」、「こんにちは」、「さようなら」の3フレーズを大きな声で唱和する。野球の基本と一緒で毎日続けることは簡単なようで難しい。
しかし、継続することで自然と身に付く。立派な心掛けだ。チームは昨秋の九州大会県予選で鵬翔の好投手を攻略し、ベスト八へ進出、自信をつけた。
チームの特色はどちらかと言えば、攻撃型か。上位、下位とも穴がなくしかも俊足で、盗塁、バント、ヒットエンドランなど機動力野球を得意としている。
打線は、一、二番の高山、甲斐を進めて中軸の高司、河野、荒木で返すパターン。特に甲斐、荒木は昨年からよく振れていて長打が多い。
一方、投手の起用法は、(完投能力のある投手がいないので)継投策が基本。今春から塩月先発、友井リリーフの試合が目立つ。友井は右の上手投げ。直球、カーブの緩急のコンビネーションとコーナーワークで打者を打ち取る。
課題はコントロール。塩月も似たようなタイプ。まっすぐと変化球を織り交ぜ打たせて取るタイプ。柳田は左の技巧派。カーブに良いものを持っているが、抑え込むほどの球威はない。昨年夏の大会では、三年生の部員が一人と言うことで、宮崎海洋の主将とともに尾宮主将が選手宣誓を行った。
試合では、初戦都城農業に勝って波に乗り3回戦まで進出した。今年は昨年の夏を経験した選手ばかり。期待は大きい。ナインは、昨年以上の成績を挙げようと、よく声の出る坂本主将のもと、現在、大会に備え最後の調整に余念がない。

西都商業は、主戦斉藤雄太の投球に注目。185cmの長身から威力のある直球が決まり出すと、角度があるだけになかなか打てない。
ただし、問題はコントロール。ボールが高めに浮き、制球が狂ってくると、自滅の道を辿る。八分の力で打たせて取り、チームにリズムが出てくると面白いのだが。
日章学園の今年の成績はもうひとつ。勝つときは大勝し、負ける時は接戦の傾向がある。
原因は軸になる投手がいないと言うことか。昨秋は長身の高田と山口の、ともに右腕投手の継投が多かったが、ここにきて有賀、野上の二年生や一年生の起用が目立ち、整備が遅れている投手陣に対する中村監督の苦悩が推測される。
昨年、一昨年と常に大会の行方を左右する存在だっただけに、やや寂しい気もするが、実績豊富なベテラン監督である。本番で一泡吹かせることを期待したい。
加えて昨年活躍したブラジル出身の小笠原ユキオ投手が、この春に東海大学などが所属するレベルの高い首都大学の日本体育大学に進学。
春のリーグ戦から主戦に抜擢され、5勝2敗の好成績を収め最優秀投手賞、最多勝さらにベストナインを獲得した。後輩には刺激と励みになったことだろう。
高鍋高校宮崎第一もこのところ目立った成績がなく低迷している。
特に高鍋高校の活躍がないのは地元やオールドファンにとっても「夏」の楽しみが半減する。新チームからOBの永友監督が就任。心機一転、巻き返しを図る。
6年前には、藤崎紘範投手(現大阪近鉄)を擁して決勝まで進出し、「あと一つで甲子園だ!」と盛り上がった宮崎第一だが、今春新入生が入るまでは部員が8名と試合も出来ないところまで落ち込んだ。
しかし、一年生が20名入部し、なんとかまともな練習が出来る状態になり部に活気が出てきた。
今夏、経験不足は否めないが、野球が出来る喜びをかみしめ頑張って欲しい。
高鍋農業は、実習のハンディーなど練習時間の短さを工夫や発想の転換で補う。
「ボールと勝負せよ!」、「発想できて三流、実行できて二流、自信を持って一流」「目指すは一流チームで甲子園」を、モットーに『指導者』・清水一成監督は、教師として野球の奥深さ、喜び、怖さを選手に教える。
宮崎海洋は、昨夏の大会で硬式転向後、初の勝利を挙げる歴史的快挙を成し遂げ、スタンドは大いに盛り上がった。
今年は、ここまで厳しい戦いが続いているが、ほとんどが昨年の勝利を経験した選手。もう一度感動を味わうべく練習に精を出している。
今年は、
延岡学園の名前がなかなか挙がって来ない。
1年間の公式戦の戦績を取ってみるとよく判る。新人戦、県選手権の両大会の本戦にともに出られなかったのは5年ぶり。昨年のチームが(春までは)華々しかったのでどうしてもイメージがダブってしまう。
しかし、結果は出ていないが、今年も投打ともソコソコの力は持っているはず。
投手陣は、制球に安定感が増してきた左の深草と二年生右腕貴島隆敏。ともに球威はあるものの、貴島はコントロールがもうひとつのよう。ほかに技巧派の興座が控える。
打線は、ファイトマンの壁下、米良、深草あたりが得点源だが、破壊力はそう感じられない。壁下は足があるので塁に出るとうるさい存在だ。課題はエラーの多さ。内野外野の連携もまだまだ満足のいくものではない。
村上監督は、県選手権で上級生に奮起を促すためか、一年生を多く登録。
チーム内の競争激化によるレベルアップと選手層の充実を目指している。中で二年生の黒木佑樹と浅井大輝の潜在能力は抜群である。きっかけひとつでひと皮むければ大きく変身する可能性を秘めている。期待したい。
今年は県選手権本戦を経ずして夏までの公式戦は終わり。これまでの戦い方を教訓に本番で変わることが出来るか。同監督の腕の見せ所である。

延岡西高は、今年入学した一年生が卒業と同時に学校がなくなる。寂しい限りである。
野球部のこれまでの最高成績は、平成4年の第91回九州大会県予選を制しての本大会出場。
当時は、地元宮崎での開催で期待は高かった。
初戦で準優勝した名門鹿児島実業と対戦。相手を圧倒する17安打の猛攻で試合を優位に進めたが、気力が空回りしたのか、必死の攻めを展開するも決定打が出ず延長十回、8‐4で力尽きた。
今年のチームは、これまでの公式戦を見る限り、投打にバランスが取れている。勝つときは豪快に、負ける時は、割りと接戦が多い。
投手陣は、ここのところ二年生の大林、三年生黒木秀を軸に、二年生の黒木欣、藤原らの継投で試合に臨んでいる。県選手権に大林が登板していないのは気にかかるところではある。
攻撃は黒木晃、野崎に長打力があり打線の核としてチームを引っ張っている。
これから年々チームが細っていくのは忍びないが、ナインにとっては一日一日が思い出。精一杯努力して一花も二花も咲かせてもらいたい。
延岡工業の今年のチームは、特に秀でた選手はおらず投攻守ともに平均的で可もなし不可もなしと言ったところか。昨年秋の新人戦は本大会に、この春の九州大会県予選は準決勝まで進出したが、どうもこの辺りまではいくが、その上のカベが突き破れないでいる。
投手陣になかなか柱が育たないのが、ひとつの原因。右のスリークォーター栁田、右オーバーハンド盛武、左の技巧派の西田の継投がこれまでのパターン。
最近は、百合園、安田圭の二年生が起用されるケースが増えている。
守備も春先見た限りでは、送球や落球などイージーなミスが目に付いた。バッティングは、全体に非力な印象。県選手権での佐土原戦、左右の速球派投手に対し明らかに力負けしていた。
したがって、攻撃は極めてオーソドック。一、二番の松田将、上杉が出て青柳、中島、松田恭で返すパターン。中軸でも確実に二塁に送る手堅い攻めが多い。
また、俊足の選手が揃っており、単独スチール、ヒットエンドラン、バントエンドランなど機動力を織り交ぜ、効率よく得点することを目指している。
今年の大会は好投手が揃っている。打ち崩せないと、甲子園は遠くなる。県選手権後の一ケ月余りでどこまで変わるか。注目したい。
泉ケ丘高校も、試合前のグランド整備をした当番校の選手達にきちっとお礼の挨拶をする。
延岡高校も同様。見ていてすがすがしい気分にさせられる。進学校の関係で練習時間は限られているが、シートノックを見ると、無駄な動きがなくキビキビしていて短時間の練習でもよく鍛えられている様子が伝わってくる。
同校の1年間の公式戦の成績を見ると面白い。1点差試合、延長戦がとにかく多い。
しかも昨年秋の九州大会以降、3大会連続して負けたのは同じ都城高校。しかも2度は延長での1点差負け。接戦が多いということは、それだけチームが勝負を諦めない粘り、勝負強さを身につけている証拠だ。
投手は、主戦西田に二年生森山、竹脇、植村と豊富。西田は右の本格派。カーブと直球のコンビネーションで勝負する。打者を抑え込むほどの球威は感じないが、それでも春の大会で伸びのある球が時々来ていた。完投能力はあるが、試合の流れで森山らの継投もある。
打線は上位下位ともに活発で速球、変化球ともに対応出来る。俊足選手が多く足を使った攻めが得意である。接戦が多いため場合によっては、四番の阿久根にも送りバントのサインが出る。春の大会、対都城戦では、三番宮原のバットコントロールと二番大城の判断の良い走塁が目立っていた。
泉ケ丘は、投攻守走四拍子揃った高校生らしいチーム。元気があり伝統のチーム力を発揮して勢いに乗ったら面白い存在になるかもしれない。
 
 
小林西高は、新チーム結成当初からバッテリーが固定せず苦しい戦いが続いている。したがって、公式戦の戦績も2回戦止まりと、低調に推移している。しかしながら、春以降、榎田が復調、捕手も中村と投手兼任の福永で賄えるようになり、ようやく戦える体制が整ってきたようだ。榎田は、左の本格派。178㎝の長身から投じる直球とカーブ、スライダーに、時折スクリューボールを見せてコンビネーションで打者を打ち取る。ストレートの球威は130㌔強。身体のわりには今ひとつか。控えは二年生の福永と同じく新田。基本は榎田の先発完投。同校はもともと守備には定評があるのだが、今年は、捕手が福永か中村か今ひとつ固定せず、試合の経験も不足ぎみで不安を残している。その他の守りは健在。特に内野は南正覚を中心に良く鍛えられている。
一方、打に関しては、本塁打を打つパワーとチームナンバーワンの信頼を集める榎田と、器用さ、抜群の野球センスの持ち主南正覚、二年生福永の中軸に期待したい。特に春の九州大会県予選、対泉ケ丘戦で放った榎田の一発には度肝を抜かれた。
「終わり良ければすべて良し」
小林西高には、いまひとつの成績だった1年間の鬱憤(うっぷん)を晴らすような本番での大暴れを期待したい。
最近の日南地区は日南学園が傑出しているため、他の学校が新人戦や県選手権の本大会に出場出来るのはほとんどの場合、今年のように(2校出られる)地元での開催に限られる。
今回の県選手権は、
日南振徳商業がその出場権を得た。投打ともバランスが取れたチームで日南学園や日向学院にも善戦している。
この春の九州大会予選では、第一シードの日向学院に八回までリードしていたが、最終回に力尽き逆転負けを喫した。
投手は、右上手投げの黒木と、右のサイドスロー入江の二人。いずれも完投能力があり力の差はそうない。入江は新人戦予選、対福島戦で延長十五回を投げ切り1失点の完投勝利を収めている。
打線はチーム打率が二割八分一厘と良く打つ。三番を打つ外窪は、174㎝、70㎏の身体にチーム一のパワーを秘めている。全体的には凄みは感じないが、冬場の走り込みの効果が顕著で、下半身が強化され腰の据わったバッティングが出来る。また、全員に走力があり波に乗ると大量点が期待出来る。課題は守り。失策の数を減らしたい。
都城農業は、あとわずかのところで新人戦や県選手権の本大会出場を逃している。
しかし、戦力的には、都城高校や都城商業などと比べてそう開きはないだろう。三割三厘のチーム打率が示すように、打撃上位のチームで、どこからでも得点出来る力を持っている。
一番新盛はチーム一のパワーがあり、盗塁数もナンバーワンの切り込み隊長。クリーンアップの石脇、時任、花岡や下位を打つ川越などに長打力がある。
投手陣は三人。岩見、有馬に花岡。左のオーバーハンドの岩見と右の有馬は完投能力がある。どちらもさほど球威はなく、120㌔半ばのストレートと岩見は大きなカーブ、有馬はシュートを武器としている。ストレートが一番速い花岡は主に救援に回る。
冬場にOBや高校野球経験者から、いろいろなアドバイスをもらう機会を得て、選手の野球に取り組む姿勢が前向きになったのはチームにとって大きな収穫。少々のことでは動じなくなった。
守りは試合ごとに多少の失策を記録するものの、一年時からホームを守っている捕手石脇、チーム一元気者のセカンド永田や主将の三塁手時任らが攻めの守りを心掛けて投手陣を盛り立てている。
「あとは自信を持ってプレーするだけ。」(下東義忠部長)
日南工業は、昨年のチームが新人戦の県南予選で勝ったのを最後に公式戦で勝利の喜びに浸ることが出来ないでいる。
かつては昭和44年(延商2‐5日南工業)、48年(高鍋2‐6)と、夏の大会でベスト四まで進出。
九州大会も昭和42年秋と翌年春、連続して出場するなど、甲子園までもう1歩と言う県内で実力校の一角を占めていた輝かしい伝統を誇っている。
今年のチームは、とにかく初戦を突破することを念頭に置いている。そのため県選手権後、川口中心の投手陣から右サイドスローの竹井、四番を打ち三塁手と兼任の藤田、二年生の右の谷口への切り換えを行った。
いずれも完投能力はないので継投が勝敗の分かれ目となる。
課題は、各部門とも山積しているが、攻撃では主将の林、成長著しい藤田。守りでは、俊足強肩で守備範囲の広いセンター古澤などが活躍し、ミスを最小限に押さえれば勝利も見えてくる。
一昨年、四強に進出した
都城工業は昨年は2回戦止まり。
今年は、目標を優勝に置いて巻き返しを図る。ただ、昨年のチーム結成以後、公式戦の結果は今ひとつ出ていなかったが、ここにきてようやく主戦藥師の安定感が増してきたのは心強い。
179㎝の長身から投げ下ろす本格派。Max130㌔前後で、もう少しスピードがあれば言うことなしだが、先発完投を目指す。スタミナに課題があり、炎天下の「夏」は、右の宮島、左の今井との継投が考えられる。
いずれも変化球と直球のコンビネーションで打たせて取るタイプ。長いイニングは難しい。
バッティングは、三割一分七厘のチーム打率が示すように得意分野。上位下位とも切れ目がなく得点能力は高い。一、三、四番の大堀、又吉、福田は長打力があり特に又吉は163㎝と非常に小柄な身体で遠くに飛ばす。チャンスに強くチームの打点王である。
ただ、足の速い選手が少なく機動力を使う野球は得意ではない。
國府部長によると冬場は地下足袋を履いて、直に地面をつかむ感覚を養ってきたとのこと。本番でその成果が出ることを期待したい。

飯野高校は、三年生7名、二年生4名の11名で冬場を乗り切り、今春6名の新入生が入りやっと野球をする体制が整った。中で主将の杉元洋輔は、一年時腰を悪くして練習さえ厳しい体調だが、部員不足で苦しむ仲間をほっとけず、チームに合流するため冬場から激痛に耐えながらも最後まで残って一人黙々とトレーニングに取り組んだ。
その一途な姿がナインの共感を呼び、理想の主将として信頼されている。
また、四元貴子は唯一の女子部員。一年生の冬、野球部の門をたたき昨年の夏は記録員としてベンチ入りした。練習では大声を張り上げみんなと同じメニューをこなし頑張っている。
ナインによると男子に劣らない精神力の持ち主で、餅原監督も、「野球に対する気持ちはチーム1」と話している。目標の「甲子園」はともかく「サンマリンスタジアム宮崎」で、一度彼女のプレーを見てみたいものだ。
1年間の最後を締めくくる「夏の大会」は、ほかの公式戦と違い、華やかで全く別の大会のようだ。マスコミも紙面を割いて大きく取り上げる。
参加する53校の選手、主務(マネージャー)、縁の下の部員には、雰囲気を楽しみベストを尽くして素晴らしい思い出を作ってもらいたい。
全選手の健闘を祈ってこの稿を終わる。(敬称略)     
※文中の写真と文章は直接関係ありません。
                        思い出の夏・宮崎の高校野球
                    (第87回全国高校野球選手権宮崎大会)
 87回全国高校野球宮崎大会は、私にとり思い出深い大会のひとつです。
高城高校が創部2ヶ月で本大会に出場し、参加校は
54校まで増えました。
少子高齢化が進み女子高の共学化もひと段落、一方で延岡西高が事実上の最後の夏を迎えました。
学校の統廃合が本格化してくる今後は本大会への参加校も減少することが確実で、
54と言う参加校数がピークになるのは今後も変わらないでしょう。
この年のキーワードのひとつに、創部3年目というのはありました。
前年のセンバツでは愛媛県の済美高校が創部3年目で全国制覇を果たし、翌年つまりこの年のセンバツでは、同じく創部3年目の鹿児島・神村学園が決勝まで進みました。
 そして、夏の宮崎大会。ここでも創部3年目を迎えた宮崎学園が、第一シードとして、虎視眈々と甲子園行きの切符を狙っていました。2年前入部した力のある選手達が成長して、秋、春、県選手権
(NHK杯)を制覇、公式戦17連勝と破竹の勢いで臨みました。
 ところが、2戦目の都城東戦で初回、
3失点の先制パンチを受け、重圧が重圧を呼び終わってみれば17残塁を記録、夏の独特の雰囲気の中、創部3年目で甲子園という夢ははかなく消えました。シード勢で4強まで勝ち残ったのは、投打のバランスが取れていた都城商業1校と言う波乱の大会。
 結局、甲子園への栄冠を手にしたのは、創部4年目のウルスラ学園でした。主戦の川野翔平投手の粘り強い投球と主砲としての打撃が、接戦を勝ち抜く原動力になりました。

 また、この大会で注目を集めたのは決勝まで上り詰めた宮崎北高でした。大会を通してキビキビした動きにガッツ溢れるプレーの連続は、スタンドのファンを釘付けにしました。
 決勝の対ウルスラ戦の人気はすさまじく、アイビースタジアムがスタンドいっぱいにあふれんばかりの観客で埋まったのは高校野球では見たことがありません。
 特に、地元・宮崎の北高が高校生らしい試合を展開し、甲子園にあとひとつまでこぎつけた頑張りが観客を惹きつけたのでしょう。特に、主戦の小宮尚士投手(北九大)のスライダーは天下一品で、三振の山を築いたのは記憶に新しいところです。
 大会を通して、随所に好ゲームが見られ宮崎日大―日章学園のライバル対決は日章の主戦・2年生の宇野弘宣投手が延長
12回痛恨の暴投デサヨナラ負け。この敗戦を糧に翌年大きく飛躍しました。
 また、前年の甲子園出馬校・佐土原は都城工業との一戦で
9回裏、主戦が痛打を浴びサヨナラ負け。この年は2回戦敗退と、佐土原の夏がアッと言う間に終わってしまいました。

 さらに、この大会忘れてならないのが都城工業の左腕エース大田原隆太投手()が記録した延岡西高相手の無安打無得点試合です。第83回大会で日南学園の寺原隼人投手(現:横浜)が記録して以来4年ぶり4人目の快挙です。1m89㎝の堂々とした体格から投げ下ろす低目へのストレートを武器に三振奪取率の高い投手でした。
 現在、ソフトバンク・ホークスに所属。身長も2㎝、体重も
10kg増えてプロの身体になり、今後の活躍が期待されている若手投手の一人です。

 ところで、全国大会に出場した聖心ウルスラ高ですが、初戦の相手は前年全国制覇を成し遂げ、この大会も高いチーム力を持ち2連覇を狙う駒大苫小牧でした。
 初出場のウルスラにとって力の差は大きく相手主戦から2本のヒットを打つのがやっとで
0ー5と完封負けを喫しました。駒苫はそのまま勝ち続け57年ぶりの夏2連覇を達成しました。
 因みにマークンこと田中将大投手
(現:楽天)は、2年生でウルスラ戦の登板はありませんでしたが、決勝までの5試合中4試合に登板。2年生投手として、甲子園ではじめて150㌔を超える投球を披露2連覇に大きく貢献しています。

第80回記念全国高校野球選手権宮崎大会抽選風景 =JAアズムホール=
 
 いよいよ夏。高校球児の祭典・第87回全国高校野球選手権宮崎大会の開幕が近づいてきました。この欄では、参加各校の戦力や横顔を独自の取材に基づき紹介します。
 尚、シード校以外は、ランダムに掲載しています。ご了承ください。
 第1シード
宮崎学園は、昨秋と今春の九州大会県予選優勝校。さらに先日、行われた県選手権を制覇し「三冠」を達成した。この春、都城高校を春1回夏4回甲子園に導いた川野昭喜氏が監督に就任。注目度は一気に高まった。チームは投打のバランスが取れて優勝に一番近い位置にいる。思えば、一昨年5月の県選手権地区予選で初めてベールを脱いだ試合は衝撃的だった。大宮高校に終盤突き放されたものの、当時捕手の平田の本塁打、安田勇の長打力、安田勇、野浪を中心とする投手力は、このまま順調に育てば2~3年後には全国制覇が視野に入るかもと、思ったものだ。
 確かに打線は昨年入部の元山や急成長を見せている同じ2年生の宮園が中軸に座り厚みを増した。個々の打撃は他校の一歩前を行く。チーム打率も三割二分八厘と高い。上位が打てる俊足好打の藤本、押川、黒住。中軸に元山、宮園、安田勇を配し、平田、野浪、福田と続く。県選手権本大会からは、本塁打20本以上打っている平田が中軸に復帰。全3試合で長打を連発、安田勇も2打席連続本塁打を放つなど、破壊力が一段と加わった。
 守備に関して、内野は遊撃手藤本、三塁手平田、二塁手押川ともに安定しており問題はない。特に、九州大会対樟南戦でのセカンド押川の打球に対する反応は際立ってよかった。また、失策を犯した藤本のあのムキだしの悔しさがあればまだまだ伸びるだろう。要
(かなめ)の捕手元山は腰痛に悩んでいたが、九州大会から本格復帰。インサイドワークに優れ、体勢が崩れても2塁で刺す強肩は魅力である。キャッチングにやや難があるものの、まだ2年生。どこまで伸びるか楽しみな逸材だ。
 外野は中堅黒住を中心にまとまっていてアナはない。次に投手陣。安田勇、野浪を軸にスタートしてから2年。現在、柱は野浪。右の本格派で、130㌔後半の伸びのある直球と切れるスライダーで勝負する好投手。樟南戦では低目を意識した投球が光り、中盤過ぎまでアウトのほとんどを内野ゴロで取っていた。
 控えは左の川崎と右の藤本、別府。川崎はセットからストレート、スライダーを丁寧にコーナーに投げ分ける。緩急を使った投球が特徴で、伸びのある直球を見せ球に落差の大きなカーブ、スライダーで勝負する。九州大会の8強長崎南山戦は負けたとは言え、相手打線を2安打に封じ込め自責点1。県選手権の日南学園戦も2失点、12奪三振と好投。自信を深めたことだろう。
 一方、安田勇は野浪と遜色ない右の本格派。ただ、故障による出遅れが気がかりだ。九州大会県予選決勝は何とか完投したが、県選手権延岡工戦を観た限りではかなり厳しそうに見えた。別府も同決勝戦で先発したが、球威、制球とも及第点とはいかなかった。ショートを兼ねる藤本は右のオーバーハンド。球に切れと勢いがある。特にスライダーが良く三振が取れる。完投までは無理としても安定感があり短いイニングで力を発揮する。

 最後に課題を。今年のチームは粘りが身上と言われるが、問題は粘りに至る過程。県選手権決勝戦は、好投手相手で接戦が予想されたが、初回は一死満塁を三振と捕邪飛で潰し、四回は無死2塁を送れず、七回も送りバント失敗など好機に1点が遠かった。春から観た限りでも投打の噛み合わない試合が目立っていた。九州大会予選準決勝日南学園戦。投手陣が不調で四死球や暴投を連発。内野も連鎖反応を起して送球、捕球にミスを重ねるチグハグな守りにこれが宮崎学園かと目を疑った。しかも、マウンドで苦しんでいる孤独な投手に、声を掛ける選手が誰ひとりいないしベンチも動かない。九州大会の樟南高戦同じような光景があった。終盤に試合がもつれ、投手がバテてきて与四球が、逆転されるきっかけになっても投手に声を掛けるのは、わずかに捕手の元山だけ。マウンド上の不安そうな表情と捕手の(ベンチに対する)不満そうな表情が非常に印象深かった。さらに県選手権の延岡工業戦でも見られた。リードしている時には元気な野手も、守勢に回ると声が出ない。内外野の状況の見極めは接戦になればなるほど重要となる。夏の大会は特別な雰囲気だ。気持ちがひとつにならないと勝てない。期待が大きいだけに老婆心ながらあえて提起したい。
  第2シード都城商業は、九州大会の県予戦秋はベスト四、春は準優勝、県選手権も準Vとチーム力は上昇一途。ただ、故障による出遅れが気がかりだ。九州大会県予選決勝は何とか完投したが、県選手権延岡工戦を観た限りではかなり厳しそうに見えた。別府も同決勝戦で先発したが、球威、制球とも及第点とはいかなかった。ショートを兼ねる藤本は右のオーバーハンド。球に切れと勢いがある。特にスライダーが良く三振が取れる。完投までは無理としても安定感があり短いイニングで力を発揮する。
 最後に課題を。今年のチームは粘りが身上と言われるが、問題は粘りに至る過程。県選手権決勝戦は、好投手相手で接戦が予想されたが、初回は一死満塁を三振と捕邪飛で潰し、四回は無死2塁を送れず、七回も送りバント失敗など好機に1点が遠かった。春から観た限りでも投打の噛み合わない試合が目立っていた。
 九州大会予選準決勝日南学園戦。投手陣が不調で四死球や暴投を連発。内野も連鎖反応を起して送球、捕球にミスを重ねるチグハグな守りにこれが宮崎学園かと目を疑った。しかも、マウンドで苦しんでいる孤独な投手に、声を掛ける選手が誰ひとりいないしベンチも動かない。九州大会の鹿児島樟南高戦でも同じような光景があった。終盤に試合がもつれ、投手がバテてきて与四球が、逆転されるきっかけになっても投手に声を掛けるのは、わずかに捕手の元山だけ。
 マウンド上の不安そうな表情と捕手の(ベンチに対する)不満そうな表情が非常に印象深かった。さらに県選手権の延岡工業戦でも見られた。
 リードしている時には元気な野手も、守勢に回ると声が出ない。内外野の状況の見極めは接戦になればなるほど重要となる。夏の大会は特別な雰囲気だ。気持ちがひとつにならないと勝てない。期待が大きいだけに老婆心ながらあえて提起したい。

 第2シード都城商業は、九州大会の県予戦秋はベスト四、春は準優勝、県選手権も準Vとチーム力は上昇の一途。昨秋までは際立った長打力がなく犠打や盗塁、ヒットエンドランなど足を絡めて走者を進め、1点1点を積み上げていく戦いが多かったが、ひと冬越して打撃力が著しく向上してきた。俊足好打の一番久保田や昨年から耳目を一心に集める山下、長距離砲・柏、一発がある左の強打者里岡、速球を苦にしない西久保が打線の中軸。特に主砲柏の打球の速さは目を見張る。しかも巨漢ながら俊足で盗塁も試みる。
 上位から下位まで足の速い選手が揃い、常に次の塁を狙う積極性が持ち味である。特に春の九州大会県予選8強対日向高戦では、相手の投手のクセを盗み、捕手の弱肩を見破り仕掛けた盗塁9回のうち8回を成功させた。ただ、打線は適時打不足。好機になかなか1本が出ない。
 県選手権の一回戦日章学園戦は、相手投手陣の乱調で終盤に突き放したが、七回までは守勢に終始した。次戦の高千穂戦も好投手の前に苦戦を強いられ、七番郡山など下位打線の活躍で延長に持ち込んでの辛勝だった。決勝も同じことが言える。並の投手に対しては良く打つが、好投手をどう攻略するか。夏までの課題が残った。
 守備に関しては、カラーが「守りからリズムを作る」チームであり割く時間も多いはず。内野は強肩の遊撃手山下を中心に久保田との三遊間、塩屋との二遊間ともに動きが良く堅い守備力を誇っている。投内連携も捕手柏を要(かなめ)に良く鍛えられている。外野陣は俊足選手が揃っていて中堅郡山を中心に特にアナはない。
 投手陣は、ひと冬越して急速にレベルアップしてきた。右の本格派東と左の別府園が両輪。東は春の九州大会県予選で3試合に完投、日向戦はほぼ完璧に抑え、準決勝宮崎日大戦では、立ち上がりを攻められたが五回以降を被安打1の完投勝利。ほとんどのアウトが内野ゴロと、低目への制球が抜群だった。伸びのある直球(日大戦はMax136㌔)にキレのあるスライダー、ブレーキの大きいカーブが決まると簡単には打たれない。スタミナも十分だ。県選手権でも安定感のある投球を見せていた。ただ、春から連投が続き本番は大丈夫だろうか不安を感じる。
 別府園は2年生。左のスリークォーターから速球を見せ球に、スライダー、カーブを内外に投げ分け打たせて取る。制球が安定しており大崩れすることはない。他に2年生右腕日高もいる。
 しかし、都商にとって今年の切り札は、なんと言っても山下。打撃はもちろんのこと、投手としての才能も高く評価されている。昨秋から公式戦での登板は、せいぜい2~3イニングの救援のみ。春の予選は登板がなかった。しかし、九州大会の戸畑商戦でいきなりの先発。立ち上がり球が上ずり制球が乱れたが、三回からセットポジションに切り換えてから球筋が安定し、終わってみればシャットアウト勝ち。被安打3の奪三振8という内容は公式戦としては合格点だろう。最速142㌔と言われるストレートに大きく割れるカーブ、切れ味鋭いスライダーで打者をねじ伏せる。
 昨年の西村直樹投手(現日本体育大)に匹敵する逸材は、続いて行われたMRT招待でセンバツ出場の宇部商業に対し被安打7、自責点1の完投勝利。県選手権でも打線好調の宮崎学園相手に7回を投げて被安打5、失点2、スライダーが切れて奪三振は8と好投。ますます自信を深めたことだろう。
 第3シードは宮崎日大に決定。今年のチームはベンチからも大きな声が出て元気が良い。攻撃は、犠打を絡めて確実に1点を取りに行く。点差やカウントによってはヒットエンドランや単独スチールなど足を絡めた機動力野球を展開する。ただ、爆発的に点を取る破壊力はない。一番當山、三番年澄、四番永野一平、五番中野、六番豊田あたりが打の中心。昨秋は主砲の永野が長打を連発、ひとり打ちまくっていたが、徹底的な走り込みなど、ひと冬越して上位下位とも徐々に底上げされアナはなくなってきた。
 MRT招待野球の対東海大相模戦では2年生の中野が相手の全国級エースに力負けせず3安打、さらに1年生の玉野も2安打するなど若い選手の活躍が目立っていた。公式戦打率も三割二分四厘と高い。ただ、春以降の試合を見た限り、全体的にヒットは良く出るが、畳み掛ける連打や好機に1本が出ず、投手に負担がかかる試合が見受けられる。夏へ向けての課題だろう。

 その投手陣は右の本格派川西と山城の2本柱。後に続く大坪、佐竹は2年生でこれからの投手。山城は左腕の2年生投手。182㎝の長身から投げ下ろす球には角度があり打ちにくい。チェンジアップのような緩いカーブは有効だが、春の大会では投げ過ぎて逆に狙われていた。まだまだ発展途上だろう。
 登板数こそ少ないが3年生の柏村は、183㎝の上背を利して投げる直球はMax137㌔。得意のストレートで押す攻めの投球は夏、非常に楽しみだ。秋口の故障が癒えた右の本格派川西は春以降、急成長を遂げている。九州大会の福岡工大城東戦で素晴らしい投球を披露した。
 直球、カーブ、スライダーの切れが抜群で、しかもコーナーギリギリに制球されて強打の相手打線を六回までゴロで抜ける中前のヒット1本に抑えた。右打者の外いっぱい、左打者の膝元へのストレートは観ていて惚れ惚れする球だった。因みにこの日のMaxは135㌔。球速表示以上に球が伸びていた。
 七回、出塁した走者にセット中にスタートを切られ、動揺した隙を突かれて適時打を浴びたが、後続を2者連続三振に切って取った。続く八回も二死1、2塁のピンチ。ここで「オハコ」のビッグプレーが出た。2走がスルスルとリードを5mに広げると、遊撃手中野がタイミングよくセカンドベースへ。しかし、川西はプレートを外しただけ。ここで走者の心理を読み切りアウトに出来る確信を得た右腕は、打者に1球投げた直後、走者がわずか3mしか離塁していないのに、中野がカバーに入った瞬間クルリと反転して素早くセカンドへ。今まで何度も窮地を救ってきた中野との息の合った自慢のけん制に、走者は完全に虚を突かれ成すすべなくベンチへ引き上げるしかなかった。
 1‐1の緊迫した場面で出たこのプレーがナインを生き返らせ九回1点先行されてもその裏、追いつく粘りを見せ延長十二回のサヨナラに結びつけた。川西の球威は最後まで衰えず、被安打6、奪三振10個。強豪相手にこれ以上ない最高のピッチングだった。
 守備は内野外野とも堅実。守りからリズムを作るチームだけにどの選手も動きが良い。なかでも遊撃手中野はまだ2年生。昨夏からのレギュラーで捕球、送球とも安心して見ていられる。また、二塁手當山と組んでの投内連携は抜群で、相手走者の進塁阻止の大きな力になっている。また、おなじく昨年夏を経験した捕手豊田は冷静なリードでナインからの信頼が厚い。
 昨年夏、決勝で3季連続出場の夢を断たれた日南学園は第4シードとして本番に臨む。前チームほどのスケールを感じさせないが、ひと冬越して基礎体力がアップ。加えてこの春、有望新人が多数入部し全体に1、2年生が多いチームに若返った。攻撃陣は、左打者が打線の半分以上を占め上位から下位まで俊足選手がずらりと並んでいる。
 単独スチール、ダブルスチール、ヒットエンドラン、バスターなど攻めが多彩で相手の隙を突く攻撃が得意である。打線の迫力は昨年と比べると、やや小粒な感は否めない。しかし、クリーンアップを占める2年生トリオの寺崎、城野、戸高や伊賀、戸井などは長打率が高くスタンドまで持っていく力を秘めている。出塁率が高い一番候補の谷口、尾前、155㎝の小柄な身体に野球センスが凝縮されている二番炬口が塁に出て相手投手にプレッシャーをかけ、中軸が返す戦法が最も理想的な攻めだろう。
 一方、1年生は、中本がツボにはまればスタンドまで持っていくパワーで3年生戸井に立ち向かう。西井はMRT招待対宇部商戦では、左腕好投手の前に窮屈な打撃を強いられていた。捕手畑中は中心選手の戸高が大きな壁として立ちはだかる。彼ら1年生にとって層の厚いチームの宿命。誰が抜け出し来るか。これからが楽しみである。

 投手陣は、福良、小松、河野、宮川、平太、伊賀、丸本、阪元、湯野と例年の如く他校が羨むほど、タイプの違った投手が揃う多士済々さである。その中で宮川が春の九州大会県予選の対都城工業戦で好投し、現在のところエース格的存在である。右のスリークォーターから直球、カーブ、スライダー、右打者の懐へのナチュラルシュートなどコンビネーションを駆使して打者を打ち取る。春の時点で最速136㌔の伸びのあるストレートが内外角ギリギリに決まり制球力の良さをアピールしていた。
 福良は左の本格派。制球力をつけるためセットから直球とカーブ主体に打たせて取るタイプ。カーブは落差が大きく打ちづらいがもう少しスピードが欲しいところ。同じく左の小松も打たせて取るタイプ。
 一方、1年時から期待されていた右の本格派伊賀は、デビューこそ華々しかったが、その後の2年間は膝や手の平など度重なる故障の連続で満身創痍の状態だったが、このオフ、手術を施し本人の懸命の努力もあって、なんとか回復。このところ起用されるケースが多くなってきた。投げるたびに球の切れが戻りスタミナもついてきた。まだ完調とは言い難いが、本番には間に合いそうでかなりの戦力となろう。
 反対に入学後1週間も経たないうちに対外試合に登板した湯野は、将来を嘱望される右の本格派。178㎝、82㎏と均整の取れた身体から繰り出す直球には威力があり、現在130㌔の中盤。カーブ、スライダーも良いものを持っている。足腰を鍛えればまだまだ伸びる逸材である。守備は内外野とも動きが良く、捕球、送球、連携に進歩が顕著である。強肩捕手戸高は、投手へのアドバイス、間の取り方が適切でピンチを未然に防ぐ配慮が見て取れる。

 日南学園にどうしても着いて回る課題は精神力。春の九州大会4強対宮崎学園戦は、攻守とも集中力を欠くプレーが目についた。打球に対する雑な処理、淡白な早打ち、状況判断が出来ていれば起こりえない手抜き走塁など、快勝のはずが苦杯を舐める結果に繋がった。県選手権初戦でも同校と当り、雪辱を期したが、不運な安打やミスが重なり、一線級の福良が6失点を許す思わぬ大敗で返り討ちに遭ってしまった。本番まで一ヶ月のこの時期。良薬には違いないが果たして巻き返せるか。小川監督の手腕に期待したい。
 
 小林西高は、昨秋の新人戦の優勝がモノを言って本番には第5シードで臨む。地区予選から投打がかみあう理想的な勝ち方で、新チームとして幸先良いスタートを切った。チームの特色は、投手を中心に守り抜き、良いリズムを攻撃に繋げることか。昨年夏、榎田大樹投手を擁して四強まで進出した時のレギュラー久徳、北村、福永や一発長打の四位、榎田宏樹、将来の四番候補の2年生松波が並ぶ打線は迫力を感じさせる。特に昨夏18打数9安打と、五割の打率を残した一番久徳は、新人戦でも勢いは止まらず、決勝までの全5試合で長打を連発していた。主砲の福永、北村、成長著しい2年生長田なども長打力を秘めている。
 しかしながら、大量得点が続く打線ではないので、塁に出るとバントで送ったり、ヒットエンドラン、スチールなど足を絡めた攻めで得点圏に走者を溜めて中軸の一打で返す攻めが多い。一方、守り抜くのが伝統のチームだけに内野、外野ともに守備は鍛えられていて目立ったアナはなさそうだ。徳永を中心に、二遊間、三遊間とも動きが軽快で送球も正確である。捕手小林はキャッチングにやや課題を残す。外野は、久徳を中心に左翼、右翼いずれも俊足選手が揃っていて守備範囲は広い。

 最後に投手陣。県選手権予選までを見ると、ほとんどの試合は福永の先発完投だ。それだけ監督の信頼の厚さがうかがえる。昨年夏は捕手として経験した福永。練習試合で短いイニングを投げていた右腕も本格的に投げ始めたのは新チームになってから。伸びのある直球にキレ味の鋭いスライダー、カーブを織り交ぜ打者に立ち向かう。スタミナには自信を持つが、課題は制球力か。控えは新田直や2年生の榎田宏樹など。いずれも完投までの力はないだろう。昨年夏、4試合に完投した主戦榎田大樹も、5試合目の準決勝はさすがに疲労の色が隠せず、日南学園に痛打を浴び甲子園の夢を打ち砕かれた。今年、同じ轍(てつ)を踏まないためには、控え陣の踏ん張りが不可欠だろう。
 第6、7シードは同ポイントで都城工業延岡工業が並んだ。
 今年は都城工業から目が離せない。なんと言ってもエースで中軸を打つ大田原が大黒柱。整列すると頭ひとつ抜けている。190㎝近い長身左腕の本格派である。上手から投げ下ろす球には角度があり、しかも低目へのコントロールが素晴らしい。打者にとっては非常に打ちづらい投手だろう。
 いわゆる力投型ではなく腕のしなりを利かせ8分の力で投げる。持ち球は直球主体にカーブ、スライダー。落ちる球もたまに投げる。ストレートの最速は、春の段階で130㌔の中盤ながら手元で伸びており、見た目にはスピード表示よりかなり速く感じる。三振奪取率が高く、防御率も0、60と非常に安定している。
 昨秋までは、完投するまでのスタミナがなかったが、ひと冬越して春の九州大会県予選は、4試合を1人で投げ切るなど成長著しい今大会注目の左腕の1人である。
 控えにはここ最近、成長著しい増満、さらにはMax144㌔の直球とキレ味抜群のスライダーを持つ大型右腕平山がおり、大田原にかかる負担もかなり軽減してきた。今年の同校の必勝パターンは守り抜いて攻撃に繋げる僅差での勝利。記録を見ると、2-1、1-2の試合が6試合もある。内野外野ともに動きがキビキビしており、いかにも鍛えられている印象を受ける。実際、三遊間を中心に打球に対する反応が速く送球も正確である。特に三塁手中村のダッシュの速さ、投手大田原も大柄な割りにはバント処理や送球が素早い。
 また、捕手長友は強肩で盗塁阻止率が高い。都工にとって守備面から破綻することは考えにくい。課題は、やはり打撃力だろう。打線を見ても一番の今井や中軸の長友、新宮、大田原、中別府以外の選手は非力な感じを受ける。チーム打率は二割六分五厘と高くなく得点は多くを望めない。
 夏の大会はまさに炎熱地獄。投手への負担はことの他大きい。接戦が続けばなおさらだ。春以降、打撃がどこまで伸びたか。新任の國府正監督の采配にも注目だ。

 延岡工業は、昨秋の故障を克服、復調してきた主戦百合園の成長が目覚しく期待の持てるチームに仕上がってきた。最速130㌔台後半の伸びのある直球でカウントを整え、落差のあるカーブで仕留める小気味良いピッチングをする。春の九州大会県予選の日南振徳商戦では、六回一死から九回の最後の打者まで11連続の奪三振を記録、非凡なところを見せた。次の日向高校戦も延長10回を1人で投げ抜くなどスタミナは十分である。ただ、高目に浮いたり揃えすぎると痛打を食らう場面も。低目に集める投球を心掛ければ崩すのが難しい好投手の1人だろう。
 控えには、成長著しいセンターの左腕安田や2年生左腕の松本がいる。捕手田村が投手をうまくリードすれば、強豪チームとの対戦でも互角に持ち込めることが出来るだろう。
 攻撃は、俊足強打として大会でも注目を集めそうな左の安田圭佑が核弾頭として相手守備陣を掻き回し、長打力のある四番松田竜、亀井、甲斐裕を軸とするクリーンアップで返すのがひとつのパターン。田村、古小路の下位も粘り強いバッティングをする。課題だった守備もセンター安田を中心に締まってきた。
 初戦をいい形で突破すれば面白い存在になりそうだ。先日行われた県選手権では打撃のレベルアップを如実に実証して見せた。一回戦で宮崎北高と対戦。評判の好投手小宮を攻略しコールド勝ちを収め、続く宮崎学園戦でも打棒がふるい好投手安田から8点を奪うなど、ナインにとり大きな自信になったに違いない。

 第8シードには宮崎北高が滑り込んだ。秋、春の九州大会県予選でいずれも宮崎日大に敗退したものの、県選手権代表決定戦では、きっちりお返しし、本大会への出場権を得た。チーム全体良く声が出てまとまりがあり、投攻守走ともにキビキビした高校生らしい好チームである。
 投手陣は過去1年間の公式戦をほぼ一人で賄ってきた小宮尚士が主戦。右投げのサイドに近いスリークォーターだ。
178㎝の細身の身体から繰り出すストレートには伸びがあり130㌔後半の最速を誇る。また、切れの良いスライダーは一級品。直球、変化球いずれでも三振が取れ、二桁奪三振は数多い。セットからの投球でスライダーのほかにシュートなど横の変化で打者を抑え込む。低目への制球が安定しているので大崩れする心配はまずないだろう。
 また、けん制も速くて巧い。県選手権県予選の本庄高戦は、あと1人でノーヒットノーランの好投を披露。評価はうなぎ上りである。もちろん今大会を代表する投手のひとりだ。
 同校にとって、課題は控え投手。これまで小宮ひとりが投げ抜いてきたため二番手以下の投手の整備が遅れている。3年生の青木は右のオーバーハンド。直球に威力がありスライダーにも良いものを持っているが課題は実戦の経験不足からくる制球力だろう。3年生の安藤、2年生の甲斐も実戦経験が少なく未知数部分が多い。小宮にいくらスタミナがあっても炎天下の試合が続く夏の大会はかなり過酷。控え投手の底上げは不可欠だろう。
 攻撃面は、今年も俊足選手が多く足を使った機動力野球が見られそうだ。場面に応じて一死からバントで送ったり、無死からのヒットエンドランなど攻撃は多彩である。打線は一番、六番の中武、清水の入れ替え以外、昨秋とほとんど変わらないオーダーを組んでいる。
 一番中武の俊足と長打力、二番矢野のシュアなバッティング、中軸・吉野、石田、築地原、日野の長打力、下位を打つ榎田、玉利、小宮の粘り強い打撃など打線に切れ目はない。今春、六番を打っていた清水の速球に力負けしない打撃と九番を争う永田、榎田の巧みなドラッグバントと、際どい内野ゴロは必ず頭から突っ込むガッツは特に印象に残る。
 攻撃に課題があるとすれば得点効率か。ヒットは良く打つが、塁上での憤死、走塁ミスや残塁が目につく。また、主砲石田の確実性が増せば得点能力はより高まる。一方、守りは、鍛えられていて特にアナは見当たらない。中でも強肩でインサイドワークに優れた捕手石田、二遊間の矢野、清水、中堅吉野のセンターラインがしっかりしており守りから破綻することは考えられない。

 宮崎北は昨年の大会で、大本命に推されていた日南学園と初戦で当った。対戦相手が決った日から徹底的に対策を練った結果が功を奏し、投打で相手を圧倒。土俵際まで追い詰め勝利目前までいったが、惜しくも土壇場でうっちゃられた悔しい思い出がある。
 今春の異動で都農高校を強豪校に育て上げた岩切昭二郎監督が部長に就任。山本和雄監督との二人三脚体制が出来上がった。「県立のお隣校」・佐土原高に続けと、関係者の間で期待は徐々に高まってきている。ただ、県選手権の対延岡工業戦で頼りの小宮が打ち込まれ、1
-8のコールドと言う信じられない敗戦を喫してしまった。危惧していた主戦への負担が現実になった瞬間だった。宮崎北にとっては大きな衝撃だろう。本番まで一ヶ月。挽回へ向けた厳しい練習が続く。

 聖心ウルスラは、右の川野、左の菊次と同レベルの力を持つ投手が健在。右、左の違いはあるものの2人とも制球力があり、カーブ、シュートを主体とした横の揺さぶりで打たせて取る投球には安定感がある。
 同校の特徴は強力な打撃。公式戦のチーム打率は二割九分五厘と高く、どこからでもチャンスが作れる。なかでも三番加藤、四番川野、五番富士本のクリーンアップはチャンスに強く破壊力がある。守備もしっかり鍛えられていて失策が少ない。創部4年目の夏。同じく3年目の宮崎学園はⅤ候補。
 ウルスラの存在感を示す意味から石田監督には「今年こそ!」との思いは強いはず。大きなポカさえ出なければ優勝の二文字が付いてきてもおかしくない力のあるチームだ。

 昨年、県立勢としては12年ぶり、学校としては、はじめての甲子園出場を果たした佐土原高。大冨監督を慕ってこの春も新入生が多数入部。部員は昨年より15名多い全部で85名と県一の大所帯に。部員難に悩む学校にとっては、羨ましい限りだろう。
 昨秋は全国大会の関係でチームの切り換えが遅れ、新人戦の地区予選では鵬翔高にコールドで大敗する屈辱を味わうなど、目立った戦績を残していなかったが、オフのトレーニングの成果が徐々に表れ春以降、九州大会県予選8強戦で、優勝した宮崎学園に敗れはしたが互角の試合を展開。その後も練習試合を重ねるたびに力がグングン上がってきた。戦力は攻撃型のチームから投手力の底上げが進み投打のバランスが取れたチームに脱皮してきた。
 その投手陣は、右の後藤友を主戦に左の木村、右上手投げの堀吉がいる。後藤友は、昨年夏の大会からすると、格段にスピードアップした。サイドスローから直球主体にシュート、切れの良いスライダー、スローカーブなど横の変化で打者を打ち取る。低目を突くコントロールがしっかりしていて、しなやかな腕の振りから繰り出す伸びのあるストレートで奪三振も多い。左の木村は身体は大きくないが、ストレート、スライダー、ナチュラルぎみのシュートをコーナーに投げ分け打たせて取るタイプ。スローカーブも交え、そんなに速くない直球を速く見せる工夫が見受けられる。後藤友同様、制球力があり大崩れはないだろう。右の堀吉は上手投げ。直球とブレーキのあるカーブを低目に配し打たせて取る投球が身上。いずれの投手も生命線の制球力があり、野手もリズム良く守れる。
 打線は上位の川野竜、小川から中軸の水谷、古賀、吉野、金丸恵、下位の後藤友、大原、藤原とどこからでも好機を作れる。左打者が多く、俊足選手が揃っていて足を使った攻撃も得意だ。さらに攻めのパターンが豊富で強攻策を用い畳み掛けたり、好投手に対しては犠打を多用して手堅く1点を積み上げたり、大冨監督の意思が選手に良く反映している。打線の中で2年生古賀は昨春、鳴り物入りで入ってきた左の逸材。順調に成長し早くも佐高の主砲の座を手に入れた。小柄ながらリストが強く、鋭いスイングから放たれた打球は、あっという間に外野を切り裂く。ツボにはまればスタンドまで届く。楽しみな選手である。
 守備もアナらしいアナは見当たらない。内野、外野の連携プレーも問題なさそう。実力的に差のない部員が数多く打撃、守備とも毎日が競争状態。油断すると定位置がなくなる熾烈な争いが続き、どんどんレベルを上げている。このまま順調にいけば、今年の大会は抜けたチームがないだけに連覇と言うことも現実味を帯びてきそうだ。

 「今年の高千穂高は投手陣がいいよ」と、太鼓判を押すのは、自らも投手として社会人チームでで活躍したOBの甲斐優コーチ。
 主戦奇藤が今春からメキメキ頭角を現し、対戦相手からも脅威として映る。右のスリークォーターから投ずる130㌔台の直球に切れの良いスライダーが決ると、実力上位校でも攻略にてこずりそうだ。制球も安定しており好投手の部類に入るだろう。先の県選手権準決勝都城商業戦では、相手エースと、一歩も引かない投手戦を展開し、結局延長10回に力尽き惜敗したが、自信になる投球だったに違いない。控えの2年生右腕小笠も速球主体のピッチング。コントロールがあり、時折投げる大きく縦に割れるカーブが効果的だ。
 一方、2人をリードする捕手福嶋がトップを打つ打線は繋ぎを心掛けしぶとく球に食らいつく。走者を溜めて主砲の押方で返したい。守りも堅実でアナがない。春の九州大会県予選は優勝した宮崎学園に延長10回サヨナラの惜敗。5月には、日南学園に胸を借り1勝1分け。さらに全国的な強豪校仙台育英に5-2と快勝、その他県内の強豪校と練習試合を行い、五分以上の戦績を残すなどナインは試合を重ねるたびに自信を深めている。また、県選手権は、投打が噛み合い県北予選を18年ぶりに突破し、悲願の本戦出場を決めた。
 続く本大会の初戦で都城農業を退け、同校始まって以来の公式戦準決勝へ進出。ナインの快進撃に、「剣道の町」が野球の話題一色に包まれ、四強戦では、西階球場一塁側スタンドは、父母の会はもちろんのこと高千穂から駆けつけた応援団で膨れ上がった。
 剣道に倣(なら)い、朝練を中心に進学クラスの生徒は午前5時から、全員が揃うのは午前6時30分から8時まで。放課後は自主練習でカバーすると言う。早朝から周囲の山々にナインの元気の良い掛け声がこだまして、高千穂の町の1日が始まる。町民や学校関係者の「神楽打線を全国区に!」との願いが通じるか。本番は、もうそこまで近づいてきた。
 
この春、県高野連に延岡星雲高とともに加盟した高城高校は、昭和4年創立の宮崎県高城実科高等女学校を前身とする歴史の古い県立の男女共学校である。昭和40年代前後は軟式野球部が活動していたが、自然消滅したらしい。新チームの部員は13名。すべて1年生でほとんどが中学時代野球を経験している。
 現在は、硬式のスピードに慣れることに主眼を置いた練習に明け暮れていて、夏の大会がはじめての公式戦デビューとなる。5月に行われたMRT招待野球では、部員全員がスタンドの前列に陣取り、強豪校の選手の一挙一動を食い入るように観察したり、球場の雰囲気を肌で感じ取っていた。
 引率の
佐々木典彦監督は、「夏の大会では選手たちに、(サンマリンのような)大きなスタジアムで野球が出来る喜びを味わって欲しい。」と話していた。

 日向高校はひと冬越して、打撃上位から投攻守バランスの取れたチームに変貌を遂げようとしている。勝つ時は打ち勝ち、負ける時は打線が沈黙と言った印象が強かったが、春の九州大会県予選の延岡工業戦で寺原が、延長10回を投げ抜き完封勝ちを収め、新人戦の雪辱を果たすなど3試合に完投。投手力の整備が着々と進んでいる。寺原は右のサイドハンドスロー。167㎝と身体はさして大きくないが、伸びのあるストレートを主体にスライダー、シュートなど横の変化で打者を打ち取る。昨秋までは完投するだけの力がなく継投に頼らざるを得なかっただけに、春の大会(準々決勝は負けたとは言え)3試合完投は大きな自信になったことだろう。控えには長身の右の上手投げ戸田や春以降マウンドから遠ざかっている2年生の期待の右腕遠山などがいる。
 5月に行われたMRT招待の宇部商戦では、寺原が六回まで相手打線を完璧に抑え込んでいたが、七回に打ち取った当りが野手の間に落ちて初ヒットになると、特大の一発を含め、あっという間に畳み掛けられて3点を献上。八回も先頭打者を安打で出し、すかさず2、3盗を決められて犠牲フライで追加点を奪われた。いずれも投手に考える余裕を与えない速攻で全国レベルの攻撃をまざまざと見せ付けられた思いがした。当然、寺原も一球の怖さを知り良い教訓になったことだろう。

 打線は中軸の田原、林田、田中を中心に振りが鋭く、一番の黒田を含め左打者も左投手を苦にせず大きな当りを飛ばす力を持っている。チーム打率は三割六厘と高く、打線が好調な時は上位下位ムラなくどこからでもチャンスを作ることが出来る。ただ、歯車が狂うと効率の悪い攻めに終始することがある。MRT招待野球で対戦した宇部商業の左腕投手は全国クラス。スライダーが切れストレートも一級品。日向打線は、直球に振り遅れ、スライダーには腰が引けて中途半端なバッティングに終始していた。最後の最後に左打者の黒田、林田が快打を連発して一矢を報いたが、ナインはこの試合をどう感じ取ったか。まだまだ日本中を見渡せばこの程度の投手はたくさんいる。
 思い起こせば平成元年初めての甲子園行きを決めた先輩達もこの招待野球で強豪の帝京高校にコールド勝ちして自信をつけたと記憶している。ミスを恐れず思い切ったプレーを心掛ければ、道は自ずと拓けて来るだろう。日向高校にとって甲子園はそう遠くにあるとは思えない。

 新チーム結成以後の公式戦で、もうひとつ戦績が芳しくなかった延岡学園が、シーズンオフの昨年12月に新しく浜崎満重監督を迎え、着々と戦力を整えている。同監督は、西日本短大附高(福岡)を率い、平成4年(1992年)、エース森尾和貴投手(元新日鉄八幡)、中村寿博主将(日本文理大学監督)らを擁して夏の甲子園頂点に上り詰めた。また、新庄剛志選手(日本ハムファイターズ)を育て、古くは新日鉄堺監督時代に野茂英雄投手(現タンパベイ・デビルレイズ)をスカウトしたことでも有名である。
 ところでチームは、ほとんどの試合を3年生の佃、松本、2年生左腕日高の継投で乗り切ってきたが、春の九州大会準々決勝宮崎日大戦で、敗れはしたものの主戦佃が延長11回を投げ切る互角の勝負を演じスタミナ面を含め大きな自信を得た。ただ、このところ、春の時点ほどのキレがないのは、いささか気になるところではある。
 佃はの右のスリークォーター。ストレートを軸に切れ味鋭いスライダー、ブレーキのあるカーブを駆使して打者を打ち取る。制球力があり粘り強い投球が身上である。日高は左腕の2年生。変化球中心に打たせて取るタイプ。完投能力がないので、右の貴島隆、松本、2年生大西や187㎝の速球派・中村などとの継投での起用が多い。いずれにしても、軸となる佃が計算出来る投手に育ってきたのが大きく投手陣のやり繰りに余裕が出てきた。課題は、与えられた役割をきっちりこなせるか。精神力がモノを言いそうだ。
 攻撃に関しては、試合ごとにオーダーが変わり完全に固定していない。ただ、攻めは手堅く確実に走者を進め中軸の一打で返す戦法が多い。考えられるのは、俊足好打の浅井、尾崎、米良が上位に入り2年生の山田を真ん中に、不屈の闘志で足首の靭帯断裂の大ケガを克服した主将藤原、潜在能力ピカ一の黒木佑、闘争心がウリの貴島隆、本番に強い2年生小川らでクリーンアップを組む打順だろう。下位も、急成長を見せる小園、中森、内堀としぶとい打者が並ぶ。守りは、春の大会で直接敗因に繋がっただけに、徹底的な底上げが行われている。三遊間、二遊間を中心に動きは軽快で送球も安定してきた。外野陣との連携プレーも平均以上の水準だろう。したがって、守備から破綻を招く心配は随分減ってきたと言える。
 さらにプラス材料がひとつ。5月のはじめに室内運動場が完成。雨天時や夜間を利用して練習量は格段に増えそうだ。当然個々の選手のレベルアップは必至。
 因みに過去県内の学校で夏の甲子園を制覇した監督が指揮を執ったチームは皆無。それだけに各方面からの注目度は日増しに高まっている。

 鵬翔高校は、好投手を押したてて夏制覇に挑む。その投手陣はともに180㎝を軽く超す平田、久保田の大型本格派右腕の2人だ。いずれも伸びのあるストレートに、切れ味鋭いスライダー、カーブの変化球を操り打者を抑え込む。昨年から投手として起用されている平田は、課題の制球難を克服、主戦投手として活躍が期待されている。が、県選手権予選を前にして右肘に故障が発生。同予選は一塁手として試合に臨んだ。夏に向け気がかりな材料ではある。
 替わって1、2年時、外野やショートを守っていた久保田がエースナンバーを背負って登板。1年時から抜群の身体能力を発揮していた右腕は、妻高校に対し散発の2安打、8奪三振、1失点と期待通りの投球を披露した。130㌔中盤ながら伸びのある直球に切れ味鋭い変化球がコーナーに決まり危なげないピッチングは、平田と遜色ない実力を証明して見せた。
 鵬翔の持ち味は、投手を含めた守りの堅さ。内野、外野とも打球に対する反応が速く連携プレーも正確にこなし、良く鍛えられている印象を受ける。守りに比べ打撃はイマイチ。相手投手が平均水準でも3点取るのがやっとの状態。妻戦では、特に変化球に対して目を離すのが早く、ヘッドアップが目に付いた。
 また、チャンスに平凡な内野ゴロ、内野邪飛など淡白な攻撃の連続も今後の課題だろう。その中で三番を打つ久保田の韋駄天ぶりには驚いた。センター前のゴロで躊躇(ちゅうちょ)なく2塁を陥れる判断力と俊足は、相手にとって大きな脅威になるはず。欲を言えば、打撃にもう少し正確さが加われば間違いなく本大会5指に入る素晴らしい選手だろう。
 守りがしっかりしているだけに、あとは攻撃力。高妻謙が出て、久保田、興那、平田の中軸で確実に返したい。また、ここ最近、頭角を現してきた俊足の1年生内田にも注目が集まる。1点差でも勝ちは勝ちだが、投手陣を考えるとチャンス時にいかに得点出来るかが、鵬翔の甲子園へのカギを握っていると言えそうだ。

 角田、沼口のバッテリーがチームを引っ張る妻高校。球に食らい付くバッティングが目を引く。県選手権予選の鵬翔高校戦は、速球投手に対し何とかして塁に出ようとする気概が感じられた。
 主戦角田は、球威がそうない分、直球と変化球を丁寧に内外に配する粘り強い投球が光っていた。被安打3、自責点1は、公式戦未勝利チームとは思えない十分の内容だろう。けん制も巧みで、七回二死1、2塁の場面、2走に意識を向けさせておいて1走を刺したプレーなどは見事だった。

 ところで昨年のこの欄で、妻高は自チームの攻撃終了ごとに1、3塁のコーチャーが荒れたバッターボックスを均(なら)してベンチに引き上げる姿が清々しく、これこそフェアープレー精神と書いたが、今年も1塁コーチャーが毎回実践してベンチに引き上げている。
 昨年は、たまたま目にした光景だったが、今年は宮崎学園、宮崎北高、都城商業、高千穂などが行っているのを目にした。ほんの少しの心配りだが、客席からは物凄く新鮮で気分良く試合観戦が出来る。手間はかからないし捕手にも声掛け出来る素晴らしいアイデアと思う。

 古豪復活を目指す高鍋高校は、昨年のレギュラーの大半が残り投打のバランスが取れている。投手陣は昨秋の試合では中谷、内田の継投策が多かったが、ひと冬越して中谷が大きく成長。主戦として夏に臨む。右の本格派投手。球威は平均的か。ただスライダーなど変化球の切れ味は鋭い。先日行われた県選手権の宮崎商業戦では、直球、スライダーが外角ギリギリにコントロールされ、奪三振が11個、無四球と言う抜群の制球力を披露した。他に右の猪之俣、2年生の左腕芳野が短いイニングを受け持つ。
 攻撃は、ここぞと言う時の足を絡めた攻めが得意。また、コースに逆らわないバッティングが徹底されている。特に一番坂本や大河内、黒木健、福本のクリーンアップは長打力と巧打も併せ持っている。ただ、宮商戦では、サインミスや走塁ミスも顔を出していた。さらに課題を挙げるとすると守りだろう。内野の捕球ミス、外野の軽率なボール処理など、本番までに修正すべき箇所がかなりありそうだ。

 延岡西高は、今年が文字通り最後の夏になりそう。この春、就任した若干24歳の牧野監督が、「いままでの最高成績を」との思いを胸に指揮を執る。
 主戦大林の右腕を信じ昨秋、捕手にコンバートされた木下とのコンビを中心に守りで勝負する。直球、スライダーの組み立てで打たせて取る投球をする大林は、制球力があり大崩れする心配はない。控えには同等の力を持つ2年生佐藤がいる。
 打線は上位にミートのうまい選手が並び、主砲の黒木欣次で返すパターンだが、下位は非力さが目立つ。本番までにどこまで克服できるか注目したい。

 
延岡東高も、延西と同じように2年後には校名が消える。発展的に延岡星雲高となっても、選手たちには延岡東高生としての誇りがある。今年のチームは、球速が増してきた177㎝の横手投げ田所が先発し、状況により2年生児島が引き継ぐ。記録を見るとそう打たれた印象は受けないが、児島は精神面に課題を残す。女房役湯川は強気のリードが持ち味。打線が今ひとつ非力なだけに投手陣の踏ん張りを期待したい。  
 
富島高校は、エースで四番の田村裕太の調子次第で試合展開が大きく変わる。投手としては直球、ストレート、カーブを織り交ぜた投球。変化球に切れがあり奪三振が多い。スタミナは十分にあり捕手橋口の好リードで調子に乗ると終盤まで衰えない。
 攻撃は上位の出塁率が高く四、五番を打つ田村、橋口のタイムリーに期待。課題は守り。センターラインは安心して見られるが、経験不足の1、2年生が多いため失点に結びつくエラーが多い。富島にとっての最大の敵は部員不足。今春1年生が入ったとはいえ、今後も多くは望めない頭の痛い問題だろう。

 延岡商業は、投手を引っ張ってきた大黒柱大平がケガで離脱。しかし、ここへきて苦しい台所事情から下手投げの2年生高見、制球が安定してきた同じく皃玉、3年生橋本の3投手の継投策が確立してきた。植杉を軸に、打撃が好調なだけに、コンバート敢行で不慣れな野手陣が投手を盛り上げたい。
 延岡高校は、この春延岡工業から異動してきた福田寿之監督が就任。「守りの野球でワンチャンスをモノにする」と言う守備力向上をキャッチフレーズに、短い練習時間のハンディーを克服し夏に臨む。投手陣は、吉本、佐藤隆、寺田といずれも完投能力のある投手が揃っており、失点はある程度計算出来る。
 打撃陣も足の速い選手が揃いバント、ヒットエンドラン、重盗など機動力とトップの志水や小野、片桐、真庭を中心に長打力があり投打のバランスが取れている。目標はもちろん甲子園。また、グランド外では生徒会役員の2年生菊池真を中心に、リサイクル、校内美化活動に呼応し、日々の清掃を練習の一環と捉え、みなで精一杯汗を流すなど、抜群のチームワークで2度目の夢舞台出場を目指す。

 実業系の3学科が総合学科としてひとつになり今年、新しく発足した門川高校は、春の九州大会予選で接戦をモノにするなど、ひと冬越してチーム力が上がってきた。原動力は栁田大、高浦の両右腕投手。3年生の栁田大は高校に入ってから野球を始め、持ち前の負けん気を発揮してメキメキ頭角を現してきた。2年生の高浦は遠距離通学のハンディーを自主練習で克服、勝負強さが持ち味だ。
 今年は学校が生まれ変わった記念の年。ナインにとって燃える材料は多い。本番の夏はさらに勝ち星を積み上げ、節目の年に花を添えられたら最高だろう。

 昨年秋の新人戦から県北に組み入れられた都農高校。今春、就任した谷川佳雅監督とともに、新生都農高校として最初の夏を迎える。新チーム結成から公式戦未勝利が続いているが、黒木拓朗、橋口、2年生の黒木和樹の投手陣を2年生からホームを守る水脇が好リードで盛り立て、本番で初戦突破を目指す。
 昨年、三島、鋤崎の左右の好投手を擁し注目を集めた宮崎商業だが、3年生が少なく2年生中心のチーム構成で臨む今夏は、攻守とも苦しい戦いを強いられそうだ。守りは、特に内野のもたつきが目立つ。
 攻撃もイマイチ迫力に欠ける。先日行われた県選手権予選の高鍋戦はその典型。打線が相手投手に11個の三振を奪われ、その内7個は見逃し。選手が経験不足とはいえもう少し積極性が欲しいところだ。濱田監督もその当りを感じ取ったのだろう。試合終了後、自ら率先して選手全員と長い長い正座を組み、精神面を鍛え直していた。
 そんなチームの中で、唯一の好材料は、五回途中からリリーフした2年生右腕増田の小気味良いピッチング。球威のある直球と制球の良さは、将来伸びてきそうな可能性を感じさせてくれた。

 部員不足や実習による練習不足に悩みながら新チーム結成以後の公式戦で記録的大敗を続けていた宮崎海洋。ヒットを打つのもままならなかったチームが、県選手権予選の対宮崎工業戦で見違えるような動きを披露した。「負け癖」がつき覇気が感じられなかった春までの戦いから一変。闘志溢れる小林主将がチームを引っ張り、試合前から圧倒されるような気迫がダイレクトに伝わってきた。
 強豪の宮崎工業に気後れすることなく立ち向かい初回、四番原田の3塁打などで早々に2点を先取、試合の主導権を握った。守備陣は失敗を恐れず果敢な動きで難しい当りに飛びつき、打撃も鋭い当りを連発するなど、一時は勝ちを予感させた。
 結局、中盤以降逆転を許したが、このチームで初めて迎える九回裏の攻撃では2安打を放つ粘りも見せた。今春、1年生が多数入部。少し「大世帯」となった海洋高校。レギュラー陣も2年生中心の若いチームである。この一戦で「やれば出来る」と言う感触を掴んだことだろう。気迫で負けない「海洋魂」を発揮すれば初戦突破はすぐ目の前だ。

 宮崎市内の県立普通科校は、宮崎北高を除いて苦戦を強いられそう。夏の大会を残して、これまでの公式戦で宮崎南、宮崎西の2校はいずれも未勝利に終わっている。大宮高も県選手権予選でようやく初勝利を挙げたばかりだ。
 
宮崎南高は主戦で大型右腕の曽我と、2年生捕手大田のコンビが投打に渡ってチームを引っ張る。このバッテリーの出来が勝敗のカギを握る。曽我は、中学時代から注目を集めていた存在だったが、進学校で練習量が足りないのか伸び悩んでいる印象を受ける。
 
宮崎西高は、この春の異動で兒玉監督が就任、心気一転巻き返しを図る。今年のチームには昨年の須本投手のような大黒柱になる選手が見当たらない。投は2年生の伊東、3年生の増田雄、甲斐が自分たちの投球を心掛け、井出脇、大木場の主軸が奮起すれば初戦突破も見えてくる。
 今年は
大宮高校も、投打ともになかなか厳しそう。打線はイマイチ決定力に欠ける。相手投手が弱いとソコソコ打つ力は持っているが、好投手と当った時どう攻略するか。投手陣は左腕鹿嶋を軸に廣池、畦原や2年生の横山、同じく左腕隈元と揃っているが、1試合任せられる柱が出てこない。試合の組み立ては、接戦に持ち込み2~3人の継投で逃げ切るパターンか。本番では、まず初戦突破を目指す。

 本庄高校は、投手を中心にした守りのチーム。主戦日高は、180㎝近くの長身から投げ下ろす右の本格派。直球主体にカーブ、スライダーをコーナーに配し打者を打ち取る。控えの末吉は、変化球を主に打たせて取るピッチング。2人とも制球力があり大崩れはないが、コースを間違えると痛打を食らうこともある。
 守りは、実戦を想定した反復練習で三遊間、二遊間とも堅い守備力を誇る。外野は連携を含め特にアナはない。打線は俊足好打のトップバッター落合が出塁しクリーンアップの野中、大野貴、日高の一打で返すオーソドックな攻め。下位もボールにしぶとく食らいつく粘りがある。
 ただ、県選手権の宮崎北戦はトップレベル投手の投球を、身を持って実感したはず。昨年までは、左腕の好投手日岡を擁し実力上位に名を連ねていた本庄高校も今年は、公式戦未勝利で本番を迎える。
 ナインは「最後の夏にミラクルを起す!」と、田原監督の熱心な指導のもと連日、猛特訓に明け暮れている。

 一昨年、部員不足で練習もままならなかった宮崎第一は、昨春1年生が多数入部し活気を取り戻した。レギュラーの大半もその新2年生が占める。なかでも捕手の2年生米田大志は注目の1人。181㎝、96㎏の巨漢から放たれる打球の速さ、飛距離は出色。先日の県選手権日向学院戦では、外野に鋭いライナーを連発していた。
 昨年夏、宮崎北高の主砲だった兄圭志選手(現東洋大)は体格も良く似た身近なライバル。ほかに、一番黒木章や三番槻木、五番福崎、六番蛯原の左打者は振りが鋭く打球も速い。
 投手陣は右の本格派福崎が、チーム結成時から、ほぼ1人で投げ抜いてきた。緩急をつけ低目への制球が良い投手で、時折投げる抜いた球が効果的だ。春秋の九州大会県予選はいずれも3回戦止まりだが、チームが若く経験不足のなかでは良く戦っていると言えるのではないか。控えの投手陣、下位打線などが徐々にレベルアップすれば、間違いなく楽しみな存在となるだろう。

 宮崎工業は昨年、左腕の川越投手を擁して3回戦へ進出した。新チーム結成以降は、目立った戦績を上げてはいないものの投打ともにバランスが取れていて波に乗れば上が狙えそう。
 投手陣は豊富に揃っている。エース格の3年生関屋は右のオーバーハンド。直球を主体にカーブ、スライダーを織り交ぜ打たせて取る。左のスリークォーター内布はコーナーワークで勝負する投手で大きなカーブが特徴。武田は右の本格派で球威のある直球主体に打者に立ち向かう。2人は今春入部の1年生。今後の成長が楽しみだ。ほかに2年生の椵内、3年生左腕木下などもショートリリーフとしてマウンドに登る。
 打線は上位横山が出て中軸の三番東中園、四番福田、五番矢野で返す。左の東中園は小柄だが、振りは非常に鋭い。六番に右翼手の川島が入り七番には捕手の押川が座る。県選手権予選では福田の本塁打をはじめ押川、横山が好調で大きな当りを飛ばしていた。

 
日向学院は、3年生の緒方が公式戦のほとんどで先発している。右投げのオーバーハンド。コントロールを重視したセットからの投球である。直球に抑え込むだけの球威はないが、変化球には切れがあり、たまに投げるスローカーブで直球を速く見せている。春以降2年生の南雄輔が成長、九州大会県予選は2試合で先発を経験し自信をつけた。3年生の左腕椎木もおり、主戦緒方の起用にも余裕が出てきそうだ。
 攻撃は、俊足好打の今村秋が出て確実に送って返すパターン。県選手権予選の宮崎第一戦では、チャンスにタイムリーや畳み掛けての集中打が光っていた。ただ、後半は簡単に打って出る淡白な攻撃が目立ち、ペースに乗れないもどかしさを感じた。一番今村秋や浜田、井上、鶴井の中軸はツボにはまればスタンドまで持っていくパワーがある。今村洋介は長打率が高く、下位を打つ原田、穂丸の左打者もミートが巧い。

 昨年は本格派の佐分投手を擁し前評判が高かった日向学院。今年は投打のバランスがまずまずでマークの度合いも昨年ほどはない。大会が混戦模様になればなるほど、クローズアップされてくるのが精神的に強いチーム。期待されながら初戦で敗退した昨年の雪辱を果たすとともに上位戦での活躍を期待したい。
 日章学園は、主戦宇野がしっかりマウンドを守り、打撃も水準以上のバランスの取れたチーム力を誇っている。
宇野は、サイドハンドから直球、スライダー、シュートを操り、横の変化で打たせて取るタイプ。スーッと流れるスライダーは良く切れ、低目への制球力に長けているので安定感がある。
 控えは昨年、直球のMAXが140㌔台(中村好治監督)と言われた右の本格派安藤。今年まだ見ていないが、成長が楽しみである。もう1人、左腕の中田は直球と得意のカーブを織り交ぜ緩急をつけて打たせて取るタイプ。いずれもまだ2年生の投手陣である。
 投手が良いだけに守りは内野、外野ともに打球に対しての判断力に優れ、良く鍛えられている印象を持つ。特に遊撃手夏伐の動きは抜群。一歩目が速く、巧みなグラブさばきで難しいゴロを処理、送球も正確で速い。三塁手猪野、二塁手芝本とのコンビも息が合い安定感のある守備力を誇っている。
 外野は、中堅清水(中田)、左翼中馬、右翼安藤と強肩が揃い、また落下点に入るのが速い。打線は、県選手権の予選を見た限りでは、振りが鈍く調子は下降ぎみだ。チャンスにタイムリーが出ず、3試合で挙げた得点が計12点は、強打のイメージがあるだけに少な過ぎる気がする。ただ、中村監督もその辺りは重々承知のはず。夏を見据えた場合、時期的にはこれでいいのかもしれない。本来の姿は、一番芝本が出て中田(中馬)との間で掻き回し、井野、安藤、宇野、川越などの破壊力のある中軸で返すパターンだろう。
 日章学園のこの1年間の戦績を見ると、8強進出が大きな壁として立ちはだかっていた。ただ、県選手権でその壁を越えはしたのだが、本戦一回戦で強豪の都城商業を終盤まで追い詰めながら、八回に投手陣が突然崩れ四死球連発や痛打を浴び、大量11点を献上する大乱調で、結局コールド負けの屈辱を味わった。ナインには大きな教訓となったはず。真価が問われる夏になりそうだ。

 昨年のレギュラーが大半残る都城西高は、昨秋の九州大会でベスト8まで進出。春も3回戦で負けたとは言え、強豪の延岡学園と大接戦を演じた。公式戦打率が三割三分一厘と、打線が良いだけに楽しみなチームである。
 新地主将のリーダーシップで上位下位とも、最後まで諦めない粘り強い試合を展開する。三番もこなす一番笛は、四割五厘と打率トップの万能選手。思い切りの良い強肩俊足のスィツチヒッターだ。さらに投の柱でもある。二番永岡は三拍子揃った好選手。盗塁8はずば抜けて多い。中軸を打つ高橋、内田、大久保、山本は長打率が高い。中でも主砲の内田はチーム1のパワーヒッターだ。下位に回る新地や森山も球に食らいつくしぶといバッティングをする。
 ただ、良く打つ割りには得点が入らない効率の悪い攻めも時々顔を出す。典型が秋の九州大会対飯野戦。17安打と打ちまくったが、得点はわずか6点。残塁は14を数えた。しかし、春以降の試合では攻めに工夫が見られ得点能力は、秋の時点とは雲泥の差。チーム力は急上昇中である。
 投手陣は完投能力のある投手がいないため、これまでの試合は継投策で乗り切ってきた。内田、笛、永岡はともに右投げで直球、変化球との緩急をつけたコンビネーションが持ち味の投手。調子が良い時には素晴らしい投球をする。別府は左の長身投手。制球力がありコーナーに球を集めて打たせて取る投球が身上である。主にリリーフを担当する。
 過去1年の公式戦を見るとすべての大会で安定した成績を残している。少ない練習時間を有効に使い精神力と集中力を養ってきた都城西高。日頃の力が出せれば、旋風を巻き起こすことなどそう難しくはないはずだ。

 宮崎農業は、春の九州大会県予選まで公式戦の結果が出ず苦戦を強いられていたが、県選手権予選では2勝を挙げ、その内の1勝は昨秋の九州大会県予選で敗れている佐土原高に雪辱を果たしてのもの。
 代表決定戦で日章学園に屈したものの、この時期に強豪校を接戦で下したのはナインにとって大きな自信になったことだろう。

 戦力的には、昨年、3人の先発候補を擁しシード権を獲得した時と比べ若干、見劣りするのは否めないが、横手投げの右腕酒井を軸に土屋、野崎の2年生コンビ、3年生の長倉などの継投により相手打線の目先を変えて勝負する。
 攻撃は、特に目立った選手はいないので犠打や足を絡めコツコツ1点ずつ積み上げていくチームである。

 高鍋農業は、新人戦から春の九州大県予選までの公式戦はいずれもコールドの大敗を喫していたが、県選手権では同じ農業系の宮崎農業と対戦。2‐5の接戦を演じた。先制し終盤には粘りの1点を挙げるなどナインには夏に向け自信になったことだろう
 投手陣は長い手足を利して投げる宮田を軸に、内外野どこでもこなす器用な緒方、2年生河野の継投で大会に臨む。打線は、パンチ力がある時任、打力向上が顕著な佐々木、俊足好打の後藤、小柄ながらシュアなバッテイングが得意な黒木、真面目にコツコツ努力する浜口など比較的まとまっている。この春の異動で○○監督が就任。選
手も新しい気持ちで最後の夏を心待ちしている。

 新チーム結成以降、結果が出せないでいる都城高校。しかし、練習試合などで投打が噛み合えば無類の力を発揮する。今年のチームの特徴は攻撃力。一度火が付けば止まらない爆発力を秘めている。
 出塁率六割を誇る兒玉、器用な田中の一、二番コンビが出塁し抜群の長打力を誇る櫻井、二見、バットコントロールが秀逸な1年生西川で返すのが得点パターン。下位には松田や飛距離ナンバーワンの太田などがいて、足の負傷で欠場中の俊足好打の炎谷がいなくても十分破壊力を秘めた打線だ。
 問題は守り。特に内野は捕球、送球、連携プレーすべてに課題山積の状態だ。ひとつの失策から大量失点に結びつくこともしばしば。逆に、外野陣はいずれも強肩俊足でこちらは安心して見ていられる。
 一方、投手陣は右の本格派二見を軸に、控えは右横手投げの松田がいる。二見は180㎝の上背を利して投げ下ろす直球の球速はMax140㌔。カーブ、スライダーとの緩急で打者を抑え込む。松田は切れの良いスライダーを武器に打たせて取る。両投手が崩れた時には、主戦二見と遜色のない球速を誇る捕手櫻井のスクランブルもある。
 同校の課題は、何はさておきチームのまとまりと精神力の強化。打っても打っても点が入らない打線、大事なところで顔を出すミス。高校野球の原点=「一球入魂」を肝に銘じ頑張ってもらいたい。

 日南振徳商業は、昨年からコンビを組む主戦黒木と谷口和也のバッテリーを中心に最小得点を守り抜く試合が多い。黒木は右の上手投げ。均整の取れた身体から繰り出す直球はMax135㌔。経験豊富でマウンド度胸は十分。落差の大きいカーブやスローカーブなど緩急をつけた投球が冴えると、攻略が難しい。また、投手ながらバント処理などフィルディングは抜群だ。
 打線は主砲の谷口和明やトップバッターの河野智、黒木、谷口和也の昨年からのレギュラー組さらには二番長友、六番蛯原がポイントゲッターとしてチームを引っ張っている。

 昨年の県下選手権で初の県レベルでの優勝を果たした都城東高。今年の戦力をみると、昨年と比べ一回り小粒になった印象を受ける。レギュラーの大半が2年生である。公式戦を見ても選手起用に対する河野監督の苦心の跡が見て取れる。特に投手陣に柱がいないのが、今年の戦績を物語っている。
 県選手権予選では、右横手投げの外枦保、右上手投げの迫田、水谷、神野、木下貢、小村など数多くの投手を試している段階で、まだ十分な結果が出ていない状態。夏はこれらの投手を繋いでいくことになろう。
 打撃に関しては、センターや逆方向への球に逆らわないバッティングが出来ている。中でも木下貢、小村の振りの鋭さが目立っていた。田畑、神崎も大きな当りを飛ばす力がある。福田は公式戦打率五割、盗塁9と俊足好打のリードオフマンである。
 一方、守りは2年生捕手木下直の強肩が光った。俊足選手が揃った日南学園から2盗を2度、1塁と3塁で走者を2回素早いけん制で刺した肩は大いに評価出来る。同じく2年生の平野もウカウカ出来ないだろう。
 また、内野、外野ともに元気があり良く鍛えられている。今年は各校のマークはあまりないはず。投手陣が踏ん張れば上位進出も十分可能だろう。

 都城農業も、昨秋から今春にかけての公式戦の戦績は今ひとつの状態が続いていた。だが、県選手権の県南予選で小林西高、泉ヶ丘の強豪校を破り予選を突破、本大会出場を果たした。ナインにとっては、大きな自信になったことだろう。原動力は主戦黒田と控えの2年生浅井か。黒田は右のサイドハンド。球威のない分スライダー、カーブ、超スローボールと多種多様の球種を操り相手打者を翻弄(ほんろう)する。捕手茶木のリードもあろうが、打者の心理を読んだ投球術に長けた投手である。
 主戦の球が遅いので、後を継ぐ2年生の本格派浅井の威力のある球は打者にとりタイミングが取り辛そう。主戦が打たせて取るタイプだけに守りには安定感がある。強肩捕手茶木を要(かなめ)にセンターラインがしっかりしている。二遊間、三遊間や外野手の動きが良く、送球も正確である。
 打線は、主砲の茶木や俊足の一番丸田が目立つが、塁に出たら確実に送り1本で返す戦法を得意とし、送りバントやスクイズなどが多く見受けられる。
 課題があるとすれば、主戦の正確なコントロールと、俊足選手が過信しての走塁ミスだろうか。ここへきて上昇傾向の都城農業。主戦同様、変幻自在ぶりを発揮して夏の本番では旋風を期待したい。

 
都城泉ヶ丘の伝統はチーム力。しかし、昨年夏、投打が噛み合いベスト四まで残った印象が強過ぎて今年のチームは、もうひとつピンとこない。
 主戦森山は、昨年の大会で当時のエースだった西田投手を継いで再三好投を演じた躍進の立役者の1人である。新チームになってからの公式戦のほとんどで先発している。県選手権予選で登板がないのが気になるところだが、控えには、ストレートに球威のある右上手投げの3年生園田、浮き上がる球が有効な右の横手投げ牧田さらには、諏訪一成、弟の長身の左腕諏訪一晃らがいる。牧田、諏訪弟はまだ1年生。ともに良いものを持っていて将来有望だが、現時点では経験不足は否めない。
 先日行われた県選手権対都城戦では前半、相手投手の緩い球を引き付けて強振(一番轟木、主砲鵜戸西)、逆らわずセンターへ(九番花房)打ち返すなど理想的な攻めを見せていた。ただ、劣勢に回ると、焦りからか緩い球に全くタイミングが合わず淡白な攻撃や無駄な走塁死も目につく課題が残る内容だった。
 守りも今ひとつ動きが緩慢で捕球ミス、返球ミス、息の合わないけん制など「らしからぬ」プレーが散見され本番までの課題は多そうだ。

 日南農林は、この春の異動で新しく橋口浩巳監督が就任。新チームは昨年のレギュラーが大半を占めるが、過去1年間の戦績は今ひとつと言った感じ。負ける時は大敗、勝つ時は辛勝だ。ただ、都城工業とだけは、2-1の同スコアで一勝一敗と互角に戦っている。投手陣はいずれもコーナーに球を集めて打たせて取るタイプ。
 最近は、センターの北川が強肩を買われて先発。倉元、山下がリリーフするパターンが多い。いずれも制球が甘くなると痛打を食うことも。打撃は松井、阪元、岩満、南土居(辰)あたりに期待したい。

 慢性的な部員不足に悩まされている小林商業は、新人戦でメンバーが足りず、泣く泣く棄権せざるを得なかった。しかし、秋の九州大会県予選から復帰。ここまでの公式戦はギリギリのメンバーながら宮崎北高、日南高など強豪校に善戦している。
 特に、県選手権での日南戦は延長10回まで戦い、惜しくも2-3と惜敗したが、チーム事情を考えると「よく頑張った」と、一言声を掛けたい気持ちになる。エースの相馬は右の本格派。最速130㌔後半の直球にチェンジアップ、フォークを織り交ぜ緩急をつけた投球が持ち味。調子が良ければ崩すのが難しい好投手の1人だろう。2年生捕手新村とコンビを組んで1年。着実に成長してきた。
 攻撃、守備とも、ままならない練習環境の中で、続けてきたのは野球が好きだからだろうか。本番でも日頃の力を発揮すれば勝利は見えてくる。やれば出来る姿を見せてもらいたい。

 昨年夏を経験した7人がレギュラーに名を連ねる日南高校は、投打にバランスが取れた好チームだ。秋の九州大会県予選は準決勝まで進出、名門復活を予感させる活躍だった。原動力は投の須志田と打の2年生鎌田。どちらもスケールの大きい将来性を感じさせる選手だ。
 主戦須志田は184㎝の右のサイドハンド。直球と決め球のスライダー、カーブをコーナーに配し打たせて取る。制球力があり秋の大会では4試合に完投するなどスタミナも十分である。鎌田は昨春入学後、程なくして中軸を任された左の逸材。選球眼が良く腰の据わったスイングから放たれる打球はあっという間に外野の間を抜けていく。また、左右に打ち分けるセンスは秀逸である。
 守りは、内野は影山が若干不安のある2年生をリードし、外野は日高を中心にいずれも俊足で安定した守備力を誇る。打線は日高、甲斐進、甲斐星など俊足選手が出て掻き回し、中軸の影山、鎌田、服部で返す。下位もしぶとくどこからでも好機を作れる。
 投手陣は須志田の先発完投を基本に2年生コンビの藤井、左の水尾に繋ぐパターンが確立している。12年前、小林西高を甲子園に導いた坂元広光監督が母校で現場復帰。その采配にも注目したい。

 日南工業には、南司監督がこの春就任した。同校は、昭和42、3年、九州大会に連続出場、夏は優勝候補筆頭に挙げられたが決勝で惜敗。昭和48年も準決勝に進出するなど、地区内で日南高校と人気を二分した輝かしい歴史がある。今年のチームは、先日の県選手権予選で主砲の川口陽が負傷し、打はもとより投、守とも戦力的に厳しい状態だ。
 しかしながら、OB、関係者は古豪復活を願い、熱血指導で知られる同監督と、黄金期の主将で主砲だった新任の西浦秋夫部長に夢を託す。

 善戦するものの1勝が遠い福島高校。打撃には良いものを持っているだけに投手陣が整備されれば公式戦初勝利も近いはずだ。ただ、県選手権時点では柱になる投手がいないように見受けられた。本番は継投策で相手打線の目先を変えながら初戦突破を、と言ったところか。
 飯野高校は今春、1年生が入るまではギリギリの部員で頑張ってきた。公式戦は、そんな状況下でも強豪校と互角に近い戦いを展開、秋の九州大会県予選では1勝をもぎ取った。原動力は投打に渡って活躍する不動のバッテリー。
 投の平山は横手投げの打たせて取るタイプ。内角を突く強気な性格と元気の良さがチームを奮い立たせる。日高は技巧派の平山を巧みにリードし失点を最小限に抑えている。2人は打撃でもチームを引っ張る。部員が少なくても元気だけはどこにも負けない。キビキビした動きは、昨年の四元貴子選手を思い起こさせる。

 小林高校も、決して多いとは言えない部員で1年間頑張ってきた。公式戦の戦績は1勝止まりと、今ひとつに終わっている。夏本番は、直球に威力がある右の本格派日高と左の技巧派溝辺の両輪を前面に、いままでのうっ憤を晴らす活躍を期待したい。まずは初戦突破だろう。
 小林工業は、2年生の川内を軸に木佐貫、高原、末吉、左の福堂など継投策で戦ってきた。本来捕手の木佐貫が投げる時は、川内が捕手に座るなど、選手のやり繰りに苦労がうかがえる。
 打線は弱く、思うように得点が挙げられないでいる。公式戦は夏を残すのみだが、ここまでの4試合で挙げた得点が、わずか1点。なかなか勝利を手繰り寄せることが出来ない。
 選手もこのままでは悔しいだろう。最後の夏に良い思い出が作れるよう特に打線の奮起を期待したい。

 高原高校は、昨年夏の大敗をバネに1年間、頑張ってきたことと思う。しかし、ここまで公式戦未勝利。主戦時吉は球威のあるストレートと切れのあるスライダーで打者を打ち取る右の本格派。
 課題は九回まで投げ切れるスタミナの養成か。小柄で元気の良い2年生捕手・戸越がリードする。
 過去の公式戦を見ると、投手が好調時は、強豪校とも互角の戦いを演じているが、失点すると攻守とも連鎖的に崩れるパターンがうかがえる。今年の西諸のチームは概して似たような傾向がある。最後の夏、最高の形で終われるよう頑張りを期待したい。

 西都商業は、昨年夏の登録部員が2年4名、1年3名と、合わせても7名にしかならない状態だった。新チームを作るために奔走した指導者やナインの姿が目に浮かぶ。
 この1年、結果が付いてこなかったのは仕方ないが、最後の夏は大好きな野球が出来る喜びをかみしめ、1イニングでも長くプレー出来るよう頑張りを期待したい。

 都城高専は、冬場の走り込みや筋力トレーニングで体力面の不安は解消しつつある。また、今年は素振り、ティー打撃などバットスイングに時間を割いたが、結果はこれからと言うところ。主戦山下は左のオーバーハンド。直球とキレの良いカーブで組み立て、打たせて取る投球が身上。
 控えには器用な森、ストレートに威力がある長友の2年生コンビが入る。1年時から捕手を務める神柱との息も合い、夏本番での初戦突破を目指す。

 部員不足に悩まされていた日向工業は、この春、1年生が7名入り練習試合も出来るようになった。ただ、全体に経験不足は否めず守りから破綻するケースが目立つ。
 主戦那須隆は、調子が良ければストレートに2種類のカーブを織り交ぜ素晴らしい投球をする。課題は制球力。主将の強肩捕手・富井がうまくリードすれば失点も減りそう。昨秋、今春と同じようなパターンで辛酸を舐めた都城西高に一泡吹かせる気概で大会に臨んでもらいたい。          (敬称略)
    
                              
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